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郵政民営化一年、その矛盾とたたかいの展望  備忘録

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11日、「みんなの郵便局を守る高知の会」総会で、何度も高知をおとずれている山下唯志さん(吉井英勝衆院議員秘書)が「郵政民営化の見直しをめぐるたたかいの現局面と展望」と題して講演された。
 内容は、郵政民営化が、なぜ「構造改革」の「本丸」といわれたのか。莫大な利益はどこに流れるのかの解明、そして民営化をすすめた「構造改革」・金融自由化の破綻により「見直し」が必至となっている情勢など・・・
 (以下、備忘録)

「郵政民営化の見直しをめぐるたたかいの現局面と展望」
はじめに~ 民営化一年、矛盾はどのようにあらわれているか。
 95年に、日米間で、郵政民営化が本格課題となり、橋本改革の時に要石として本格化。金融ビッグバンの中で自由化が進める時、国営であってはまかりならんとなった。
①郵政民営化の理由、サービスの向上はどうなったか ②国内の勢力は何を期待し、それが破綻したか ③金融ビッグバンの一貫としての郵政民営化がどうなっているか、と話をしたい。

1. 郵政民営化の実態とサービス低下の現状
(1)手数料の引き上げ

(2)簡易郵便局の閉鎖
では簡易郵便局はどうか。07年10月1日の一時閉鎖は417局、最高で454局となったが、今は398局。一割近くが閉鎖されているのは問題だが、閉鎖数が減っている。本来は民営化すれば、コスト削減で閉鎖が増えるのに、閉鎖数が減少。これまで簡易郵便局の手数料をどんどん切り下げてきたが、この間、値上げされた。それは私たちの運動の成果。「ネットワークを守れ」と運動し、国会の論戦で「ネットワークを維持すべき」の決議があがった。悪化を食い止めている。一進一退の状況。
 昨年、10月1日に「民営化一周年」でマスコミが特集。記者が私のところに「どう見たらよいか」と訪ねてきたので「公共のための運営がされているかどうかが重要」と答えた。ネットワークはどうなっているか。5月には454局閉鎖され、国会で塩川議員が「決議が守られてない」と追及、それで手数料の値上げ、移動郵便局の配置が進んだ。分社化で、小包を集荷する郵便事業会社と郵便局を運営する郵便局会社に分かれたため、運送免許のない郵便局は、小包を取りにいけなくなり、扱いが激減した。また貯金、保険の免許をもたない郵便事業会社は年金の引き出しなどお金を扱えなくなった。
今までは、郵便局は金融業、保険業と違う規律でやっていたが、民間の規律が導入されたため事務量が激増した。特定郵便局長会が実施したアンケートでも多くが「書類が煩雑、待ち時間が長くなった」と回答している。   高知新聞の世論調査でも、サービスが向上10㌫、低下31㌫となっている。
この一年の実態は、分社化で危惧したとおりサービスが低下した。制度的な不備と儲けのための値上げの結果である。

(3)投資信託販売の現状
投資信託の問題。金融商品の販売が民営化の先取りとして実施されてきた。投資信託とは元本保障がない。例えば1万円購入したら、そのお金を集めて投資会社で運用する。郵便局の儲けは、売った時の手数料、解約した時の手数料。リスクはすべて投資した人。07年業務報告の投資信託の販売状況。07年8月までに1杯売っている。民営化前に、郵便局の「信頼」を利用して販売。累計で358万件、1兆2195億円販売しているが、純資産残高は9785億円。2400億円、3分の1が目減りしている。これは去年の3月の数字。この時の東証の株価の平均は12000円、今は9000円。もっと減っている。一番売った19年6月の時の株価は18000円だったので、半減、6000億円の損害が出ている。20~30年持っていればひょっとして回復するかもしれないが、解約すると手数料払って、損したものは返ってこない。大問題となっている。

