マルチ商法問題 泥仕合に終わらせてはならない
「泥試合」というか、政争の具にされているマルチ商法問題。議論すべき中味が違うだろう。
野田氏、業者の献金調査へ 与党、影響拡大を懸念 共同
野田消費者相のパーティー券 マルチ業者が購入 中日新聞
社協のマルチ警鐘記事に議連が抗議 民主3氏の名前 朝日
民主、火消しに躍起 自・民は泥仕合の様相 前田氏離党で-マルチ商法問題 産経
「消費者行政に詳しい共産党の大門実紀史参院議員は『与党だってマルチ商法業界と無縁といえるのか。年間2万件も被害・苦情の相談があるマルチ商法にどう対処するかが問われている』と述べ、自民、民主両党の姿勢を辛辣(しんらつ)に批判した。」と産経は記事を締めくくっているが、その通り。
また、政治と金、献金問題として毎日、朝日が社説を書いてる。
前田議員離党 「衆院選に不出馬」は当然だ 毎日社説
「国会での質問は何のためにするのか。政界では再び忘れ去られたようになっている政治家とカネの問題にどう決着をつけるのか。与野党の泥仕合に終わらせてはならない。」
朝日社説 政治とカネ―企業・団体頼みいつまで
「企業・団体頼みをいつまで続けるのか。各党がどんな態度を示すのか、総選挙でも目を凝らしたい。」
生活第一、消費者保護とかいうなら、選挙対策でなく、マルチ商法の規制と「政治と金」の問題~企業・団体献金の禁止問題としてきちっとすべきだ。
【野田氏、業者の献金調査へ 与党、影響拡大を懸念 共同10/16】 野田聖子消費者行政担当相は16日、マルチ商法の業界擁護とも受け取れる国会質問をしていたことに関連し、業者からの献金の有無を調査する考えを示した。次期衆院選をにらむ与党は、影響の拡大を懸念している。 野田氏は16日、国会内で記者団に、献金を受けて国会で質問した事実はないと明言。消費者担当相を辞任する考えはないとした上で「一生懸命やるだけだ」と述べた。 政府、与党内では「質問は12年前。『当時は勉強不足ですみません』で済む話だ」(自民党幹部)との認識が大勢で、進退問題に発展するとの見方は出ていない。ただ公明党幹部は「もし最近、関連業者から献金を受けていれば、消費者行政担当相としてイメージは良くない」と指摘した。 自民党国対幹部は16日、「民主党幹部が講演でネットワークビジネスを称賛している映像がある。発言と献金の有無を調べている」とけん制。民主党が野田氏を追及すれば、反撃する構えだ。
【野田消費者相のパーティー券 マルチ業者が購入 中日10/17】 野田聖子消費者行政担当相は16日、マルチ商法(連鎖販売取引)の業界擁護と受け取られる国会質問をしていたことに関連し、業者から献金や講演料などはもらっていないが、2004年以降、3回にわたりパーティー券計14万円分を購入してもらっていたことを首相官邸側に説明した。 野田氏は、パーティー券を購入してもらった業者について「合法的にやっている業者だ」と主張。17日午前の閣議後記者会見で、これらの事実関係について明らかにし、理解を求める考えだ。一方、野田氏は16日の参院予算委員会で、国会質問の状況について、質問前に業者側と面会したことを認めたが、「自分が質問するに当たり、どういうビジネスをしているか聞いた」と釈明。質問内容についての依頼は受けていないことを強調した。 野田氏は1996年4月の衆院商工委員会で、マルチ商法の規制強化に反対する趣旨の質問を行った。
【社協のマルチ警鐘記事に議連が抗議 民主3氏の名前 朝日10/17】 民主党国会対策委員長の山岡賢次衆院議員(65)=比例北関東=が当時会長を務めていたマルチ商法業界支援の議員連盟が、同商法への注意を呼びかける広報誌を出した三重県内の社会福祉協議会に抗議の意見書を送っていたことがわかった。業界からの抗議を後押しする内容で、山岡議員を筆頭に、連盟事務局長で16日に離党した前田雄吉衆院議員(48)=比例東海=らが名前を連ねていた。 意見書を出したのは「流通ビジネス推進議員連盟」(当時)で、抗議書を出したのは「流通ビジネス推進政治連盟(NPU)」。