子どもの貧困 中学生以下の無保険・3万人
子どもの貧困が社会問題化するなか、9月高知市議会で、「子どもの国保保険証の取り上げをやめよ」と追及したが、市長は、「厚労省も調査中であり、その結果と現場の意見を聞いて判断したい。いましばらく時間がほしい」と答弁していた。その調査結果がでた。3万3千人の中学生以下の子どもが医療を受ける権利を奪われている。子どもの貧困の実態の一端が明らかになった。ただ、子どもの権利条約は、子どもを18歳未満としているので、調査、発表には疑問がある。おそらくもっと多くなるであろう。
無保険:子ども3万人 短期証交付、自治体に通知--厚労省 毎日
自治体対応にムラ 保険証ない中学生以下3万2千人 朝日
医療保険ない子ども、全国3万2千人…健保滞納で 読売保険証ない子、3万人超 国保を親などが滞納 日経
政府は、緊急措置として短期保険証を出すとのことだか、「年齢によって特別扱いはしない」と無条件の保険証発行を拒否しているとのこと。子どもの権利条約違反は明白で、さらなる運動が必要だが、新たな通知をめぐっては、自治体での運用、判断が大事となる。
それと、こうした問題が発生するのは、97年の国保法の改悪で、資格証明書の発行を義務づけたことにある。当時の国会論議を「資格証明書」「国保 滞納」とかで検索しても、日本共産党以外は問題にしていない。
たとえば、参院参-厚生委員会 97年11月13日 西山登紀子議員
「ところが、やはり厚生省も、未納者がふえるということを考えて、介護保険法施行法第三十六条で国民健康保険法の一部改正を行うということを提案していらっしゃるわけですね。国保の現行の規定では滞納者に対して被保険者証の返還を求めることができると。ところが、この規定を変えて、納付期限が一定期間を過ぎて滞納している場合は世帯主に対して被保険者証の返還を求める、こういうふうに変えようとしているわけです。つまり、介護保険の導入を機会といたしまして保険料が払えない世帯主に対するペナルティーを強化しようとしている、そういうことではないかと思うわけです。
先ほど高木局長は、実際の運用はいろいろだと、保険証の取り上げはそんなに機械的に強制的にやっているわけじゃないというような弁明がございましたけれども、今度この法案の改正が行われますと、これは一律に、「できる」じゃなくて「返還を求める」ということですから、これは強制的にペナルティーが強化されるということになるんじゃありませんか。」
他党はすべて強制とりあげに賛成したのだから当然か。
派遣法と貧困の拡大、コメ輸入自由化、金融自由化、社会保障抑制による医療・介護の崩壊、交付税削減による地方の崩壊 ~ この起こっていることは、97年以降の「構造改革」路線の結果である。
今言っていることが、本心なのか・・・当時、各党がどんな主張と行動をとったのか・・・きちんとした検証が必要である。
無保険:子ども3万人 短期証交付、自治体に通知--厚労省 毎日 親が国民健康保険(国保)の保険料を滞納して保険給付を差し止められ、子どもが「無保険」状態となっている問題で、厚生労働省は30日、全国調査の結果を発表した。中学生以下の無保険の子どもは1万8240世帯中の3万2903人で、子どもの被保険者(約370万人)のほぼ100人に1人に上った。 厚労省は同日、医療が必要な子どもがいる世帯には、有効期限を1~数カ月に限定した短期保険証を交付するよう都道府県に通知したが、「年齢によって一律に特別扱いしない」という基本姿勢は変えておらず、受診抑制対策としては疑問の声も出ている。 調査は、国保を運営する約1800の区市町村を対象に実施。9月15日時点で、給付差し止めで資格証明書を交付された、医療費の10割自己負担が必要な世帯に、義務教育以下の子どもが何人いるかをたずねた。 