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世界の流れが読めない。逆走する日本政府 石川講演 備忘録

 昨日、働く女性の高知集会で、石川康宏先生(神戸女学院大学文学部教授)が「わたしのくらしはどうなるの? 貧困・格差・金融危機のなかで」をテーマに講演した。「激しく学び、激しく遊ぶ」をモットーにジェンダー問題、九条を生かした経済活動などにとりくむ気鋭の研究者。講演の流れは、①経済の実態の話、②構造改革の中心にいる財界とは ③金融危機の影響の仕組み ④世界と日本の動き、展望 ④インターネットの活用と学習
というものだった。
 その中から、マネー経済と世界の政治、経済の流れの話を、いつものように私の学んだと受け取ったなメモを紹介。 世界変化のダイナミズム、流れを読めない日本政治の後進性が浮き彫りになる。漢字が読めないだけではない・・・

 講演の最後は、若者に運動の姿が見えてない問題、「運動オタク」とならない取り組み、インターネット、ブログの発信が大事、相手に面白いと思う対話をするには、常に勉強しないとダメだ。勉強は独習が基本など、労働運動、市民運動のあり方にも触れて発言されユニークなものだった。

   「わたしのくらしはどうなるの? 貧困・格差・金融危機のなかで」08/11/24より ・マネー経済の話。小麦金値上がりした。肉も油もあがった。うんどやさんが大変。ある日突然、材料代があがった。彼の責任ではない。自動車産業が非正規をねらって首切り。学生はやっと内定とったとおもったら採用の取り消し。なぜこんなことが起こっているのか。すべてバクチ経済の迷惑。 ・どんなことか。金返せない人に金貸した。その権利を他人に売ってしまうことを考えた。「金返せ」の権利を売った。住宅ローンは、値があがっていると金は取り戻せると考えたが、値がさがったので、返せない。だったら家をとりあげても、「金返せ」の権利をもった人は、全然元がとれない。莫大な喪失をこうむってつぶれた。これがサブプライムローン問題。バクチやってる者が、その連中の間だけで損をこうむっていたら、我々には関係ない話。それが我々に迷惑がこうむっている。金持ちたち、日本の大企業が貯金200兆円もある連中が、住宅などの証券は危ないぞと金をひいて、別のもうけ口を捜し、石油、食料品に行った。みんなが石油買った。それでめちゃちゃ値があがった。みんなが迷惑した。 ・アメリカ経済がこわれはじめている。金余りと投機の自由。食えない人が出ても、儲けさえすればどうなってもよいという経済。しかし、金余りというが、世界の人口の8億人以上は飢餓。食うに食えない。その人にために余っているお金を使えないか考えますよね。でも使えない。資本主義では金は金儲けのためにしか使えない。 ・こうしたやり方はまずいぞとヨーロッパは規制をかけている。これに反対しているのがアメリカと日本。洞爺湖サミットがあった。食料危機を議題にしなから、みんな美味いもの食ったのが話題になったが、議長国は日本。何を話合うか決める権利があった。ヨーロッパは投機マネーを議題にあげてくれと言ったが、福田さんは「ダメです。アメリカが反対しているから」と言った。うどん屋さんも貧乏学生も大変なのに、そういう人間は救わないと日本の首相はいったということ。今、世界の経済の仕組み、金融危機でアメリカのトップの5つの投資銀行がなくなった。もっとも儲かってた部門がなくなった。この危機にG8では対応できなくなって、G20となった。ブッシュの横にブラジルと中国が座っている。今、アメリカは余計だというのが世界の流れ。それでオバマが出てきた。どれだけ変われるか、これからですけど。 ・世界が大変な変化の時にあるからこそ、変化に絶えられる社会を作るのが大事。アメリカがこけたら全部だめになる。アメリカがこけてもやれるようにヨーロッパとか、アジアとかに分散しとけ、という話。世界で何があっても国内でやっていける経済にすることが大事。それが内需を拡大すること。日本の経済の5割から6割は個人消費。私たちが毎日節約しながらも飯食って、ときどき服をかったりしているのがすごい役割はたしている。この力を高める一番の方法は、非正規の人を正規にし、社会保障を充実させること。そしたら毎日の暮らしに自分のお金を使えることになる。貯金しなくても年金が安心とか、ちゃんと給与が毎月はいるとか、そうしたら少しずつでもお金を使える。