書類はいずれも07年2月28日付のA4判1枚で、国会内の郵便局から別々の封書で発送された。 両連盟の抗議の対象となったのは06年10月15日に発行された三重県内の自治体にある社協の広報誌の記事で、抗議書は訂正広告や謝罪などを要求。受け入れない場合は「法的に処断する」などと書いている。 意見書はこの抗議書を踏まえ、「(記事が)業界すべてが悪いとの印象を読者に与えかねない」と指摘。末尾に、山岡、前田、同党の牧義夫(50)=愛知4区=の3衆院議員の名前を連記している。 社協によると、政治連盟や議員連盟のメンバーと面識はなく、事務局長は「(活動をやめろという)脅迫だと思った。国会議員からだったのは驚いた」と話す。社協は弁護士に相談するなどしたが、その後の政治団体や議員側からの接触はなかった。「議員の良識を疑う」と憤った。 意見書について、山岡議員の事務所は「当方にはこの文書を出した認識はありません」とコメント。しかし、前田議員は「私が作ったが、山岡さん、牧さんには秘書を介して相談をした記憶がある」という。広報誌を知った経緯については「NPUから紹介された」と述べた。 牧議員は「協議会の団体名も、抗議文も初めて見た。こんな風に名前が使われるとは夢にも思わなかった」と驚く。ただ「議連への入会を承諾した以上名前が独り歩きしても仕方がない」と話した。 NPUは「折り返し連絡する」としたまま、16日夜までに返答はない。
【民主、火消しに躍起 自・民は泥仕合の様相 前田氏離党で-マルチ商法問題 産経10/17】 民主党の前田雄吉衆院議員(比例代表東海ブロック)は16日、愛知県庁で記者会見し、自身が代表を務める政治団体がマルチ商法業者から講演料などを受け取っていた問題で、同党を離党し、次期衆院選に出馬しないことを正式表明した。与党は午前の参院予算委員会で民主党への反転攻勢に乗り出したのもつかの間、野田聖子消費者行政担当相が平成8年にマルチ業者を擁護する国会質問をしていたことが判明した。年内の解散・総選挙が現実味を増す中、自民、民主両党の攻防は泥仕合の様相を帯び始めた。 ■火消しに躍起 「代表がしっかり認識され、本人も責任をとった。けじめをつけた」 民主党の菅直人代表代行は16日午後の会見でこう述べ、前田氏によるマルチ商法問題の事態沈静化に期待感を示した。だが、総選挙を前に同党が被ったダメージは小さくない。 小沢氏支持の若手議員グループ「一新会」の事務局長だった前田氏に引導を渡したのは、小沢一郎代表だった。 会見嫌いで知られ、体調も万全ではないという小沢氏だが、問題の拡大を憂慮したのか、16日未明に党本部で急遽(きゆうきよ)会見を開く手際のよい動きを見せた。マルチ商法問題の火消しに躍起なのは明らかだった。 会見で小沢氏はさばさばした口調で「少しでも早く結論をお伝えしたい。そういう思いでのことと、ご理解いただきたい」と切り出し、前田氏から自主的な離党と衆院選不出馬の申し出があったことを明らかにした。前田氏は16日午前の愛知県庁での会見後、離党届を提出し受理された。 前田氏のマルチ商法問題が大きく報じられたのは13日。マルチ商法業者関連の政治団体「ネットワークビジネス推進連盟」の議員連盟(すでに解散)には、前田氏のほか藤井裕久最高顧問、山岡賢次国対委員長、石井一副代表ら小沢氏に近い議員が名を連ねていた。 前田氏が注目されたのは、衆院予算委員会で業界寄りとされる質問を繰り返したからで、問題が長引けば他の議員への批判が強まるのは確実だった。 目前に迫る衆院選への悪影響を最小限にしなければならない-。 小沢氏は13日、前田氏に電話をかけ、マルチ商法業者からの講演料返金を指示した。前田氏は18年の自宅全焼で「関係資料を焼失していた」(同氏)が、14日夜に都内の小沢氏の個人事務所で2時間にわたって事情聴取された。 「やましいところはありません」。潔白を訴える前田氏に小沢氏は(進退は)「お前が考えることだ」と語り、15日朝に連絡してくるよう求めた。事実上、離党か議員辞職を求めたものだった。 「代表の意向はわかっている」と周辺にこぼしていた前田氏だが、15日午後の記者会見では離党も議員辞職もしないと言い切った。 