経済格差が学力に「影響」約9割 小中教員アンケート
「日本の教育を考える10人委員会」(佐和隆光、尾木直樹、片山善博、佐藤学ら10氏)が、公立の小・中学校の教員1200人から回答を得たもの。
・全国学力調査必要なし74% ・経済的な格差拡大を感じる92% ・家計の格差が学力に影響87% ・残業時間、週20時間以上(過労死ライン) 全体で26%、20代では36%、となっている。
また、教員が負担と感じるのは、「教員評価・学校評価」がトップとなっている。
教員アンケート調査結果のご報告
「義務教育に関する教員アンケート調査」
全国学力テスト「必要ない」7割 小中教員アンケート
【アンケート調査結果に見る注目すべきポイント】 ①教員の勤務状況、環境について ・臨時的任用教員や非常勤講師など常勤の正規職員以外の教員数が学校内教員の2割を超えているという回答が全体の22%にのぼる! ・教員が負担と感じるのは、「教員評価・学校評価」、「保護者・PTAの対応」、「会議」など、授業以外の業務である! ⇒ 非常勤講師の割合が増加しているのは、義務教育費国庫負担金の割合が3分の一に減額され、都道府県負担分が増加したことや公務員定の一律数削減政策などによると考えられます。非常勤講師は身分が保証されておらず、研修も十分 に受けられないため、必ずしも質の高い教育の提供つながらないのではないかと懸念されます。 ⇒ 教員の業務負担について、事務や保護者対応に負担を感じていることから、授業の準備や実施など本来の業務に十分な時間を確保できているか疑問です。②近年の教育政策について
・「全国学力・学習実態調査」については、「サンプル調査で十分」、「必要ない」という意見をあわせると、73%にのぼる!
⇒ 全国学力・学習実態調査については、膨大な労力と予算が必要であり、しかも、文部科学省の要請に反して学校別・地域別結果を公表する自治体が増え始めています。現場の意向も踏まえて、目的・効果や実施方法を検討し直し、サンプル調査にするか、廃止することが望ましいと言えます。③教員人事について
・全体の73%が「教員免許更新制は必要ない」と考えている!
・昇任や異動について、「コネ」や「情実」が影響していると感じているのは全体の約6割にものぼる!
⇒ 教員免許更新制については、「教育活動への支障」や「講習では質向上につながらない」という現場の意見・判断や、既に各自治体で不適切な教員を排除する仕組みが導入されていることを踏まえても、膨大なコストと労力をかけて行う
意義や効用があるとは考えにくいところです。
⇒ 昇任や異動については、不適切・不当な「コネ」や「情実」の影響を排除するように、透明かつ公平な人事の仕組みにすることが求められます。④教育現場における問題について
・全体の84%の教員が、「保護者からの過度の要求への対応」に負担を感じている!
⇒ 保護者からの過度な要求への対応については、個人で対応するのではなく、教育委員会や学校、さらには同僚などが連携しながら対応する等、マネジメントの視点から検討し、適切な仕組みと対応方式を具体化する必要があると考えら
れます。⑤児童・生徒の家庭について
・全体の92%が「経済格差が拡大している」と感じており、そのほとんどが「経済格差が学力格差につながっている」と感じている!
⇒ 実態として家庭の経済格差が学力格差につながっている傾向があり、このままでは学力の二極分化と教育機会の不平等拡大が懸念されます。⑥教員を続けることについて
・「教員を辞めたいと思ったことがある」のは、全体の6割を超える!
⇒ 業務多忙により多くの教員が疲弊しているものと推測されます。これは、質の高い教育を実現するうえで、大きなマイナス要因であると考えられます。「日本の教育を考える10人委員会」のメンバー
佐和 隆光(立命館大学政策科学研究科教授、京都大学経済研究所特任教授)
(委員)
市川 昭午(国立学校財務センター名誉教授)
尾木 直樹(教育評論家)
小野田 誓(元日本PTA全国協議会相談役)
(故)黒崎 勲(日本大学教授)
斎藤 貴男(ジャーナリスト)
佐藤 学(東京大学教授)
樋口 恵子(東京家政大学名誉教授)
藤田 英典(国際基督教大学教授)
宮崎 緑(千葉商科大学教授)
渡邊 光雄(南相馬市社会福祉協議会常務理事、元福島県原町市教育長)
【全国学力テスト「必要ない」7割 小中教員アンケート 産経11/13】 全国学力テストについて、公立小中学校教員の約7割が「必要ない」と考えていることが大学教授や教育関係者でつくる「日本の教育を考える10人委員会」の調査で分かった。 調査はインターネットで8月に実施、全国の公立小中学校の教員1200人が回答した。小6と中3の全員を対象に実施している全国学力テストを「引き続き行う必要がある」としたのは21%。「必要はなく、調査校を一部抽出して行えばよい」が30%、「必要はなく、各自治体の調査でよい」が44%だった。 事前にテスト対策をしたと答えた教員は13%。全国テストの結果を授業改善に活用しているのが44%、活用していないのは43%で拮抗(きっこう)した。 児童生徒の家庭状況について聞いたところ、給食費の未納などで経済的な格差の拡大を感じているのは92%に上った。家計の格差が、児童生徒の学力格差に影響を与えていると考える教員も87%と、高い割合だった。
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