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「県機構改革」の熟度

 いつもなら夏ごろが議論がはじまり、現場の意見も聞きながら行きつ戻りつしながら定まっていく機構改革。
今回は、数週間前に、突然のトップダウンで、「決定事項だ。名前を考えろ」。ベテランの職員も「県庁に入って初めて」という異例の展開となっている。
 その震源地は、知事ご執心の「産業振興推進部」ではないか。他の部署もやたらと「振興」と言う名がついたが、「推進部」コンセプトがはっきりせず、現場は混乱しているようだ。

産業振興推進部は百人を超える部署で、産業振興計画のエンジン、調整と振興点検などを行い、地域振興にかかわる計画は産業振興推進部が行うとのことだが・・・
 しかし、構成員の大半は60名の地域企画支援員。公共交通、運輸政策の部署が10数名、それに地産地消・外商のセクション。地域づくり支援の部隊は20名弱。
部になったからと、別に体制が強化されるわけではない。組替えであり、横のつながりなら対策本部で十分であり、「部」にしたため、ひずみが出でいる。
たとえば農業、林業、商工などが行うコア作業は、各部の線で対応する。しかし、そもそも地域振興と関係ないコア作業などなく、命令系統が2つになるという問題が整理されてない。へたすれば、市町村は、どちらにも相談し、報告書などの提出が求められることになるのではないかと危惧される。
地域企画支援員を統括する地域振興監(副部長級)が6つのブロックに配置される。コア作業は各部で対応するし、また地域振興監は直接の部下もおらず(地域企画支援員は、市町村や地域の運動のボトムアップの為の配置であり、いわゆる部下とはなり得ない。)、広範な課題に対応できないのではないか。
市町村は、実際にすすめようとすれば、各部に相談に行き、結局、閑職になるのでは・・・と予想される。しかも、この配置のため各部の現場の職員が削られている。
 「今やっているやり方と何が変わるのか、さっぱりわからん」という声が出でいる。

・前県政のもとで、使いやすいまちづくりなどの総合補助金がつくられた。市町村の要求、変化する状況にも機動性に対応できる補助金である。
今回、新たに「総合補助金」が出来るとのこと。補助率は、従来の既存の総合補助金の1/2から2/3に引き上げられる。ところが、この補助金の採択にあたり、外部委員・アドバイザーのフィルターを入れるらしい。
 この外部委員、どの程度の配置となるのか。県庁の職員というのは、その分野の専門性が高い。それを上回る専門性と地域の実状の把握力を持つということは、かなり細かな配置をしなくてはならない。そうでなくて少数の配置なら、各方面で、スーパーマンのような能力を持っている人が必要となる。
 昨年6月、「今年度の地方財政のあり方」という総務事務次官の通知は、指定管理者の専門性を確保するため、「ア 指定管理者の選定の際の基準設定に当たっては、公共サービスの水準の確保という観点が重要であること。イ 指定管理者の適切な評価を行うに当たっては、当該施設の態様に応じ、公共サービスについて専門的知見を有する外部有識者等の視点を導入することが重要であること。」という内容を示している。
 つまり、少数の委員で、全分野を評価することなど無理で、結局、安いかどうかだけの評価になる、それが相次ぐ破綻、撤退、事故などにつながっていると、見直しを指示したものだ。
 
そうすると、屋上屋を重ねるような分厚い機構になるか、実際は機能しないかのどっちかだろう。外部委員が結果に責任を負うわけでもなく、「職員を信頼してない」というメッセージだけが残ることとなる。
 
・こうした内容に、自民党も委員会では「大丈夫か」「何をするのか」という意見を出しているが、「知事に文句を言わない」ということで一致しているらしく、「コンセプトのはっきりしないトップダウンの計画」がすんなり通るようである。かつての「なれあい県政」の復活と言える。

水産振興部、観光振興部、農業振興部、林業振興・環境部・・・とやたら振興がつく。振興がついたからと「振興」が進むわけでないが、観光部など振興がついたため、観光振興課と名前がかぶり、それで課名が観光政策課と名前を変えるという、笑い話のような話が… 

ひどいのは林業振興・環境部。環境はなにも林業だけではない。水質も土壌も、生活環境もあるし、エコサイクルセンターなど廃棄物処理もある。地球温暖化にかこつけて無理やり林業振興と結びつけたようで、コンセプトがはっきりしない。(二酸化炭素の最大の吸収源は海であり、次に土壌である。不耕起栽培、緑肥などの使用するなど農業の仕方で、吸収源になるか、排出減になるか、大きな違いがある)

産業振興といえば、アンテナショップも、駅前のドラマ館・観光情報の拠点づくりも、何億円もかけて、まったく古ぼけた国のメニューに頼るむだ使いである。
今、まったく行政が支援してないアンテナショップを支援し、既存のものに磨きをかける。観光では地元のうずもれているホンモノに磨きをかける、そのことにこそ資金を投入すべきであろう。

それと保健福祉部を、医療・保健を担当する部と福祉を担当する部に分けるようである。
障害者「自立」支援法… 福祉分野と医療分野は別の部が所管するのか。療養病床再編計画は、医療から介護施設(福祉部門)への転換であり、どちらの部が所管するのか、議会ではどちらの部長が答弁するのか。
しかも、地域で実行する部署は、保健福祉事務所で、一体となっている。
医療、保健、介護、福祉の一体的な施策の推進という流れの中で、これもコンセプトがはっきりしない。

全体として、熟度が低い。 
それはそうと、知事のコンセプトが波うっているという評価がある。肝心のところがぶれるので、現場では、真剣に対応するのは疲れる、適当にあわせておくというムードが出できているらしい。
 気になる情報である。

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