療養病床削減で「救急難民」激増
「療養病床削減」が、高齢者の居場所をなくすとともに、救急体制の崩壊に結びつくことを何回か取り上げてきた。
県議会でも医療体制全体にかかわる問題と質問をしたが、県当局は「療養病床に入院している患者さんの約50%が、医療の必要性の低い方」「療養病床の再編は…患者さんの状態にふさわしいケアを提供できる体制づくりをめざすもの」「療養病床の再編成によって救急医療へ大きな影響を及ぼすものではない」と答弁した。
しかし、当の急性期病院の約9割は、同計画に反対し、病床の維持または増やす必要を訴えている。
「療養病床削減に関する急性期医療機関の影響調査」全国保険医団体連合会11/21
国のベッド減らし、“救急困難”に拍車 医療介護CBニュース
同記事の中で、調査した保団連の「(厚労省の計画によって)患者が急性期病院に搬送されても、後方連携する先(療養病床)が極端に不足する事態となり、救急をはじめとする急性期医療にも支障が出て、地域医療の存続自体が危ぶまれる」とのコメントを紹介している。
21日、保団連は①介護療養病床廃止を撤回し、介護療養病床の役割を評価すること。②医療療養病床については、2012年4月以降も現行の看護・看護補助の配置を認め、医療区分1をはじめ診療報酬を正当に評価すること。③介護療養型老人保健施設は、休日・夜間等における医師及び看護体制が十分に確保できる基準と報酬に引き上げ、従来型の介護老人保健施設からの転換を認めること。を要望している。
◆調査の概要は
☆12都府県、247の救急病院が回答
☆「療養病床が廃止・削減で、救急医療体制が確保できると思うか」
・少なくとも現状の病床数の維持が必要」 54.3%
・今より病床数を増やすべき 32.1%
・問題なし 7.8%
☆急性期病院からの退院の受け皿となる後方病院の状況
・現在でも不足 47.1%
・何とか確保 41.2%
・問題なし 3.8%
☆療養病床削減の転換先とされる新型老健(介護療養型老健)について
・受け入れ先として不適 47.1%
・患者の急変時の対応が可能かどうかで判断 38.9%
・問題なし 4.3%
といずれの問でも、9割近くが「問題あり」との認識をしめした。
“医療難民”“介護難民”そして“救急難民”が続出する。
【介護療養病床の廃止を撤回し 必要な医療と介護が提供できるよう、診療報酬、介護報酬を引き上げてください】 2008年11月21日 全国保険医団体連合会 会長 住江 憲勇 前略 国民生活の向上に対する日頃のご努力に敬意を申し上げます。 さて、一昨年の通常国会で「医療制度改革関連法」が成立し、介護療養病床を2012年3月末で廃止し、医療療養病床を大幅に削減することとされました。 医療療養病床は、都道府県医療費適正化計画における2012年度の療養病床の目標数は、現在の医療療養病床とほぼ同じ22万床に政策転換が図られることとなりました。 しかし、これで現在の医療療養病床が確保される確約が出来たわけではありません。2012年4月から看護・介護職員配置が強化され、これを満たせない場合は診療報酬を引き下げられる可能性があります。看護・介護職員不足の中で職員配置の強化に対応できない療養病床が少なくありません。現在でも医療区分1は、実際にかかる経費の8割程度しか診療報酬が設定されていません。 また、介護療養病床については、現場や患者からは廃止中止を求める声が大きく広がっているにもかかわらず、いまだに中止には至っていません。 介護療養病床の転換先として、介護療養型老人保健施設が創設されましたが、夜間の医師や看護職員の配置が手薄くなり、現在の入所者を入所させ続けることは困難になります。 こうした中で、全国保険医団体連合会では、急性期病院に療養病床削減に関する影響調査を今年10~11月に実施しましたが、①後方病院は現在でも不足、②介護療養型老人保健施設は受け皿として不十分、③療養病床の維持・増加が必要、であることが明らかとなりました(12都府県:247病院より回答)。 このまま介護療養病床が廃止され、医療療養病床が削減されれば、どこにも行き場のない、いわゆる「医療難民」「介護難民」が各地であふれることは明らかです。 つきましては、地域住民が、安心して必要な医療と介護を受けられるようにするために、下記の事項の実現に向け、何卒ご高配を賜りますようお願い申し上げます。 記 一、介護療養病床廃止を撤回し、介護療養病床の役割を評価すること。 一、医療療養病床については、2012年4月以降も現行の看護・看護補助の配置を認め、医療区分1をはじめ診療報酬を正当に評価すること。 一、介護療養型老人保健施設は、休日・夜間等における医師及び看護体制が十分に確保できる基準と報酬に引き上げ、従来型の介護老人保健施設からの転換を認めること。
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