不登校の発生率が、貧困家庭で平均の4.8倍
不登校の発生率が、貧困家庭で平均の4.8倍となることが、東京都板橋区の調査で判った。まずは、調査に取り組んだ区の姿勢を評価したい。「子どもの貧困」の視点、その改善の目的意識がなかったら、調査すらしないからだ。
中学生不登校 生活苦も原因 保護世帯の1割 東京・板橋 毎日1/30
注意したいのは、貧困だから必ず不登校になる、というのではない。そうなっていない家庭の方が多数である。問題は、貧困のために、活用する資源が少ない、リスクが高いということに、政治が向き合う必要があるということ。
学力調査、体力調査の結果から、生活リズムの乱れが根底にあることが指摘(高知県なども)され、早寝早起き、朝ごはんを食べるとか、いろいろ啓発運動も行われているが、親が生きることに精一杯で余裕がない、または、社会的排除の結果、意欲を失っている場合に、啓発だけで対応できるとは思えない。
OECD諸国の中で、所得の再配分の結果、子どもの貧困が逆に増加するという異常な社会となっている。
「子どもの貧困」を直視し、抜本的な対策が求められる。
それには、まず実態調査。県議会、市議会でも求めて行きたい。
国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんの本がすばらしい。
「子どもの貧困~日本の不公平を考える」 備忘録
【中学生不登校 生活苦も原因 保護世帯の1割 東京・板橋 毎日1/30】
生活保護を受ける世帯の中学生の不登校発生率が、生活保護や就学援助を受けない中学生の4.8倍に上ることが、東京都板橋区の調査で分かった。不登校は学校嫌いが原因とみられがちで、国も家庭の経済状況との関連を調べていない。低所得も大きな要因とわかったことを受け、都内の一部自治体は、生活保護の不登校児童生徒を支援する事業を始めた。国も背景分析や支援が求められそうだ。就学援助は給食費などを助成する制度で、所得基準は生活保護よりやや緩い。板橋区の就学援助受給率は35%、生活保護の保護率は2.47%で、共に全国平均の倍以上だ。
板橋区は、中学生の不登校が多いため調査を実施。区立中の06年度の全生徒8844人のうち、援助を受けていないのは5267人。不登校はうち127人で、発生率は2.41%だった。一方、生活保護を受ける中学生449人中、不登校は52人。発生率は11.58%で援助を受けない子の4.8倍に達した。
また杉並区は昨秋、生活保護を受ける中学生70人を調査。ケースワーカーが「いつも家にいる」ことから不登校と判断した中学生は6人で発生率8.6%。前年同期の区全体の不登校発生率(2.19%)の約4倍だった。
板橋区は昨秋から「貧困の再生産を防ぎ、子どもの自己実現を図る」ため、生活保護世帯で不登校の小中学生に、学習ボランティアの派遣費を年6万4000円助成。杉並区もフリースクールの受講費と通学費で年最大約20万円を支給する。共に都の生活保護世帯自立促進事業の一環だ。
学校関係者の間では、貧困のため親が食事や洗濯の世話を怠り、生活リズムが乱れ学校に来なくなる子の存在が指摘されていた。【山本紀子】
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