非正社員が38% 厚労省・就業形態調査
「平成19年就業形態の多様化に関する総合実態調査結果の概況」が発表された。
大企業が空前の利益をあげるなか、雇用の破壊がすすんでいることを裏付けている。
非正規化が一段とすすみ、調査の「回答」にあったように、実際、トヨタ、日産の首切りなど非正規が雇用の調整弁として使われている。また、「望んで非正規を選んでいる人がいる」と麻生首相は言っているが、20代では、6割が「他の就業形態に変わりたい」と回答し、そのうち9割は、正社員を望んでいる。
「非正社員が約4割 厚労相の就業形態調査、厳しい労働環境実証」産経11/7
「パートや派遣の割合、4年で3・2ポイント増…正社員は減少」読売11/8「派遣労働者:半数近くが「正社員」望む 厚労省調査」毎日11/8「非正社員37%に増加 07年就業形態調査」中日11/8
ちなみに調査の概要を見て気づいたこと・・・
・非正規が3.2%増。―― 男性で4ポイント、女性が1.8ポイント増であり、結果、非正規の性別割合は、男37.2%(前回34.3%、女62.8%(前回65.7%)。特に男性の派遣社員は約4倍。
・生活をまかなう主な収入源――正社員は、男女ともに「自分自身の収入」が最多で97.4%と52.6%だが、非正規でも、男は「自分自身の収入」が77.2%。女性は「配偶者の収入」が63.2%が最多(女性の労働者の4割がパート)。
派遣、契約社員は、「自分自身の収入」が7割前後。パートタイム労働者でも「自分自身の収入」が28.6%いる(母子家庭はここに位置するのだろう)。
その収入(税込み)だが、20万円未満が、契約社員56.5%、派遣社員51.0%となっている。パートでは92.8%。
この調査の発表では年齢別がかわらないが欠陥。若者の半数が非正規(男性の非正規の増加の要因だろう)であることを考えると(年代の高い部分の夫・正規雇用、妻パートという従来のパターンの影響を排除すると)非正規、低賃金ながら「自分自身の収入」に頼らざるを得ない特に若い世代が浮き彫りになるだろう。
非正社員が約4割 厚労相の就業形態調査、厳しい労働環境実証 産経11/7
企業に勤める労働者の中で、パートや派遣といった「非正社員」が4割近くを占めるまでに増加する一方で、その3割が正社員としての雇用を望んでいることが7日、厚生労働省の調査結果で分かった。企業が賃金抑制や、不況時の解雇を前提に非正社員を雇っていることも判明。景気減速のなかで現実となっている、非正社員を取り巻く厳しい労働環境が統計上で裏付けられた格好だ。
調査は多様化する就業形態の実態をつかむ目的で、およそ4年間隔で実施。5人以上を雇用する1万791社と、労働者2万8783人から回答を得た。調査対象は平成19年10月1日現在の状況で、世界的な金融危機が深刻な状態になる前にあたる。
労働者のうち、非正社員の割合は37・8%で前回15年時よりも3・2ポイントの増、11年時に比べると10・3ポイントも増えた。
非正社員を雇う理由(複数回答)では「賃金節約のため」が40・8%で最も多かった。「専門的業務に対応するため」が24・3%に上る一方、不況時の解雇を前提にした「景気変動に応じて雇用量を調整するため」という回答も21・1%あった。
実際、消費の冷え込みが現実味を帯びてきた今夏以降、各企業では非正社員を“雇用の調整弁”として削減する動きが進んでいる。特に自動車業界ではトヨタが約2000人の期間従業員を、日産も派遣社員1000人の削減を検討するなど非正社員を中心にした大規模なリストラが進む。
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また、労働者側に非正社員を選んだ理由(複数回答)をたずねたところ、「都合のよい時間に働けるから」が42・0%、「家計の補助」が34・8%と多数を占めた。「正社員として働ける会社がなかったから」も18・9%いた。
厚労省では「望んで非正社員になる人もいるが、やむを得ずという人もいるなど、多様な理由によって非正社員層が構成されている」と分析している。
収入(19年9月)をみると、正社員の39・0%が20~30万円と回答した。非正社員では10万円未満が40・5%と最多を占め、収入の格差がはっきりと浮かび上がった。
収入が低いにもかかわらず、派遣の70・5%、契約の68・6%が、生活を成り立たせる主収入を「自分の収入」と答えた。
調査結果からは、正社員と非正社員での職場満足度に差があることも分かった。正社員の満足度は、「雇用の安定性」や「仕事の内容・やりがい」「賃金」「福利厚生」で非正社員を上回った。逆に非正社員が満足度で正社員を上回ったのは、「労働時間など労働条件」だけだった。