滞納世帯は全体の18・5%の384万5597世帯で、資格証明書の発行世帯は同1・6%の33万742世帯だった。無保険となっている子どもは、乳幼児が乳幼児被保険者数の0・4%の5522人、小学生が小学生被保険者数の1・0%の1万6327人、中学生が中学生被保険者数の1・5%の1万1054人だった。 都道府県別で多いのは、神奈川4386人▽千葉3321人▽栃木2652人▽福岡2099人▽大阪2016人--など。少ないのは石川23人▽長野30人▽沖縄59人で、雇用が流動的な都市部を中心に、子どもの無保険が増えている実態が浮かび上がった。 厚労省は通知で、世帯主が市町村に対し、子どもの受診が必要だが10割負担が困難という申し出があれば、資格証明書世帯にも緊急的措置として短期保険証を交付するよう求めた。ただ、子どもに対する無条件の保険証交付は「現行法の解釈からはできない」(国保課)と否定した。 民主党は同日、18歳未満の子どもの無保険を一律で解消する国保法改正案を今国会に提出する方針を決めた。
自治体対応にムラ 保険証ない中学生以下3万2千人 朝日 厚生労働省は30日、国民健康保険(国保)の保険料滞納により、保険証を返還させられ「無保険」となった中学生以下の子どもが全国1万8240世帯、3万2903人いると発表した。滞納の事情をよく調べずに保険証を返還させたと見られる例もあり、同省は自治体に対して、有効期限が短い保険証を出すなどの対応を求めた。 無保険の子の全国調査は初めて。無保険だと、医療機関の窓口で全額自己負担となり、必要な治療を受けにくくなるなど受診抑制につながると指摘されている。厚労省によると、窓口で全額を支払った後、手続きをすれば一部還付する自治体もあるという。 市町村別では、多い順に横浜市3692人、札幌市1284人、千葉市1283人、大阪市717人、福岡市640人など。一部市町村のデータが抜けているため、さらに膨らむ可能性がある。 世帯主が保険料を1年以上滞納した場合、自治体の判断で保険証の返還を求める。調査結果によると、返還を求めるまでの対応に、自治体によってばらつきが見られた。 滞納者に電話をかけたり、自宅を訪れたりして滞納者と接触を図る自治体は多いが、世帯主が働いていると思われる時間帯ではなく、夜間などに滞納者と接触しているのは約5割、休日対応は約2割にとどまる。保険料の分割納付を認める自治体がある一方で、機械的に保険証を返還させている例もあった。 こうした状況を踏まえ、厚労省は、保険料の納付義務は世帯主にあり、子どもについては、きめ細やかな対応が必要だと判断。自治体に対して、保険証を返還させる前に有効期限が数カ月の「短期被保険者証」を出して滞納者と接触する機会を増やし、積極的に相談にのるよう求めた。 実態調査を求めた民主党は、18歳未満の子どもに一律に保険証を交付する国民健康保険法改正案の臨時国会提出を目指す考えだ。
医療保険ない子ども、全国3万2千人…健保滞納で 読売 保護者が国民健康保険の保険料を滞納して保険証を返還させられ、病院などの窓口で医療保険が使えなくなっている中学生以下の子どもが全国で1万8240世帯、3万2903人に上っていることが30日、厚生労働省の調査でわかった。保険証のない子どもの全国調査は初めて。 市区町村は、災害や病気、失業などの特別な事情なく保険料を1年以上滞納した被保険者に対し、保険証を返還させたうえで、「被保険者資格証明書」を交付している。被保険者資格は失っていないので申請すれば1~2か月程度で自己負担分を除いた額が返還されるが、いったんは窓口で医療費の全額を支払わなければならず、受診抑制につながるおそれがある。 今年9月時点の厚労省の全国調査では、保険料を滞納している世帯は加入世帯全体の18・5%にあたる384万5597世帯で、このうち33万742世帯(加入者全体の1・6%)が資格証明書を交付されている。 こうした世帯の子どもは0~6歳までの乳幼児が5522人、小学生が1万6327人、中学生は1万1054人。都道府県別では神奈川県の4386人が最も多く、次いで千葉県3321人、栃木県2652人、福岡県2099人、大阪府2016人の順。
