失業者への生活保護 「徹底する」と厚労相
昨年、派遣村の生活保護申請。「稼働能力がある」として生活保護から機械的に排除してきた不当な運用を突き崩す画期的なものだった。それについて、26日、参院の予算委員会で仁比さんが質問している。
都が出した路上生活者を出さないという主旨でだされた通知(下段に全文)に、厚労大臣は「国の基本方針にもとづいて、東京都も決定した」「国としても行っていく」と述べ、憲法25条の生存権を守ることは国の責任「周知徹底していく」と重要な答弁をした。
都の通知は「単に稼働能力があることのみをもって保護しないと判断せず」とし、「丁寧に相談に応じ」「最善の施策であるかを判断し、その施策を提供することが重要である」と、その基本姿勢をしめしたうえで、敷金等の支給の対象となることを示す、14日以内の保護決定、臨時的対応として安価なビジネスホテルの紹介などをしめしている。
【失業者の生活保護申請受付についての、区市町村への福祉保健局の要請文書】20福保生保第749号
平成20年12月22日各区・市福祉事務所長
西多摩福祉事務所長殿
各支庁長
東京都福祉保健局生活福祉部保護課長
( 公印省略 )雇用状況悪化に対する福祉事務所の相談援助体制について
各福祉事務所におかれては、常日頃、生活保護制度の適正な実施にご尽力いただき、感謝いたします。
今般の雇用情勢の急激な悪化により、今後各福祉事務所において失業を原因とする生活困窮相談が急増すると思われます。
各福祉事務所において、相談者に対し、緊急雇用対策、低所得者対策等適切な施策の紹介を行うと同時に、要保護状態にある生活困窮者に対しては適切に生活保護を実施するため、下記の点に留意しながら、この状況に対応する相談援助体制を整えられるようお願いいたします。なお、相談窓口においては、相談者の生活への不安な気持ちに十分な配慮をもって臨み、相談者の申請権を抑制するような対応は厳に慎まれるよう申し添えます。
記
1 失業者の路上生活化防止
失業者からの生活困窮相談に対し積極的に対応し、家賃滞納等による地域住民の路上生活化を未然に防止されたい。単に稼働能力があることのみをもって、保護を要しないと判断せず、稼働能力の活用の有無を判断する必要がある。努力して求職活動を行っているにも拘わらず、地域の求人状況等の理由によって就職に至らず困窮状態にある場合は、稼働能力活用の要件を満たし要保護状態にあると認めうる。居住地を失うと再就職自立の可能性を更に狭めることになるので、要保護者に対しては、居住地を失う前に適切に生活保護を適用されたい。2 路上生活者への相談体制の整備
当然のことながら、福祉事務所は、路上生活者からの相談に対し、社会資源の不足(施設のキャパシティ不足)、福祉事務所の実施体制の不備等を理由とした相談拒否や援助を必要とする者への援助拒否は行い得ないものである。丁寧に相談に応じ、相談者の個別の状態に即して利用できる施策(路上施策・他法施策・生活保護)と居所(居宅・施設)を助言し、本人意思を尊重し、最も適切な選択を行うよう援助する。対象者にとって、その時点で何が最善の施策であるかを判断し、その施策を提供することが重要である。
また、相談者の要保護性が高いと思われる際は、必ず生活保護の申請意思を確認し、申請意思を示した場合は、申請・について適切な援助を行われたい。
3 居所の確保
① 一般居宅
保護開始時に安定した居宅がない要保護者に対しては、居宅生活が可能な場合は敷金等の支給の対象となることを示し、申請がされた場合は法定期間内に支給の可否を決定通知すること。② 経過的居所の確保
相談者、申請者に臨時的な居所を紹介する必要がある場合に備え、各福祉事務所は民間宿泊所や近隣の安価なビジネえホテル、カプセルホテル等の情報等を収集されたい。なお、開始時に必要とされた臨時の宿泊料等については、その後に移った一般居宅や民間宿泊所の住宅扶助費とは別に、1.3倍額(都内1、2級地は69.800円、3級地は53.200円)を限度として住宅扶助の計上が可能である。
③ 民間宿泊所からの居宅生活への移行推進
今後、民間宿泊所の新たな利用希望が増加し、宿泊所が不足する事態が懸念されることから、従前から利用している被保護者に対して、積極的に一般居宅への転居を進められたい。
« 革新市政と消費者保護条例 | Main | 地デジ・低所得者対策 「受信料免除」申請を »
「雇用・労働」カテゴリの記事
- 不登校も介護休業の対象になりうる (2025.04.03)
- 基礎控除引上げ、消費税減税…絶対額でなく負担比率の変化で見る (2024.12.09)
- 「賃上げ・時短」政策と「人手不足」問題~ カギは、持続可能な働き方(2024.10.01)
- 「消滅自治体」 なぜ「若い女性減」だけ? 若い男性も同様に減少(2024.06.01)
- 地消地産、医療介護福祉 産業政策で党県議団の提案生きる(2024.05.09)
「生活保護、母子福祉」カテゴリの記事
- 保有を容認された自動車の利用制限を撤回する厚労省通知 「生活保護」改善(2025.02.26)
- 地域振興券(臨時交付金)の生活保護世帯の収入認定 自治体で「認定しない」可能 (2023.11.03)
- 生活保護 冬季加算「特別基準」(通常額の1.3倍) 高知市「抜かっていた」「速やかに実施」 (2022.12.28)
- 生活保護基準引き下げ違憲訴訟 横浜地裁で4例目の勝訴判決 ~国は控訴やめ、元にもどせ(2022.10.26)
- 厚労省 扶養照会を拒否する者の意向尊重の方向性を示す通知 ~不要な扶養紹介根絶させよう(2021.04.08)
Comments