2. 郵政民営化を「構造改革の本丸」とした路線の破綻
(1)「構造改革」路線の主柱としての労働の規制緩和路線 
「構造改革はいいものだ」と喧伝された。そもそも、なぜ「本丸」だったのか。きわめて複雑な話。郵便事業は通信と金融と保険の3つの事業をもっていた。宅配事業では、ヤマト、日通など全国の宅配業者をあわせたものと同じ規模、金融では3大メガバンクと貯蓄量で同じ、保険もニッセイなど全国の生保を集めたくらいの規模がある。この巨大事業が民営化されるので、各業界にとっては死活問題。だから各業界は、自分たちを押しつぶさず、弱くなる、市場を奪えるような民営化にしようと綱引きがあった。それに、金融ユニバーサルサービスの維持など国民にとってどういう意味を持っているかが絡みあって進んだ。
 そうした業界の縄張りの中での動きと、もっと上の財界とアメリカのメリットを区別する必要がある。
 郵政民営で、持株会社の「日本郵政株式会社」が出来て、その下に4つの事業がぶら下る構図となった。財界の狙いは3つ。①小さな政府の突破口にする ②民間労働者の雇用を守るルールは極めて弱い。公務員はきちんとしている部分がある。それを民営化してリストラを推進する ③貯金と保険は公金だったが、「民」のお金に変わり、金融自由化が進む、というもの。そのために「国民全体の金融ユニバーサルサービスの義務付け」を外す。儲からないところを切り捨てるのが「民営化」。
しかし、これが国民にとって大問題となり、反対運動が大きく展開された。
 郵政民営化の推進力となった「小さな政府」「規制緩和」「リストラ」など「構造改革」路線が貧困と格差を拡大した。それが今、国民的な批判を巻き起こしている。

(2)日本経済を破壊した「構造改革」路線
では、「構造改革」は日本経済をどのようにしたのか。昨年、12月、吉井議員が、内閣委員会で配布した経済財政白書の数字を見ると、06年の白書は、“企業が強くなった。経常利益がバブル期を越えた”。05年から大企業にとってウハウハの状態に突入した。戦後最高の儲け。しかし、国民の実感はない。この数年間、従業員の給与は上がってないが、役員給与・賞与は2倍に。あと株主配当も2.5倍となっている。こういう構造になったと07年の白書で分析している。
 企業は史上最高の儲け。今までは、そんな時は労賃もあがった。「景気回復局面における企業収益と賃金の推移」(07年白書)を見ると、70年代から90年代前半は右肩上がりになっている。ところが今回。経常利益は、1.9倍となっているが、労賃は1.0を割っている。
 それは労働者が働かなかったからか? 労賃と労働生産性のグラフ(07年白書)を見ると、労働生産性も伸びている。生産性があがりもうかっている。それが役員と株主を設けらしている。
 なぜ、そんなに儲かっているのか。その根拠の1つは非正規雇用の拡大。雇用者の2割ぐらいだったのが35㌫に増大。どの規模の企業が押し上げたのか。29人以下のところはあまり変化がない。増大が著しいのは500人以上の企業。(99年10数㌫が05年に30㌫近くに)
 労働者への分配率はどうなっているか。大企業が従来から一番分配してないのだが、00年と比較すると大企業だけが大きく下がっている。中小企業がここ数年あまり変わってないに、大企業は約10ポイントも下がっている。儲かっている大企業だけ。中小企業もトヨタの看板方式などで搾られている。労賃も下がり、中小企業も儲からず。だから内需にまわる原資がない。
 大企業は海外に売って儲け、役員と株主に配分し、一方で貧困が拡大してきた。これを推進するために実施したのが郵政の民営化である。日本で最大の事業者が国営では「けしからん」と民営化をした。それが今、見直しの対象となっている。

