今度は大月町 低レベル放射性廃棄物処分場
柏島など黒潮を体感できる大月町の12月議会に文科省が公募を行うという「低レベル放射性廃棄物処分場の設置調査を受け入れる陳情書」が出された。文部科学省の公募というので、医療・研究施設から出る廃棄物だ。
陳情書には「町は赤字再建団体に近づいている、誘致以外に地域振興策にない」というものだが… 地方を追い詰めて、金で釣るような国のやり方には腹が立つが、地域振興となるか、財政がそんなに危ないのか、を少し見てみたい。
論点は1、地域振興に役立つか。これは東洋町のたたかいで決着済みの議論ではある。
人と自然がふれあう町がキャッチフレーズの大月町のHPには「大月町は、南に太平洋を望み、黒潮洗うダイナミックな海岸線、西は比較的静穏な豊後水道に面した総面積103.04k㎡の町で、約7割を山林が占めています。温暖な気候風土に恵まれ、漁業と農業の盛んなまちですが、足摺、宇和海国立公園の自然美や海中景観を求めてくる観光客も多く、リゾートホテルやオートキャンプ場などの整備を行い、修学旅行などの誘致にも取り組んでいます。」と書いてある。この町のあり方とは一致しない。
それに交付金だが、高レベル輪放射性廃棄物処分場の問題で、昨年3月、吉井英勝衆院議員が東洋町で行った報告会でこうのべている。
「ゴミ捨て場ではないですが、原発を受け入れた自治体は全国にいくつかあります。ここの現実を紹介しておきたいと思います。これは、例えば、新潟県刈羽村。この原発の村では、『ラピカ』という巨大な公民館をつくりました。たたみ1枚10万円といいます。1万円しないたたみに10万円の値をつけてやっていたわけです。
電力会社や官僚のOBなどがつくる財団法人が交付金をもらうための計画書づくりを請け負う仕組みになっています。そうすれば交付金が降りる。しかし、大きなハコモノをいったん建てると、維持費がかかります。維持費は、だんだんかさんできますが、立派なものを建てるほど人件費や電気代などさらにお金がかかります。それは町財政の一般会計から出さないといけません。
ところが原発の交付金は10年たったらなくなりますから、建物に金がかかるのに金がない。となると、次の原発建設を認め、また交付金を貰おう。こうなっていきます。これを『原発麻薬』といいます。2億円(昨年度)であれ、10億円(今年から)であれ、ただの人参ではなく、麻薬です。食べてしまえば麻薬中毒患者の状態になります。これを一度でもかじれば、麻薬中毒から抜けられない仕掛けに追い込まれていきます。最初は、1億や2億の金なら、この麻薬を食べても金だけもらい、計画はちゃらにしておいたらいいというふうに、簡単に思いがちですが、それほど甘くはない。
だいたい文献調査なんてお金はかからないでしょう。なぜ、本来お金がかからないのに、交付金をくれるのか。要するに最初の麻薬を飲まそうというのが、この文献調査の2億円(昨年度)、10億円(今年から)の金です。
それに食らいついてしまうと、今度は、その交付金無しでは町の財政そのものが成り立たないところに追い込まれてしまう。
しかも、交付金の対象となる事業は、ほとんどが、ハコモノづくりです。国民健康保険税が高すぎるから引き下げに使うとか、財政の穴埋めにこの金をいったん使って借金分を減らしてうまいことやろうと思っても、そうはいかない。それが、この原発麻薬の恐ろしさです。
柏崎刈羽原発と同様、東北電力の方もやはりそうで、宮城県女川原発では、漁業の町にマリンパルという魚をみせる施設を作りました。つくった時の計画とは違い、お客さんがだんだん来なくなりました。一回行けば、繰り返しやってくる客がいなくなりました。その結果、大きい建物を造ったけど維持費だけかかるようになり、やはり、女川町も、マリンパルという巨大施設を作ったために、維持費を必要として、2基目、3基目の原発を認めなければいけないという、『麻薬中毒』になってしまいました。そうすると、原発に関する危険がつきまといますから、若者が去り、過疎化が進むなどの問題を抱えています。」
論点の2。大月町は赤字再建団体(財政再生団体のことだと思うが)
確かに、財政はきびしい。それは全国共通だ。財政健全化法にもとづく、07年度決算はどうか。
結論からいえば、大月町は早期健全化団体にもなってない。その次が財政運営の自主性を失う財政再生団体。
「19年度決算に基づく健全化判断比率・資金不足比率の概要」総務省
全国には1800余の地方団体があるが、早期健全化指標で
実質赤字比率2団体、連結実質赤字11団体、実質公債比比率33団体、将来負担比率5団体とある。
大月町は、病院事業の資金不足比率が31%で20%の基準を上回っているが、市町村の病院事業520のうち50事業が同様に20%をうわまわっており、診療報酬の切り下げ、医師不足など政府の社会保障抑制政策によるオールジャパンの問題といえる。
病院事業も含めた連結赤字比率は、1.32%と、基準の20%より遥かにすくない。県内では他に、室戸市8.25%、高知市5.22%がある。
実質公債費比率は18%だが、早期健全化指標の25%、幡多では四万十市18.7%、土佐清水19.8%、宿毛19.9%、黒潮町13.6%、三原村22.7%となっており、特に悪いこともない。
将来負担比率は、財政再生基準はないが、153.4%と350%の比率には達してない。
県内で大月町の数値を超えるのは、308.7%の高知市を筆頭に、室戸、安芸、須崎、宿毛、土佐清水、四万十市
県市町村振興課の19年度決算の資料をみると、財政の硬直度を示す経常収支比率は、大月町は90.3%で幡多では一番よく、全県で9番目に健全な指標となっている。
財政力指数は、0.14と低いが、低い分は、交付税で手当てされるので、大した問題ではない。県内でもっとも低いのは梼原の0.12。しかし、その梼原はもっとも健全な経営をしている。
「19年度県内市町村普通会計決算見込みの状況」高知県・市町村振興課
国の地方切り捨のもと、大月町が、財政再生団体に陥る事態となれば、オールジャパンで半端でない数の自治体がそうなるであろう。
「赤字再建団体になる」といたずらに不安をあおるのどうか。
それにしても、また3区か・・・ 旧佐賀町でも高レベルの動きがあるかのように聞いている。
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