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革新市政と消費者保護条例

 高知市の消費者保護条例は、1975年、革新自治体の高揚期のさなかに作られた。商品社会にあっては、消費者主権がなくては、憲法25条の生存権は守れないという立場で作られている。
 今、消費者基本法の設立もうけて、改定の作業が進んでいる。

 消費者の権利は、大量消費社会、広告媒体としてのテレビの普及の中、1962年にアメリカのケネディ大統領が「消費者の利益の保護に関する連邦会議の特別教書」の中で①安全を求める権利 ②情報を知らされる権利 ③選択する権利 ④意見を反映させる権利を打ち出して以来世界に広がった。
 その後、1975年フォード大統領が⑤消費者教育を受ける権利を追加され、1982年に国際消費者機構(CI)が「消費者の8つの権利と5つの責任」(8つの権利 ①生活のニーズが保障される権利 ②安全である権利 ③知らされる権利 ④選ぶ権利 ⑤意見を聴いてもらう権利 ⑥補償を受ける権利 ⑦消費者教育を受ける権利 ⑧健全な環境の中で働き生活する権利)(5つの責任 ①批判的意識を持つ ②主張し行動する ③他者・弱者への配慮 ④環境への配慮 ⑤団結・連帯)を提唱された。
 日本では、04年の消費者基本法で、6つの権利(①安全が確保される権利 ②選択の機会が確保される権利 ③必要な情報が提供される権利 ④教育の機会が確保される権利 ⑤意見が反映される権利 ⑥適切かつ迅速に被害から救済される権利)が掲げられている。
 
 高知市の条例は、60年代の高度成長経済と大量消費社会への突入、公害闘争やオイルショック時の売り惜しみに対する住民運動の前進という中で、制定された。この時代、公害闘争、老人福祉など自治体のとりくみが国に先行し、その運動の前進が国政を動かすという構図があった。
 この中で、高知市は、過大包装の追放、グラム単位の価格表示などの徹底につとめた。また、今の市民生活相談センターに続くこととなる市民生活相談員の配置など意欲的に取り組んでいる。

 戦後の革新市政の研究会に参加しているが、この時期は坂本市政。市長は、広報で繰り返し、憲法の精神や市民主体の市政について語っている。公害闘争では「行政の限界を市民の運動で乗り越える」とか… 極めて社会教育的な理念を語り、また、実際にそうして、厳しい公害協定を企業と結ぶなど取り組んでいる。
 
 条例の制定された75年というのは、反動攻勢がはじまり、革新自治体が縮小していく転機の時期であり、80年代の「臨調行革」、社公合意、そして「自治体経営体」論という流れが一気に加速していく次期である。
  この後、高知市政でも「理屈を言うな」という雰囲気が広がったとのこと。理念を持って市政を築き上げるという風潮は薄れ、目先の成果などが問われるようにと…
 そうした自治体の劣化というべきものが、最近の二代の市長のもとで急速に進んでいる。
 
 75年当時と違い、福祉が措置制度から、サービス提供、契約制度に大きくシフトされている。また、規制緩和の広がりは、事後規制、被害が出てから規制するシステムに変化している。
 国が消費者行政に踏み込んだのは、新自由主義を徹底するために、市場ルールの整備と犠牲者のそれなりの手当てが求められているからだと思う。

 そうした中での、条例改正・・・ 取り扱う分野も大きく拡大している。
暮らしを守る、また安心できる社会を築くという方向で、住民自治の前進に結びつくものに… 期待したい。

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