(補論)NTT持株会社の経営について
 今、不況が言われてるが、今までの黒字はどこに行ったのか考えたい。
 資本金10億円以上の企業の内部留保は99年が179兆円、07年が240兆円。61兆円も増やしている。低賃金、リストラ、派遣労働によって積み立てた61兆円である。
 今、これを使わせて雇用と暮らしをどう守るかが問われている。すべての企業が不況だからとリストラをすれば、消費が低迷し経済の底が抜ける。1つの企業にはプラスでも、「合成の誤謬」といって、社会全体でマイナスとなる。首切りをやめさせないと負のスパイラルに堕ちていく。私たちは一貫してこの論戦をしてきたが、官房長官も“内部留保を活用すべき”と答弁せざるを得ない。
企業の利益には営業利益(本業の稼ぎ)、経常利益(本業以外の稼ぎを含む)、税引き前利益(特別利益・損失~有価証券の売却の損益などを除く)がある。トヨタは経常利益が赤字にとか言っているが、税引き前利益は黒字であり、明らかにする論戦が必要と思っている。
郵政事業はどうか。持ち株会社の下に4つのグループがある。郵便事業、郵便局、貯金、保険。持ち株会社の利益は、子会社の株式からの配当がもと。
実施計画を見てみると、2011年。持株会社の利益2870億円のうち2280億円が配当。逓信病院やかんぽの宿とかも持っているが、主は配当の利益。07年、子会社の2020億円の利益で、持株会社への配当は810億円。配当率は約4割。それ以降も約4割となっている。
その実際はどうなっているか。先に民営化されたNTTについて見てみたい。
最初、政府は100㌫株式を保有。この20年で2/3を売却した。1株50万円。売り出し直後300万円とかなったが、今は50万円を割っている。その間、株を主に買ったのが外資。95年シェアが3㌫だったが07年、22.6㌫と政府についで保有している。さらに自己株式が13.38㌫。儲けを労働者に回さないで、自分で株を買って、株価をつりあげ、株主の利益を守っている。NTT、トヨタとか1兆円も自社株購入をしている。
証券市場は外資だのみとなっており、外資の半分はヘッジファンドといわれている。NTTの一株当たりの配当額は2000年の5000円から08年は11000円の計画となっている。当初の2.5倍。株主が「配当を増やせ」と言っているから。しかし、実際の事業は子会社が行っている。それを持株会社を吸い上げ、株主へ配分している。こうして利益がアメリカに流れている。
2000年以降、リストラで利益をあげ、金融ビッグバンで外資が入ってきて、配当で外国に利益を配分する。これが経済の主流となった。郵政グループも同じになることはまちがいない。
今、アメリカ発の金融危機が起こり、こういう資本主義でいいのか、経済を良くする改革だったのかが問われている。だから「改革」が見直されるのは当然のこと。

3. 郵政民営化とアメリカ主導の金融自由化路線の破綻
 アメリカは、証券市場の自由化をすすめ、金融立国となった。ビック3が倒産の危機になっているが、ものづくりを軽視し競争力がないから。アメリカの利益の6割が金融業と言われている。
2000年代、銀行は銀行でなくなった。本来は実態経済のために貸し出し、その利息が儲け。ところがアメリカでは、住宅ローンを証券化して売り払って、その手数料を儲けることをはじめた。普通の貸し出しでは20~30年と借りた人が返してくれるか心配しなくてはならないが、証券化は、すぐにローンを売り払うので返してくれなくても損失とならない。ローンが返ってくるかどうかは関係ない。証券を買った人のリスクとなる。ニンジャローンと言って、ノーインカム、ノージョブの人にも貸し込んで、それを証券化して売ったら利益となる。リスクの高い証券は手数料が高い。またデフォルトしなければ利息が高いので、銀行は子会社をつくって買い戻し、利息をとりこみ、結局、リスクを切り離したはずが抱え込んだ。
それが破綻し、金融の最先端の手法で儲かるように見えたものが、そうでないことが明らかになった。リスクをとって、金で金を儲けるとのバクチと同じ。実体経済を支援する金融の本分に戻ることが求められている
 竹中平蔵さんが、郵政民営化の方針で、政府が一株も持たない貯金、保険の完全な民営化の設計図を書いた理由は、アメリカ的なテクニックをつけて、市場の中で儲ける会社をつくる。それには規制緩和は競争制度が必要だと、完全民営化のスキームを作った。
その金で金を儲ける金融の仕組みが破綻した。まともな金融が求められている中、「郵政民営化」を進めた考えが破綻しているわけで、根本的な見直しが求められている。

おわりに~  
「構造改革」という根本の考え方とサービスの現状から見ても民営化の見直しは必至。政治的にも、凍結法案が参議院では可決できる状況となった。総選挙で、見直し勢力が衆議院の過半数を占めれば見直しができる。
そして、郵政民営化だけでなく「構造改革」路線を根本から見直して行くことが求められている。そのためには、根本から見直していく四角のる、ぶれない勢力が大きくなることが大事だと思う。
自公はダメがはっきりしている。一方、民主党は、郵政民営化のときは、05年の時はユニバーサルサービス守れでは一致したが、最後に簡保は民営化していいよとなった。今は凍結で一致。国民の力で変えてきた。
派遣労働の問題も、製造業の派遣禁止も一致点になっている。
最初からたたかって見直しをリードしてきたのが日本共産党国会議員だということを強調したい。そういう選択がもとめられていると思う。 

(講演のメモ書きの覚書であり、文責は当ブログにあります)

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