財政「健全化」法 狂想曲③ 公社・三セク
財政「健全化」法の公社、第三セクターへの影響~ 将来負担比率に影響するとともに、事業の整理・廃止にすすむと、実質赤字比率に直接影響する。また、雇用、経済など公的役割の総合的な判断が必要であるる。
・第三セクターと自治体財政
・滋賀県の造林公社
・土地開発公社
について整理したもの。
造林公社の例は、高知県の「林業整備公社」の問題として参考になる。
(5)公社・第三セクターが自治体財政に何をもたらしているか
◆第三セクターと自治体財政
①第三セクターの状況
・赤字法人が1/3。しかし黒字も自治体からの補助金や貸付金で操作できる
補助金層が3268億円。貸付金残高2兆5558億円
・損失補償契約に係わる債務残高 2兆764億円 → 健全化法との関係で直接問題となる部分
②「第三セクターに関する指針の改定」2003年12月
・ 財政運営に大きな影響を与えるとし「必要に応じて、事業の見直し、廃止、民間譲渡、完全民営化等を行う」「問題を先送りすることなく、法的整備も含め抜本的な対応を行なう必要がある」
~ 経営の悪いところは、早急に処理すべきのメッセージ
・公的支援は、収入でもってあてることが適当でない経費、いわゆる政策的不採算部門 に限る。
~ 単なる赤字補てんを厳しく制限する指摘
・損失補償契約 「補助又は貸付等により、財形の安定性を高めることにより資金調達が可能とするのが適当」
「将来の新たな支出負担リスクを回避する観点から・・・ 損失補償は原則行わない」
◆「第三セクター等の資金調達に関する損失補償のあり方について(中間まとめ)」 07年10月
①財政健全化法と「中間まとめ」
「巨額の債務を負うリスク」「議会や住民…十分な議論がおこなわりないまま」「安易に締結」のケースが散見される
として「規律の強化を図るため新たな仕組みが必要」
→ 「健全化法」との関連について
「損失補償の一定割合を将来負担額に算入すべき」と提言
②将来負担率と第三セクター ~ 将来負担率のみ
「指針」で示された中身が、健全化法として強制力をもって推進される。
③大阪市 ワールドセンター、アジア太平洋トレードセンターの破綻。
・調停 金融機関が835億の債務放棄。大阪市が残余1046億円の損失補償/30~40年の期間
・二次破綻の懸念 処理策へ → 多額の損失補償の発生の可能性
④第三セクターの多様性への対処
・公共性の薄い、自治体の財政リスクの高いもの ・・・ 整理が進むだろう
健全化法・・・政治的配慮からできなかった政策判断、処理を促す役割
・地域経済や雇用の要となっているもの
健全化法は、病院と観光事業を同一のモノサシでみる欠点があるが、第三セクターでも同じ。
⑤議会や住民による民主的統制を
・07.1「債務調整等に関する調査研究会」→ 地域力再生機構の活用もふくめ対応を。第三者機関での整理
・安易な第三者機関まかせでなく、地域で果たしている役割も評価しての対応を。
◆造林公社の債務超過 ~ 滋賀県の例から
①実情と背景
・ 森林の1割、2万haを管理。1000億円を越える債務。
・ 背景は、高度成長での木材需要に応える国策として推進
分収林(地主は別)として、とくに条件不利地の人工林を推進 → 全国的に造林、林業公社設立
滋賀県 人工林率 85年までに20%から55%へする計画
また、琵琶湖の水源対策としても森林整備が求められる
65年造林公社、72年琵琶湖総合開発特別措置法により治水対策の造林を実施。残事業をびわ湖造林公社が実施
②分収造林、造林公社運営の仕組みと破綻
・分収造林 地権者と契約、造林し、伐期の収益を分け合う。その収益を公社運営の主財源とする。
→公社は、伐期にたっする数十年は、自主財源がない…農林漁業金融公庫の借入、国、県の補助金で運営
・経営悪化の原因
条件不利地での展開 ~ コスト高の要因