職場全体に関する満足度を総合的に聞いたところ、正社員の45・2%が満足と回答したのに対し、非正社員では33・5%にとどまった。
低い満足度を反映してか非正社員では、正社員への登用を望む人も少なくない。今後の働き方に対する希望を非正社員に質問した項目では、30・6%が「他の就業形態に変わりたい」と希望。とりわけ20~24歳で65・9%、25~29歳で57・9%が「他の就業形態に変わりたい」と回答。そのうち9割は、正社員への登用を望んでいた。
非正社員の雇用対策の一環として政府は4日、とりわけ雇用の不安定さが指摘されている「日雇い派遣」の原則禁止を柱にした労働者派遣法の改正案を国会に提出した。しかし、混沌(こんとん)とする国会状況に、審議入りのメドはたっていない。
さらに、改正案が日雇い派遣の全面禁止に踏み込んでいないことから、「ワーキングプアを解消し、派遣労働者の雇用と生活を安定させるものとはなっていない」(日弁連会長声明)といった批判も出ており、非正社員にとっては厳しい労働環境が続きそうだ。
パートや派遣の割合、4年で3・2ポイント増…正社員は減少 読売11/8 パートや派遣労働者など非正社員の割合が2007年10月1日現在で37・8%に上っていることが7日、厚生労働省の調査で分かった。 前回調査の03年から3・2ポイント増加した。正社員の割合は62・2%で、3・2ポイント減少している。 従業員5人以上の1万791事業所と、そこで働く2万8783人の回答をまとめた。非正社員がいる事業所は77・2%で、03年比1・9ポイント増。非正社員を活用する理由を複数回答で尋ねたところ、「賃金の節約のため」が40・8%と最も多く、「仕事の繁閑に対応するため」(31・8%)、「能力のある人材を確保するため」(25・9%)が続いた。 一方、07年9月に20万円以上の賃金を得た正社員は86・8%だったが、非正社員は21・5%のみ。10万円未満しか得ていない非正社員は40・5%に上った。
派遣労働者:半数近くが「正社員」望む 厚労省調査 毎日11/8 厚生労働省が7日公表した「働き方の多様化に関する調査結果」で、派遣労働者の半数近くが正社員で働くことを望んでいることが分かった。不況下で、派遣労働者が職を失う「派遣切り」が広まる中、安定した雇用を求める派遣労働者の意識が浮き彫りになった。 調査は99年に始まり3度目。昨年10月1日の状況を1万791事業所と労働者2万8783人から聞いた。 就業形態については派遣労働者の51.6%が「他の就業形態に変わりたい」と答え、希望の形態では「正社員」が91.9%。47.4%が正社員になることを望んでいることが分かった。理由は「正社員の雇用の方が安定している」(85%)がトップだった。 正社員の割合は62.2%(03年比3.2ポイント減)、非正社員は37.8%(同3.2ポイント増)。非正社員を選んだ理由(複数回答)は、パート労働者は「自分の都合の良い時間に働ける」(55.9%)、派遣労働者は「正社員の仕事がない」(37.3%)がそれぞれ最多。賃金は、派遣労働者は10万~20万円が42.2%(03年比2ポイント減)が最多、パートは10万円未満が60.3%(同9.5ポイント増)が最多で低下傾向が目立った。
非正社員37%に増加 07年就業形態調査 中日11/8 厚生労働省が7日発表した2007年の就業形態の多様化に関する調査結果によると、パートや派遣など正社員以外の労働者の割合は37・8%で、03年の前回調査に比べ3・2ポイント上昇。特に派遣労働者の割合が2・7ポイント増の4・7%と大幅に上昇しており、企業は雇用調整が容易な派遣労働者への依存を高めていることが裏付けられた。 業種別にみると、派遣労働者の割合が最も高いのは情報通信業で9・9%。製造業が9・8%、金融・保険業が9・5%で、この3業種は働く人の「ほぼ10人に1人」が派遣労働者となっている。 非正社員の中では、パートタイム労働者が0・5ポイント低下の22・5%と最も多い。派遣労働者が4・7%で続き、契約社員は0・5ポイント増の2・8%だった。 非正社員を活用する理由(複数回答可)は「賃金の節約」が40・8%で最も多く、「仕事の繁閑に対応」が31・8%、「即戦力・能力のある人材の確保」が25・9%と続いた。 調査は、常用労働者5人以上の約1万6000事業所を対象に昨年10月の状況を聞き、1万791事業所が回答した。
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