保険証ない子、3万人超 国保を親などが滞納 日経 親などが国民健康保険料を滞納したため、事実上“無保険”状態にある中学生以下の子供が全国で計3万2903人に上ることが30日、厚生労働省の調査で分かった。親が支払えるのに払わない悪質なケースも含まれるが、必要な医療を受けられない子供が出かねず、同省は市町村に通知を出し、柔軟な対応を求めた。 調査は全市町村が9月15日時点の状況を報告。1年以上の滞納で保険証を返還させられ、窓口で医療費を全額支払う必要のある「資格証明書」を交付された世帯は全国に33万742世帯あり、うち1万8240世帯に子供がいた。 資格証明書は滞納者のうち失業や病気、災害など特別な事情がない場合に限り交付。医療費はいったん窓口で全額を支払い、後に還付手続きをする必要がある。本来は「払えない理由のない滞納者を想定した最後の手段」(同省保険局)だが、一部で機械的に資格証明書を交付する事例があったといい、「子供や生活困窮者が医療を受けられなくなる」と批判が出ていた
« 平和と金融危機をどう語るか 経済界の重鎮 品川氏の講演 11/1 | Main | 子どもの無保険 厚労省通知・全文 »
「教育・子育て」カテゴリの記事
- ダイバーシティ&インクルージョン 組織のアップデート(2024.08.11)
- 2024国際女性デー 差別・格差の根っ子に、非正規、奨学金ローン(2024.03.14)
- 創造と管理、心理的安全と恐怖 組織の自己改革(2024.01.11)
- 不登校 きっかけは「先生」最多・考~ 組織の構造的問題として(2023.11.16)
- 高知の校則に関して(提言) 子連10/25(2023.11.02)
「地方自治」カテゴリの記事
- 2024.11地方議員学習交流会・資料(2024.12.02)
- 24年9月 意見書決議・私案 「選択的夫婦別姓」「女性差別撤廃・選択議定書」(2024.09.05)
- 24年9月議会に向けて 意見書・私案1(2024.08.31)
- 「指定地域共同活動団体」~地方自治法改定による新たな課題(2024.08.17)
- 202408地方議員学習交流会資料+α(2024.08.15)
「医療・介護」カテゴリの記事
- 悪徳業者の手口!「脅し」でマイナ保険証の押し付け /正確な情報で対抗を(2024.05.10)
- 地消地産、医療介護福祉 産業政策で党県議団の提案生きる(2024.05.09)
- 国保料水準の統一にむけた条例改定 「手続き的にも内容的にも県民不在」と反対討論(2023.12.28)
- 高知県・国保料水準の統一 県のレクチャーでわかったこと(2023.08.31)
- 2023年8月地方議員学習交流会・資料(2023.08.15)
「反貧困」カテゴリの記事
- 「新しい生活困難層」 正規雇用に「内付け」された日本型生活保障の崩壊と改革展望(2024.04.25)
- 広がる女性のひきこもり・孤立をどう防ぐか ~ 「共事者」の視点を(2023.04.22)
- 生活保護 冬季加算「特別基準」(通常額の1.3倍) 高知市「抜かっていた」「速やかに実施」 (2022.12.28)
- 生活保護基準引き下げ違憲訴訟 横浜地裁で4例目の勝訴判決 ~国は控訴やめ、元にもどせ(2022.10.26)
- 政策メモ 22/7-8 格差貧困、気候・食糧・環境危機、平和(2022.08.28)
« 平和と金融危機をどう語るか 経済界の重鎮 品川氏の講演 11/1 | Main | 子どもの無保険 厚労省通知・全文 »
Comments