「社会主義化するアメリカ」?!
ニューズウィーク2/25号「社会主義化するアメリカ」・・・そうした議論について産経が記事を書いている。
米国は社会主義に向かっているのか 銀行国有化などで熱い議論 産経2/24
主要銀行、保険会社、はては自動車産業まで・・・。実態は別にして、こうした議論が起こるところに、矛盾の深刻さが現れている。
生産のための生産という資本主義の矛盾を克服するために、生産力を社会が握る必要があるとしたマルクスの理論は新鮮だ。
なお産経の記事の中で、米左派シンクタンクの人の言葉として「社会主義では厳密には国家がほぼすべての生産手段を所有するが、米国ではまだそんな状態は起きていない」という言葉をひっぱっているが、これは一面的である。
「国家がすべての生産手段を所有する」というのは、社会主義の指標ではない。「生産者が主役」というやり方には多様な形態があるし、「生産者が主役」からはずれた「国有化」もある。
日本共産党の綱領は「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。」としており、
「生産手段の社会化は、その所有・管理・運営が、情勢と条件に応じて多様な形態をとりうるものであり、日本社会にふさわしい独自の形態の探究が重要であるが、生産者が主役という社会主義の原則を踏みはずしてはならない。『国有化』や『集団化』の看板で、生産者を抑圧する官僚専制の体制をつくりあげた旧ソ連の誤りは、絶対に再現させてはならない。」
「市場経済を通じて社会主義に進むことは、日本の条件にかなった社会主義の法則的な発展方向である。社会主義的改革の推進にあたっては、計画性と市場経済とを結合させた弾力的で効率的な経済運営、農漁業・中小商工業など私的な発意の尊重などの努力と探究が重要である。国民の消費生活を統制したり画一化したりするいわゆる「統制経済」は、社会主義・共産主義の日本の経済生活では全面的に否定される。」
米国は社会主義に向かっているのか 銀行国有化などで熱い議論 産経2/24 【ワシントン=古森義久】オバマ政権下の米国では政府により民間企業が大幅に救済、管理され、主要銀行の国有化案までが語られるにいたって、「米国は社会主義に向かっているのか」という議論が現実味を帯びるようになった。 昨年の大統領選挙中からちらついていた「オバマ氏は米国を社会主義化するのか」という論議は、同氏を一貫して支持してきた大手週刊誌ニューズウィークが2月16日号に「私たちは今やみな社会主義者だ」という巻頭評論を載せたことでこれまでとは異なった様相となった。 評論は米国の政府が破綻(はたん)した大企業を次々に公費で救済し、総額1兆ドルに近い景気対策費を出して民間に介入し、救済企業の幹部の給料まで管理する現状は社会主義的な色彩が濃く、「2009年の米国はすでに社会主義的な欧州諸国へと近づいていることを認めざるをえない」と断言した。 10年前の米国は政府支出の対GDP比が34%で、欧州連合(EU)諸国の48%より14ポイントも低かったが、来年は差が8ポイントに縮まることがその例証だという。 共和党側ではこれに対し「欧州型の社会主義が経済を成長させないことは立証されており、民間の活力を伸ばすべきだ」(マイク・ペンス下院議員)という反論が強い。メリーランド大学のピーター・モリシ経営学教授も「政府支出への全面依存はジェファーソン的米国民主主義に反する」として、政府の役割は個人や企業の自助努力を助長するインフラ枠組み作りに留まるべきだと主張する。 この点、ニューズウィークも米国民の多数派はなお「大きな政府への依存」には反対であることを認め、目前の危機が去ればまた従来の米国式の「資本主義の自由市場スタイルの経済」に戻るとしながらも、現状では消費者も企業も景気回復の能力に欠けているため、政府に期待する以外にない-としている。 もっとも社会主義に賛同に近い立場の左派系シンクタンク「米国進歩センター」のヘザー・ボウシー研究員は「社会主義では厳密には国家がほぼすべての生産手段を所有するが、米国ではまだそんな状態は起きていない」と解説する。 オバマ氏に対する「社会主義化論」を最初に打ち上げたのは大統領選中の共和党マケイン候補だった。オバマ氏の高所得層への大増税による「所得の再配分」策を社会主義的発想と批判したのだが、オバマ陣営はこれを明確に否定した。なのに今、オバマ陣営側のニューズウィークが堂々と「社会主義化」を認めたことに、保守派からは「つい4カ月ほど前までオバマ陣営は社会主義批判をあざけってしりぞけたのに、今はその実践にあたっている」(FOXテレビのコメンテーター、グレン・ベック氏)と反発も激しい。 その一方、ニューズウィーク評論は「今の社会主義化を始めたのは実は昨年9月なかば以降のブッシュ政権なのだ」として同政権による大手金融機関や保険会社の救済を指摘しており、社会主義をめぐる議論はなお熱を帯びそうである。
« 「有効求人倍率」と企業誘致 | Main | 高知市 「財政再建計画」と社会資本の維持管理 »
「科学的社会主義」カテゴリの記事
- マルクスと自由・共産主義と自由 メモ(2024.06.27)
- 活動の中に「ケア」の視点を(2024.05.01)
- 志位さん、「赤旗」が注目! オーストリア共産党KPO 90年代に過去を全面的に総括(2024.04.28)
- 「民主集中制」 本格的な、理論的議論の構築を(2024.03.04)
- 「話し合いが果し合いに」 日本人のわかり方 ある先輩の教え(2024.02.27)
Comments