そうしなくてはならない。 ・世界の平和の問題について。100年前は帝国主義の時代。独立国は20カ国くらい。45年に戦争が終わったが、その時の国連加盟国は50カ国。この中でアジア、アフリカは12カ国。今、193国。アジア、アフリカの国で100カ国。だから今国連を開いたら途上国主導で動く。先進国と言われる国は中心部にいて、常任理事国の特権を持っているが少数派。かつて植民地国といわれた国が主導権を握っている。 ・政治の問題。イラク戦争は140カ国が不同意。圧倒的多数が反対した。それでも力があるとはじめたのがイラク戦争。それが大統領選挙で見直しましょうとなった。その理由は、戦争が上手くいかないのが1つ。もう1つが戦争をやっているうちにアメリカの威信がなくなり、誰もがアメリカの悪口を言うようになった。これを何とかしないといけないというのが大統領選挙の大きなテーマ。それをオバマンさんはチェンジ、チェンジと叫んでいた。 ・経済的にも、ブリックスという国が台頭してきた。これはブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国。2035年には、GDPといってモノを生産する能力でG7を追い越す。ものすごい変化。世界経済の中心は、アメリカと日本とヨーロッパだという時代は明らかに終わりつつある。南米、ユーラシアが経済の中心となる。中国は社会主義をめざしている。ブラジルの政権党の大会では、最初に社会主義を議論している。資本主義のままで私たちは豊かになれるだろうかと。世界の変化はおもしろい。  世界の経済で一番上手く行っているのは北欧。1人あたりのGDPでアメリカより遙かに高い。人間を非常に効率的に生かしている。絞り上げるのじゃない。社会保障が手厚い。年金は働いているときの8割もらえる。子どもは独立しているから、使い切れない。もうそんなに腹も減らないし。そういう国が世界に出てきている。その中で、腕力が強いだけで、お金があると世界を混乱におとしいれたアメリカが世界の中でものすごい不人気となった。そして自分の落とし穴にはまっている。  EUは去年ベルリン宣言をした。これはEUの大統領と外務大臣をおく、つまり連邦国家になる道を選んだ。そしてTACに加盟する。TACとはアセアンが始めた平和友好条約。お互いは絶対戦争しないという条約。そこにEU27カ国がまとまって加盟。英仏独の有識者アンケート、これから大事になる国はどこか。トップが中国、アメリカは二番、その次はインド、次が日本。世界の先を見ている人は、こう見ている。ケンカが強いだけのアメリカについていくことしか考えない麻生太郎はホントに何も見えていない。 ・中南米では全体の協力で貧困を乗り越える試みが取り組まれている。ベネズエラは石油が出る。石油をキューバに安く分けてあげる。キューバは教育、医療の水準が高い。お金ではらうんじゃなく、医者をベネズエラに派遣してタダで診てあげる。ベネズエラは医療水準が低くて、これまで白内障で失明する人がいっぱいいた。それを次々とタダで治す。そういう力の合わせ方をしている。アジアではアセアン憲章。この10カ国は、共通憲法をスタートさせることを決定した。絶対戦争しない条約をつくりあげたのはアセアン。いま25カ国、地球人口の6割。びっくりしたのは北朝鮮まで入れた。アメリカが怒っても、中国が説得しても言うことをきかなかった北朝鮮がアセアンの呼びかけで、絶対戦争はしないという呼びかけにイエスといっている。この世界を変化させる力を、この間まで植民地だった国々が発揮しているのが現代の世界。 ・日米関係。この変化の中で、自民党の新憲法草案が2005年10月に出た。特徴の1つはかつての戦争の反省をすべて消す。もう一つは、アメリカとともに海外で戦争ができる国造り。世界の全体は、アメリカの無法を如何にしてストップさせるかを議論している。国連憲章にもとづき、もめごとを如何に話し合いで解決することを実行するかを議論している。なんで日本は無法者のアメリカを応援して、みんなが戦争のない世界を望んでいるときに、戦争をする国づくりを議論しないといけないのか。世界中から孤立してる。1人だけ後ろむいて走っているような国。麻生首相は、この間、国連総会で、日米同盟を不変の基軸にと言った。G20の時にも「ドルを支えよ」と1人だけ言っていた。時代に乗り遅れている。 ・アメリカの外交は、世界の変化に乗り遅れていて「まずいぞ」という自覚がある。アジアでは、05年から東アジアサミットが始まった。16カ国で東アジア共同体をつくるという話。アメリカは最初反対でつぶそうとした。しかし、どんなに威嚇しても言うことをきかない。まずいと思い、そこで東アジアのルールは、アメリカの企業にとって活動しやすいルールになるのかどうかが関心事となり、アメリカは日本に「日本よ、腐っても東アジアの一員だろ。だからそこに入ってアメリカの大企業が儲けられるルールづくりに努力しろ」と言った。そしたら日本は「申し訳ありません、中国は口をきいてくれません。韓国も口きいてくれません。東南アジア皆怒っています」といった。靖国問題。そこでアメリカのシーファー駐日大使が改めて靖国問題を調べた。靖国神社の遊秀館という戦争博物館の展示は全部英語訳がついている。シーファーが見に行ったら「あの戦争はルーズベルトにはめられた」と書いてある。シーファーは怒った。その年の暮れ、遊秀館は一週間閉鎖して対米関係のところだけ書き換えた。こんな卑屈な民族主義者もめずらしい。アメリカは靖国問題で東アジアと話ができない日本は子分として役にたたないと判断。それでブッシュが直接、小泉さんに靖国はいくな、と言った。小泉はどうしても行くと言ったら、次の総理はいくな、と言った。それで安倍さんも福田さんも行けなかった。創氏改名は朝鮮人が望んだといった麻生さんも行くと言えない。追い込められた。慰安婦問題でも突然議会で決議があがった。安倍晋三を黙らせるため。アメリカは日本がアジアで発言力が回復できるように靖国勢力をつぶしにかかった。それで06、07年とアメリカとの間でギクシャクが起こった。それが福田さんが政権を投げ出し、もどってきたのがなんと麻生太郎。彼は、靖国は国家が奉るべきだといっている。アメリカの政策と明らかにに違うし、東アジアからも総すかんに決まっている。自民党はこんな人間しか首相にできない。世界の動きは何も見えてない。恐ろしいほどの人材難。漢字読めない男が首相になってる。アメリカはアメリカで世界の変化に対応しようとしている。だからオバマ。ところが日本の自民党には変化が一つも見えてこない。 ・さて、この社会をどう作りかえていくか。大企業や財界が主人公でなく国民が主人公ということ。そして平和な世界を、ということ。国民は自民党政治があかんことはたいがいの人はわかっている。だから麻生さんの支持率も、給付金といっても少しも上がらない。麻生さんもどう配っていいかわからない。それには愛想をつかしている。週刊文春が、麻生内閣アホバカランキングが載っていた。どの大臣がどんなバカなことを言ったが一覧表になって載っている。これほどバカにされる内閣にない。 ・ところが民主党も支持率があがってない。「民主もなぁ」と思っている。「どうすればよいか」と思っている。その時、私たちは、自民もあかん、民主もあかんというだけでなく、こういう政治をつくりましょうとうってでることが大事。うってでるというのは難しくない。憲法どおりの日本を作ろうということ。今、7100の九条の会があり、九条を守るは国民の過半数の声。だったら条文だけでなく本気にやってみようということ。憲法は平和の問題だけでない。24条は男女平等、25条は生存権。首のすわらない赤ちゃんからもうあとのないお年寄りまですべての国民に健康で文化的な生活を送る権利があると書いてある。金持ちは…とは書いてない。それを保障するのは、「国は…」と書いてある。何で生活保護をうけられない人が国民の8%、9%いるのか。なんで「おにぎり食べた-い」と言って人が死んでいくことをこの国は見過ごしているのか。ホームレスは冬になれば凍死の危険がある。しかし、バカみたいなところに金を使っている。立派な港をつくるとか、使いもしない空港つくるとか。関空第二滑走路と神戸空港って直線距離で20キロしか離れてない。漁船でいけという距離。片方一兆円で片方五千億円かけて作っている。そんな金があれば日本中のホームレスにプレハブ建ててあげて、あったかいブタ汁を食べさせてあげて、毛布を与えるくらいすぐにできる。ホントに人間を大事にしない政治。でも憲法は人間を大事にしようと書いてある。ぜひ憲法の全部の条文を読んでほしい。この憲法どうりにしたらすごいなと感じてもらいたい。

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