高速料金値下げ 地域崩壊が加速?!
高速道路の値下げで「県外観光客を呼べる」と高知県の知事も期待しているようだが、物事は総合的に判断すべきだろう。
1つはストロー効果が強まり、県外流出が加速 2つは鉄道、バス、フェリー路線を維持するための負担増、または路線縮小。徳島新聞が、そうした危惧を取り上げている。
「県外流出が加速」 高速料金引き下げ、商店主ら危機感 徳島新聞2/18
確かに、それで高知に来る人も増えるだろうが、逆も真なりで・・・。本四架橋が出来た時、地域の購買力などが大都市部に吸い上げられるストロー効果で、地域がかえって疲弊したことが、再現されるのではないだろうか。
また、公共交通の維持のために県も関係自治体も補助金を出している。それも限界に来ており、赤字路線からの撤退が進む危険性は大である。
例えば、高知市の福井などでは、バス路線の廃止に対し、自治体の支援も限界であり、地域住民の「乗って残そう」という運動が展開されているのが現状である。その時に、バス会社の稼ぎ頭の路線が打撃を受けたらどうなるだろうか。
高齢化社会を迎え移動困難者が増える、ガソリン消費が拡大し地球温暖化対策に逆行する・・そうしたことを考えると、賢明な判断なのだろうか。
それだけの予算があれば、公共交通機関の維持、充実につとめてはどうか。もっと総合的な議論があってしかるべきではないか、と思う。
ヨーロッパでは、公共交通は赤字が当たり前の思想で運営されている。それは、人権の保障とまちづくりに不可欠な公共財だからである。
交通事故が減少する中、急速な高齢化で、高齢者が加害者になる事故は増加している。車中心の社会の在り方は、その点からも見直しが迫られていると思うのだが…・・
【「県外流出が加速」 高速料金引き下げ、商店主ら危機感 徳島2/18】 高速道路の料金が今春にも大幅値下げとなることを受け、徳島県が二〇〇九年度一般会計当初予算案で打ち出した「新料金活用戦略」。観光対策を中心に、入り込み客数と大鳴門橋通行台数の倍増を掲げるが、徳島市中心部の商店主らは「消費者の県外流出が加速するだけでは」と危機感を募らせる。高速バスやフェリー業界も、料金の値下げ後に予想される客離れをどう食い止めるか苦悩している。「県の予算案は、商店街の空き店舗対策などは取っているが、十分なものとはいえない」。県商店街振興組合連合会の竹原俊二理事長は、こう指摘する。
徳島市中心部は明石海峡大橋の開通後、にぎわいを失う一方。市や徳島商工会議所の調査では、開通後の一九九九年度から二〇〇七年度の間、日曜日の市中心商店街の人通りは六割以上も落ち込んだ。
高速道路の料金値下げに伴う消費者のさらなる県外流出や、全国的にも観光誘客の活発化が予想される中、「本当に観光で地盤沈下が防げるのか」と危惧(きぐ)する商店主は少なくない。
竹原理事長は「これまでと同じようなPRでは生ぬるい。流入人口を増やすには、本気で全国に徳島を売り出さなければならない」と訴える。値下げは土日祝日の自動料金収受システム(ETC)の利用が条件で、二年間実施。神戸淡路鳴門自動車道の鳴門インターチェンジから阪神高速を経由して神戸・京橋まで千五百五十円(通常料金五千九百円)で行けるようになる。
徳島駅前のそごう徳島店で買い物をしていた逢坂賀寿美さん(21)=美馬市美馬町、大学生=は「今でも二カ月に一度は高速バスで京阪神に買い物に行く。値下げになればマイカーで行く回数も増えると思う」と話した。
◎「太刀打ち無理」 高速バスやフェリー
高速料金の値下げには、高速バスやフェリーの旅客業界も戦々恐々としている。
徳島バス(徳島市)は年間二億円の路線バスの赤字を、徳島と京阪神間などを運行する高速バス事業の売り上げでカバーしているのが実情。料金値下げによるマイカー利用などで客足が遠のく恐れはあるものの、今のところ高速バス運賃を引き下げる予定はなく、有効な対策は打ち出せていない。
平野正治営業部長は「高速バスまで打撃を受けると、路線バスを縮小せざるを得ない。そうなると、高齢者や障害者など交通弱者の移動手段がなくなってしまう」とこぼす。
一方、徳島と和歌山を結ぶ南海フェリー(和歌山市)は値下げを受けて一月下旬、公的支援を求める陳情書を金子一義国土交通相に提出した。西尾隆営業部長は「企業の自助努力を超えた不当な競争で、とうてい太刀打ちできない」とため息をついた。
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