65年・林野庁「林業公社の設立許可その他の指導監督について」
「公社は、山間僻地、離島等の未開発の林野を対象」「急速かつ計画的に拡大造林を行う」と指導
借入金の資金調達 国は、一般財源でなく借入の運営を選択。民間の造林は自己資金で」の鉄則を無視
木材輸入の自由化政策 外材 65年29% 今80%。 価格低下
国の政策追随と問題の先送り
・破綻 特別調停の申し立て
公庫からの借入金に滋賀県が損失補償を締結していることがポイント
負債総額1057億円。木材販売によっても483億円の損失。
調停が成立し、債務が圧縮されたとしても、損失が請求される 255~121億円(京都新聞)
県は、国に金融支援対策を求める
③財政健全化法の指標への影響
将来負担比率に、損失補償債務が算入される。
損失補償の実施となれば、一財の投入。実質赤字比率を増大させる。 /滋賀県 5%を突破する
④公的責任を果たす地方自治体へ
・第三セクターに対する自治体の損失補償には、国の政策によって仕組みが作られたものが多数あり、こうした損失補償は、一律に指標に反映させないよう国に求めることが必要
・第三セクターの果たして来た公的役割の安易な放棄に組しない。
造林・林業公社 ~ 水源涵養、地球温暖化などをきちんと評価すること必要。幅広い議論が必要
◆保有土地の活用・処理をすすめなければいけない 土地開発公社
①将来負担比率と土地開発公社
・72年「公有地の拡大の推進にかんする法律」で設立された特別法人。自治体の100%出資、依頼で土地を先行取得。
公社 土地の優先交渉権はあるが、設立団体の出資金以外に基本財権はない。金融機関からの借入で対応
公社の債務は、実質、自治体の負担。自治体は、将来、公社から土地を再取得し公共事業を実施する
・将来負担比率にかかわる負担
一号土地(設立団体の依頼によるもの) は契約額
二号土地(公社自ら工業団地、住宅団地の造成のために取得したもの)は、
現金、預金、低価法で計算した土地の時価評価額などを負債から控除した額
②増大した土地開発公社の将来負担
・公社設立のきっかけは高度成長 … 都市化の進展・社会資本整備の要求、地価の高騰に対応として設立
「優先交渉権」と「自治体の債務保証制度」により、土地の取得がスムーズに展開。大きな役割を果たした。
・議会の承認、煩雑な手続きを回避
自治体の土地取得には議会の承認が必要。公社の借金は一般会計に直ちには影響しない。目的が不明確でも取得可能
→ これにより土地取得が拡大
右肩あがりの経済では問題とならず。金利、事務費も地価の高騰で解消
・バブル崩壊の影響
右肩あがりの制度設計が崩壊 → しかし、国は公共事業を推進、土地取得に様々な優遇策 ⇒矛盾が激化
議会の承認が必要でなく、バブル崩壊後の対策で、土地取得が進んだ
自治体の財政悪化が、公共事業の減少、公社の経営難を生み、それが自治体の財政を悪化させる悪循環
06年末 5年以上保有76%、10年以上 55% 「塩漬け土地」
公社を舞台にしたスキャンダル
③土地開発公社の経営改善の課題
00年7月「土地開発公社経営健全化対策」
債務保証した土地の縮減 遊休保有地の用途変更
→ 自立更生が難しいところは「健全化団体」として財政支援
04年12月 新「土地開発公社経営健全化対策」
5年以上保有する土地の全体にしめる簿価総額の大きさで、1~3種の健全化団体に指定。そして財政支援
「土地開発公社経理基準要綱」の改正
再取得の見込みがない土地の時価評価と簿価の差を、特別損失に「土地評価損」として計上。
→ 固定資産の課税対象にする。再取得の見込みのない土地の利息は、当該年度の費用として計上
④健全化の課題
重要なのは、財政運営と施策のあり方の検討 処分とともにまちづくりのビジョンのあり方が重要
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