小沢氏は、約束の15日朝に連絡してこなかった前田氏に怒り、午後11時、衆院第一議員会館の自分の部屋に呼び出した。深夜、蛍光灯がこうこうと照りつける部屋を報道陣が会館の外側から遠巻きに見守った。小沢氏と前田氏は約30分間の問答で結論を出した。 一夜明けた16日、民主党には前田氏離党を歓迎する空気が広がり、「野田聖子消費者行政担当相の話も出てよかった」と、マルチ商法問題の痛み分けを期待する声まで飛び出した。 「食いついてきたな!なんちゃって」。民主党幹部は16日、この問題が与党の解散ムードを高めたと記者団に指摘されると、うれしそうに軽口をたたいた。 ■泥仕合 民主党の前田雄吉衆院議員がマルチ商法業者から講演料などを受け取った問題の責任をとって離党したことを受け、自民、公明両党は16日、問題を徹底追及する構えを見せた。特に公明党は矢野絢也元委員長の国会招致などで民主党に揺さぶられてきただけに「倍返しにしてやる」(幹部)とし、国会審議の場で反転攻勢を仕掛けた。 「テレビで見ると民主党の議員は本当に格好良くあこがれていたが、実際にやっていることは違い、がっかりした。私が民主党ではなく自民党から出馬したのはそういうことです!」 16日午前の参院予算委員会。自民党の森雅子参院議員はこう主張して民主党とマルチ商法業界との関係をただした。 民主党側が激しいヤジを飛ばす中、森氏は民主党が平成16年にマルチ商法業界の政治団体「ネットワークビジネス推進連盟」に計100万円分のパーティー券を購入してもらいながら政治資金収支報告書に記載していなかったことを暴露した。また、マルチ業界から資金提供を受けたとして山岡賢次国対委員長、石井一副代表らの名前を次々に挙げ、「前田氏のクビを切っただけで終わりにしてはいけない」と訴えた。 さらに、仙谷由人元政調会長についても、巨額詐欺事件に発展した抵当証券会社「大和都市管財」との関係を指摘し、「民主党は国民生活第一ではなく、政局第一、選挙第一ではないか」とまくしたてた。 公明党はこれまで民主党に支持母体の創価学会との政教分離の問題で揺さぶられてきただけに、急浮上したマルチ商法業界との問題はまさに「天の助け」と映ったようだ。漆原良夫国対委員長は国会内で「このままでは終わらないんじゃないのかな。司法の判断が求められる可能性がある」と述べ、今後も追及を続ける考えを強調した。 ただ、この日、野田聖子消費者行政担当相によるマルチ商法を擁護するような発言が新たに発覚。民主党追及に関し「深追いはできない」(自民党中堅)と憂慮する声も出ている。 消費者行政に詳しい共産党の大門実紀史参院議員は「与党だってマルチ商法業界と無縁といえるのか。年間2万件も被害・苦情の相談があるマルチ商法にどう対処するかが問われている」と述べ、自民、民主両党の姿勢を辛辣(しんらつ)に批判した。
【毎日社説:前田議員離党 「衆院選に不出馬」は当然だ】 民主党の前田雄吉衆院議員(比例東海)が、業務停止処分を受けたマルチ商法業者から講演料などを受け取っていた責任を取って離党し、次の衆院選に出馬しないことになった。 本来なら議員辞職してもおかしくない話だが、民主党は衆院解散・総選挙が近いとみて事実上の議員辞職とみなしているのだろう。いずれにしても厳しい対応は当然のことだった。 この問題は、前田議員が代表を務める政治団体や党支部が05~06年に化粧品や健康食品などを扱う東京都内のマルチ商法業者から計80万円の講演料を受け取っていたというものだ。この業者は07年11月、「絶対にもうかる」などと誘っていたとして、経済産業省から3カ月間の業務停止命令処分を受けている。 さらに重大なのは、前田議員が04年3月の衆院予算委員会で、マルチ商法業界に対する取り締まりに関して「まじめに汗している皆さんがばかを見ないような警察行政を行っていただきたい」と業界を擁護する質問をしていた点だ。 国会の本会議や所属委員会で質問し、議決に加わるのは国会議員の職務権限である。例えば86年に摘発された「撚糸(ねんし)工連汚職事件」では、当時の野党議員が関係委員会で業界に有利な質問をするよう業界団体から請託を受け、200万円を受け取ったとして受託収賄罪に問われ、有罪が確定している。 