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イラク空自撤収 違憲の実態次々に

 4月の名古屋高裁のイラク空自の活動を「違憲」と判断したが、撤収にあたり、その実態が様々報道されている。
「非戦闘地域」といいながら、攻撃予告の運行中止や秘密裏に不時着時の応戦想定規定策定、また米軍から「タクシー」と呼ばれ、3万人以上運び戦闘行為に加担したこと・・・
イラク空自が米軍要請で定期便 中日新聞12/14
攻撃予告などで運航中止30回 「戦地」のイラク空自部隊 共同12/16
イラク空自行動基準 不時着時の応戦想定 中日新聞12/17

 ・・・いまだに、政府は高裁判決を「傍論」としているが、市民が起こした裁判の力は大きい。

【イラク空自が米軍要請で定期便 中日新聞12/14】 イラクで活動した航空自衛隊が、米軍など多国籍軍の要請で、首都バグダッドと南部アリ(旧タリル)とを結ぶC130輸送機の「定期便」を新たにつくり、今年に入って週1回運航していたことが分かった。  両地点ともイラク駐留米軍の拠点で、隊員は「多くの武装米兵を運んだ」と証言。空自機は米軍の指揮下で、兵員輸送の一角を担っていた実態があらためて浮き彫りになった。  陸上自衛隊がイラクから撤収した2006年7月末以降、空自はクウェートを起点に週4、5回、「アリ便」「バグダッド便」「バグダッド経由アルビル便」の3ルートで定期的な運航を実施。空自幹部は「バグダッドへの飛行を始めたころからも不定期でアリ-バグダッド間を運航したこともあったが、(07年からの)米軍増派で常態化した」と明かす。  アルビル以外の便は「すべて多国籍軍向け」(自衛隊幹部)で、空自機は米軍から「タクシー」と呼ばれていた。隊員は「空自機は米軍のいいように使われ、コマにすぎなかった」と指摘している。  空自は04年3月からイラクへの空輸を始めた。821回飛行し、延べ4万6500人と物資673トンを運んだ。輸送人員のうち国連職員は約2800人で、陸自隊員を差し引けば3万人を超える米兵を空輸したとみられる。  名古屋高裁は4月、空自機が武装した米兵を戦闘中のバグダッドへ空輸することについて「違憲」との判断を示している。
【攻撃予告などで運航中止30回 「戦地」のイラク空自部隊 共同12/16】  航空自衛隊のC130輸送機が5年にわたるイラクでの輸送任務中、武装勢力による地対空ミサイル攻撃予告や不審者発見などの「脅威情報」により、運航を中止したケースが約30回に上っていたことが16日、複数の関係者の話で分かった。  うち約20回はバグダッド空港への空輸任務で、上空で着陸待機中に脅威情報が入り、急きょ行き先を変更したこともあった。今年6月には、同空港内の自衛隊宿舎の約50メートル先にロケット弾が着弾した。  「バグダッドは戦闘地域」と指摘した4月の名古屋高裁判決が裏付けられた形で、「戦地派遣」の危険な実態が浮き彫りになった。  防衛省幹部は「脅威情報などによる部隊の具体的な動きが表面化すると、その後のオペレーション(作戦)に影響が出るため、個別の事案については公表しなかった」と説明している。  空自派遣部隊の輸送機は2004年3月、クウェートのアリ・アルサレム空軍基地を拠点に、陸上自衛隊が駐留したイラク南部サマワに近いアリ(旧タリル)空港へ空輸任務を開始。06年7月から任務を広げ、バグダッドへ乗り入れた。  関係者によると、約30回の運航中止のうち残り約10回は、アリ空港への空輸だった。 (共同)
【イラク空自行動基準 不時着時の応戦想定 中日新聞12/17】  イラク復興支援特別措置法に基づき、イラクで空輸活動を行った航空自衛隊がC130輸送機の不時着を想定して、武器使用の手順を非公開の「部隊行動基準(ROE)」で定めていたことが十六日、分かった。「非戦闘地域」で活動していたはずの自衛隊機が、撃墜されて飛行不能に陥る事態まで想定していたことになり、法律と実際の活動との隔たりが明確になった。   ROEはイラク派遣前の二〇〇三年十一月に定められた。C130の不時着後、「機体を包囲された場合」と「略奪にあった場合」に分けて規定した。  不時着した場合、包囲されているだけでは武器使用できず、隊員自身や機体に危険が及び、包囲を突破するしかない場合は武器使用できると規定。不時着して略奪にあった場合、相手が武器を持っていなくても危険が及ぶと判断すれば武器使用できるとしている。  応戦しても機体を守り切れない場合は、機体を放棄して退避すると規定した。  イラク特措法は「非戦闘地域」での活動を定め、政府はイラク空輸について「飛行経路と空港は非戦闘地域」と説明。だが、ROEは攻撃を受けて飛行不能に陥り、不時着した後、襲撃を受けることまで想定している。  実際のイラク空輸では、首都バグダッド上空で携帯ミサイルに狙われていることを示す警報が機内に鳴り響くことが何度もあった。  吉田正元航空幕僚長は退官後、本紙の取材に「地図で示せるならともかく、どこが戦闘地域か否かの判断は飛行機乗りの世界になじまない」と話し、政府説明との食い違いが浮上していた。 <解説>武力行使歯止め低く  イラク空輸活動中に不時着したC130輸送機を守るため、航空自衛隊が定めた部隊行動基準(ROE)。「人」ではなく、「物」を守る武器使用の手続きが判明したのは初めてだ。憲法九条で禁じた武力行使を避ける歯止めは、限りなく小さくなっている。  海外活動を命じられた自衛隊が武器使用するのは、隊員自身や同僚など「人」を守るためだった。  だが、イラク特措法では自衛隊法九五条「武器等の防護のための武器の使用」の規定が適用されている。武器等の「等」には、船舶、飛行機、車両などが含まれ、「物」を守るための武器使用が認められている。  自衛隊海外派遣のため、一九九二年に成立した国連平和維持活動(PKO)協力法は同九五条の適用を除外した。カンボジアに派遣される陸上自衛隊が武力行使する可能性を小さくする狙いからだ。  だが、二〇〇一年十一月に成立したテロ特措法、〇三年七月成立のイラク特措法は自衛隊法九五条を適用。「戦地」派遣を前提にした二つの特措法により、武力行使に至るハードルはぐっと下がったといえる。  もともとROEは、部隊がとり得る行動の限度を政策的判断に基づいて明記し、部隊に法令を順守させることを目的にしている。これにより部隊行動と政府方針が合致する。だが、航空自衛隊が定めたROEは防衛相以外の政治家に示されていない。多くの政治家が知らない「文民統制」が、防衛省・自衛隊で勝手に行われている。 <部隊行動基準(ROE)> 文民統制の観点から、日本防衛、治安出動など自衛隊の任務について、部隊がとり得る対処行動の限度を示した基準のこと。防衛省で策定中とされる。米国は交戦規定(Rules of Engagement)と呼ぶ。

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