学力対策と就学援助 子どもの貧困
国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんが「子どもの貧困」を出版。各種の統計を駆使し、日本の貧しい貧困対策を明らかにしながら、少子化対策でなく子ども対策の確立を訴えている。
県下では、単元テストなど学力対策が言われているが、最大の対策は、積極的な貧困緩和策であり、保育の充実であることを改めて痛感する。そのおおもとが欠落し、管理と競争を強めることで、弊害が出るだけと心配する。か。
高知市で財政が厳しいからと、就学援助制度の見直し(削減)を言っているが、小学生で4人に1人、中学生で3人に1人が利用している。一方で、「学力低下」だと、教師塾などあれこれと県とともに「対策」をとろうとしているが、やることが矛盾している。
就学援助制度を見直すなら、充実させる方向こそ必要だ。身の丈にあわない大型事業のツケをなんの責任もない子どもに押し付けるべきではない。
また保育所の民営化をすすめようとしているが、「保育所」は最初の貧困の防波堤である。子どもの発達から親の相談、状況まで含め対応できるベテランの保育士、培ってきた専門性は、重要である。
「子どもの貧困」阿部彩・著より
◇貧困と学力
・PISA調査 ~ 日本の順位の低落
・父母の学歴と子どもの学力との関係 「その差は歴然としている」
03年と06年で、格差は拡大傾向。特に母親の学歴が「初等・前期中等」で低下
・親の職業別と学力格差(より経済状態が反映)
国際標準職業分類の4段階区分。格差は歴然。特に「中の上、下」は差が少ないが、上は突出、下の階層の格差が大きい。上が私学のエリート校としても、公立で格差がある
そしてPISA調査では、日本の上位層の成績は上位国と遜色なく、学力の低い層の増加、低下が著しいという二極化が進むことによって、順位が落ちていることが示されている。
◇子どもの貧困率
OECDで二位。しかも所得再配分後の貧困率が高くなるという異常な国。
さらに世界では、世帯での就業者が1人から2人になれば大きく貧困率が改善する(よって、女性の就労支援が脱貧困の重要な手立てとなる)のに、日本はほとんど改善しない。つまり女性の低賃金、ジェンダー問題がある。
OECD平均 13.7→4.3% と大幅に低下 日本12.3→10.6% わずか1.7%の低下
98-04年比較では、若い父親(20-24歳)の貧困率が35.8%→48%へ。非正規雇用の増加が考えられる。
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