こうした基本的な知識もなかったのだろうか。前田議員は、このほか業界の政治団体からも05年に50万円の献金を受けていた。「質問では業界に厳しい言葉も述べており、擁護をしているわけではない」と反論しているが、政治信条から業界の育成が必要と考えていたのなら、むしろ講演料や献金など受け取らず、国会で質問すべきだろう。 これでは業界から金と票を得て、業界の権益擁護に走るあしき族議員そのものの行為ではないか。「民主党よ、お前もか」と失望した国民は多いはずだ。 前田議員は民主党内では小沢一郎代表を支持するグループの一員だった。小沢氏自らが今回、事情聴取に乗り出したのは、このままでは次期衆院選に打撃となると考えたからだろう。 しかし、これで一件落着となるだろうか。党内には前田議員以外にもマルチ商法業界の団体からパーティー券を購入してもらっていた議員がいるとも指摘されている。これについてもきちんとした説明が必要だ。 16日には、自民党の野田聖子消費者行政担当相も96年にマルチ商法業者を擁護する国会質問をしていたことも判明した。国会での質問は何のためにするのか。政界では再び忘れ去られたようになっている政治家とカネの問題にどう決着をつけるのか。与野党の泥仕合に終わらせてはならない。
朝日社説 政治とカネ―企業・団体頼みいつまで 民主党の前田雄吉衆院議員が、離党して次の衆院選に立候補しないと表明した。マルチ商法業者から多額の金銭を受け取り、業界を擁護する国会質問をしていたことで「党に影響を与えないため身を引いた」という。 近づく総選挙で党が被るダメージを最小限に食い止めるには、早めにけじめをつける必要があると判断したに違いない。 前田氏が代表を務める二つの政治団体は、04年から07年にかけて、業務停止命令を受けた会社を含む多数の業者らから、あわせて1千万円以上の講演料と献金を受け取っていた。 商品の購入者が販売員にもなって購入者を増やすマルチ商法には、全国の消費生活センターに毎年2万件あまりの苦情が寄せられる。前田氏は衆院予算委員会の分科会で「キャッチセールスなどと一緒にされて(業界の)みなさんは非常に迷惑している」といった質問を繰り返していた。 「国会質問とカネ」といえば、参院での代表質問の見返りに現金を受け取り、受託収賄で有罪が確定した村上正邦元労相のような事例があった。 それにしても政治とカネ、とりわけ企業・団体献金をめぐる不明朗なできごとは、いつまでも後を絶たない。 発足したばかりの麻生内閣でも、談合事件で公正取引委員会から排除勧告を受けた企業などから閣僚への献金が相次いで発覚した。河村官房長官は、自身が支部長の自民党支部が、排除勧告を受けた法人などから問題発覚後に計410万円の献金を受けていた。 似たようなケースは、中川財務兼金融担当相や小渕少子化担当相らにもあった。麻生首相の党支部も、社長が汚職事件で今年起訴された医療機器販売会社から献金をもらっていた。 マルチ商法がらみでは、きのうの参院予算委員会で野田消費者行政担当相が、これを新産業として認知すべきだとの質問を12年前にしていたことを明らかにし、業者からの献金があったかどうか調べて報告すると答弁した。 河村長官らは、違法性はなくとも道義的な見地から返金する意向を示した。あわてて返さねばならないようなお金を受けること自体、企業との関係が極めてルーズになっている証拠だ。自民党はこうした企業からの献金には党としてルールをつくるというが、法で規制するのが筋だろう。 今年も共産党を除く各政党に総額319億円の政党交付金が渡される。この制度の導入にあたっては、当時の細川政権与党も野党だった自民党も、将来は企業・団体献金は縮小廃止する方向で議論していたはずなのに、すっかり忘れてしまったようだ。 企業・団体頼みをいつまで続けるのか。各党がどんな態度を示すのか、総選挙でも目を凝らしたい。
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