下水道料金値上げ 前回改定との整合性
高知市で下水道料金値上げが提案されている。あらためて前回(04年)の料金改定議論を振り返り、課題整理を試みた。
そこで執行部の提案についてだが・・・ 基本となる資料がなく議論の前提がない。方針の一貫性、整合性もない。財政危機を手っ取り早く市民に押しつけるだけのまじめな提案と言えないというのが率直な感想だ。
①「雨水公費・汚水私費」というだけで基準内、基準外繰り出しが示されていない。
特に、国は、18年度に汚水についても公共水域の水質確保など汚水処理の公的役割、経営安定化から公費負担を認め基準を変えているが、その説明もない。
②一般財源からの繰入にはそうした基準内の繰入額、資本費に対する交付税措置、資本費平準化債の(当面)利子分(元利償還100%交付税措置)がどう反映しているのかの説明がない。
③04年の料金改定議論(下段にメモを作成)では、「公営企業安定化で認められた平準化債」を、高料金対策に横流し、一般財源からの公費負担を減したが、それでも「高料金対策の公費負担は従来と変わらない」と説明していた。今回は「高料金対策」についての考えがまったく示されてない。整合性がない。
④前回の改定では、一般会計の財政危機から「20億円減す」ということが根本(部長答弁)にあった。今後は、新規の汚水幹線は実施せず、終わって区間での整備をすすめ普及率をあげていく。と計画の大きな見直しを示していたが、今回、普及計画はほとんど見直されていない(今年6月の総務省通知でも見直しを指示している)。
高知市の下水道普及率は、49%だが、現在、国が指標としている汚水処理人口普及率を見ると06年度末で71.75%となっている(県土木部下水道課HPより)。その理由は合併浄化槽の普及率が74051人(下水道の処理開始公示済区域外)で、人口比で22%あるからである。下水は60年かかってこの普及率。合併浄化槽はここ10年あまりで、ここまで普及している。下水が普及してない地域(51%)では、半分の近い人(22%/51%)は浄化槽で処理しているので、今後、周辺に下水を伸ばしても、接続率は伸びる見込みはない。
下水と浄化槽では、財政負担が全然違う。しかも震災に強いのは分散型の浄化槽だ。下水にこだわるのは、ホントに危機管理を考えていると思えない。
⑤市の3年で180億円の収支不足対策の値上げだったわけだから、3年間の計画が終了したなら、むしろ元の料金に引き下げるのが筋。現在の料金を続けることでさえ、説明責任が必要だ。それをさらに値上げ!
前回の3年で20億円の負担増に続き、今回の3年で18億円。04年の改定前に比べれば、1年で12.7億円の理不尽な負担増となる。
先日、財政懇話会で小西砂千夫先生が投資的経費について「ほおばりすぎ」と指摘したが、ダブって見える。
◆04年9月議会、建設下水道部長の答弁
「19.4%の値上げの理由,繰入金が45%から22.5%に下がった理由」
1.一般会計の財政危機から、「従来どおりの繰り入れは非常に困難となり」、3カ年で,20億円の削減を図る。
2.施設の増加等によります維持管理費の増加と,施設整備費に係る起債の元利償還金の増加により,資本費平準化債を導入しても大幅な収入不足が生じる見込み。
3.今回の財政計画期間,一般会計からの高料金対策繰入金の公費負担を従前の2分の1の22.5%としておりますが,この率に資本費平準化債の充当率24.4%を加算することによりまして,その率は46.9%と,従前の公費負担割合45%より2ポイント程度上回る。(と公費負担に変わりがないことを強調)
4.資本費平準化債は,供用開始6年から25年までの下水道事業が要件だったが、「16年度からは国の地方公営企業の健全化を図る施策と」して「25年までの要件が撤廃され」た。
5.将来は一般会計からの基準外の繰り出しに依存しないよう」「下水道整備を進める」。
◆ 〃 建設常任委員会 17-19年の汚水経費についての部長、副部長の説明より
・支出 133億3,750万1,000円。この内訳は,維持管理費汚水40億8,605万2,000円,資本費(元利償還金)汚水は92億5,144万9,000円。
・収入 使用料収入70億5,225万4,000円,高料金対策繰入20億8,157万7,000円,その他の収入,資本費平準化債22億5,933万8,000円で119億6,970万6,000円
・不足分13億6,779万5,000円。
・高料金対策費繰入 支出の資本費汚水の22.5%。資本費平準化債が24.4%。計46.9%の公費負担という算定。
・負担区分 汚水分 維持管理費55.3%,資本費38.1%。
・公共下水道事業にかかわる繰出基準及び運用については,今回算定した根拠を載せている(と資料提供。)
・「下水道も聖域やないということで20億円削減という形になって」いる。「これを逆算すれば22.5%しか執行負担ができない」「あくまでもその根本は財政論の中の20億円」。
・部として今後の制度の進め方。1点は大規模の工事,汚水に関しては「新規の金を非常に食う汚水幹線はしない」。「今終わっている区間の面的整備を鋭意進めて,普及率を上げて使用料増を図りたい」「生活密着型の町内の整備を考えて」いる。「大規模工事は,汚水に関しては一たんは平成20年以降に落とす」。
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