下水道 使用料と使用料単価
地元紙が、高知市の今後の下水道料金値上げの方向として、執行部は「現在の使用料20㎥当たり2068円を、国が適正な使用料の目安とする3000円にする方針をしめした」と報道しているが、本当に国はそんなことを言っているのか。
以前にも書いたのだか、国が適正として使っている基準は「使用料単価」である。「平成17年1月21日全国財政課長・市町村担当課長合同会議資料・下水道事業における使用料の適正化」にはこう書いてある。
「現在の使用料単価では汚水処理原価を回収できない事業にあっては…まずは、使用料単価を150円/㎥(家庭用使用料3,000円/20 ㎥・月)に引き上げること」としている。注では「使用料単価:使用料収入を年間有収水量で除したもの」と書いている。3000円とは使用料単価ベースのこと。
だから、
この6月の今年度の財政運営に関わる事務次官通知でも、下水道事業の高資本費対策を適用する基準を「使用料単価が150円/㎥以上である」と、「使用料単価」でしている。
また、「今後の下水道財政の在り方に関する研究会 報告書 平成18年3月 総務省自治財政局・地域企業経営企画室」を見ても、「現状における各団体の下水道使用料の平均は月2,580円/ 20 ㎥(使用料単価ベース)」とし、常に「使用料単価ベース」で話をすすめている。
「大都市の状況をみても、月平均3,000円の水準による使用料設定でほぼ汚水処理経費を回収できること等から、ひとつのベンチマークとしての意味合いを持つと考える。」も使用料単価に基づく指摘である。
だいたい、料金体系は、自治体ごとに違う。20㎥使う人の料金が3000円といっても、それで総収入料が計算できるわけではない。
ちらって他の自治体のHPを見ても、兵庫・赤穂市「総務省からは、汚水処理費用は私費負担という原則のもと、使用料単価を1m3あたり150円以上に引き上げるよう指導されています」。
千葉・野田市「国が、使用料単価が150円に満たない市町村は、引き上げが望ましいとの考えを示している。」
と書いている。
当然であろう。
高知市の使用量単価は現在139.8円、これが20.5%アップとなると、168円となる。何か、国が300円と45%アップを求めてかのよういうのは、財政危機の原因を隠し、市民をだまして負担を押し付けようとしているとしか思えない。
07年度をベースに使用料単価の違いで試算
使用料単価 収入
139.8円 28億7千万
150円 30億8千万
168円 34億6千万
つまり3億8千万円が国の基準以上の負担となっている。
3000円と45%アップした場合は、
202.7円 41億6千円
国の目安よりも11億円近い負担増となる。
ちなみに、与党会派が「値上げに協力しよう」というのは、ほおばりすぎの投資で、今日の財政危機を作った共犯者だから・・・ そう開き直るしかないだろう。
●平成17年1月21日全国財政課長・市町村担当課長合同会議資料
「下水道事業における使用料の適正化」
2.使用料の適正化について
各団体においては、以下の考え方を参考として使用料の適正化を図られたい。
① (略 資本費平準化債の活用にかかわるもの)
② 現在の使用料単価では汚水処理原価を回収できない事業にあっては、水道の使用料単価が176円/㎥(家庭用使用料3,119円/20 ㎥・月)(H15 決算値)であること及び個別処理浄化槽の使用料単価が135円/㎥(家庭用使用料3,075円/20㎥・月)(H15 決算値)であること等にがんがみ、まずは、使用料単価を150円/㎥(家庭用使用料3,000円/20 ㎥・月)に引き上げること。特に、資本費等汚水処理原価が著しく高くかつ経費回収率の低い事業にあっては、早急な使用料の適正化が望まれること。なお、汚水処理原価が150円/㎥を下回る場合は、使用料単価は当該汚水処理原価を上限とすべきであること。
注)汚水処理原価:汚水処理経費を年間有収水量で除したもの
使用料単価:使用料収入を年間有収水量で除したもの
●「平成20年度の地方財政運営のあり方について」「
第四地方公営企業等に関する事項
1 地方公営企業
下水道事業については、地理的条件や個別事情によって料金の対象となる汚水資本費(使用料対象資本費)が高水準となる事業に対する高資本費対策として、使用料単価が150円/㎥以上であることを条件として資本費の一部に地方交付税措置を講じることとしていること。
●「今後の下水道財政の在り方に関する研究会 報告書」
「現状における課題 第三には使用料の適正化の必要性である。
現状における各団体の下水道使用料の平均は月2,580円/ 20 ㎥(使用料単価ベース)であり、汚水処理経費に対する回収率は約6割に過ぎないが、・・・経営の効率化を図りながら使用料を適正な水準まで引き上げることは喫緊の課題である。」
「第2章下水道経営をめぐる諸問題 4.使用料の適正化
「平成15年度決算における下水道の使用料(月平均20 立米を使用した場合。以下同じ。)は、公共下水道で2,580円、全事業平均で2,540円などとなっており・・・」
「下水道事業における使用料については、基本は汚水処理経費に見合った額を設定すべきであるが、他の公共料金(特に水道料金)や住民の負担可能額等を勘案し、当面の間は全国平均として月3,000円の水準を目途に適正化を図っていくべきである。」「現時点で最も使用料による汚水処理経費の回収率が高い、すなわち汚水私費の原則に最も合致しうる大都市の状況をみても、月平均3,000円の水準による使用料設定でほぼ汚水処理経費を回収できること等から、ひとつのベンチマークとしての意味合いを持つと考える。」
各種の図の計算に使われているのも、「使用料単価」である。
図9 経費回収の状況について
(仮定計算の原則は 有収水量×150円/㎥による・・・
図8 使用料(使用料単価×20立米)の分布
また、上に続く文章で、唯一、20㎥つかう条例上の料金にふれているが、それも傍証的な話であり、最後は、
上に続く文章で、唯一、20㎥つかう条例上の料金にふれている。しかし、最後は、地方交付税の措置は、使用単価ベースと、話は終わっている。
「現在、既に月3,000円以上の使用料を徴収している団体は、実質的な使用料(使用料収入/有収水量)では全事業の約4割弱、条例上設定されている使用料ベースでは約3割弱となっている。なお、平成16年度供用開始事業の条例上の使用料の平均は3,125円(平成15年度2,998円)となり3,000円を上回るなど、近年に事業を開始をした団体の使用料設定は比較的高めとなっている。
なお、現行の繰出基準では、平成20年度以降に高資本費対策に要する経費を繰出対象とする場合には、使用料による要件が設定されており、この要件に沿って繰出された経費についてのみ地方交付税措置がなされることとされている。よって、この対象となるためには、平成20年度の地方交付税の算定基礎となる平成18年度決算において使用料を月3,000円(1立米あたり150円)以上徴収することが必要となる。」
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