「高知一区・候補討論会」で見えたもの
7日夜、青年会議者の主催で、高知一区予定候補者4名の討論会があった。会場一杯の盛況でした。まずは、積極的な青年会議所の行動に敬意とともに歓迎したい。そして熱心な参加にも。
私としては、なかなか面白かった。各予定候補の主張とその深さなどが感じられて・・・
以下、私の感想。
橋本氏は、中央集権から、地方自立型へ国の形を変える、という主張一本に絞られていた。ムダが省ける、地方の個性が発揮できる、中央は国家戦略に力を集中できる・・・国際的な大転換に対応する、新しい時代の国家像だと。
橋本氏の言わんとするところはよくわかるが、ではなぜそんな体制になっているか、という点で足場の弱さを感じる。地方、つまり住民のくらしや自治をないがしろにしたのは、財界中心、アメリカいいなりの政治体制によるものであり、政治の中味を変え、憲法にそって改革していけば実現できる内容だと思う。それと、国と地方のあり方、制度設計の問題だけにしているところに危うさを感じる。なぜなら、「まずしい地域は、まずしいなりのサービスでがまんしろ」「多国籍企業として発展している大企業を支援する国家体制を」という財界流の「地方分権論」と、「地方にできることは地方に」という小泉「構造改革」と制度設計上はきわめてシンクロしているからである。
同時に、消費税増税の是非の問いには、その前に社会保障をどの水準にするかの議論がないのはおかしい。今上げたら中央官僚のムダ使いにつながるだけとか。道州制についても、地方自立型にした時に、経営単位として県がいいのが四国がいいのか議論したらいいことで、国の財政危機の地方に押しつけるという、いまの流れでの道州制には警戒を要するとのべたあたりは、橋本氏の一筋縄でいかない、理屈好きに久々にふれた気がする。また、県民のことを一番知っているといいながら、生活に密着した話がなかった。これはある意味、「らしい」発言であった。
福井氏。公共事業の必要性を大いに語っていた。私たちも、ビラでも書いたとおり、必要な公共事業(防災、耐震化、特養ホームの増設など)は交付税削減をもとにもどして進めろと主張している。
ぶっ飛んだのは、道州制にすれば、国と地方の借金を全部、東京や愛知や大阪など力のあるところに担ってもらえるので、高知は砂金がちゃらになる。心配しないで借金ができる。借金して地域活性化のために公共事業を、との主旨の発言。飲み屋で適当なことを言っているのではないのだ・・・びっくりした。
それと農業では盛んに輸出を、と言っていたが、ハウス園芸で篤農家の谷本県議が聴いたら怒り、あきれるだろう。「実態をしらない」と。谷本県議は、その主張は根拠がないと県議会でも取り上げていた。
福井氏は、新潟のコシヒカリが売れているといっていたが、輸入当初は高値で売れたことが話題になったが、中国東北地方のコメはジャポニカ米で、味も変わらなく、安いということで、日本米は、今は売れていない。
それとFTA(自由貿易協定)をどんどん進めたい、だったら観光客もくると言っていたが、それは農産物がどんどん輸入されるということ。農業は大事だ、と言いながらよくわかってないのでは・・・という感じ。
結構、さばけて可愛げがある印象だったが、政治的見識では・・・「?」
民主党・新人の田村さんは、政治的経験で他の三人とあきらかに差があり気の毒だった。「高知県政とのかかわりは」については、「県政はよく知らない」という感じで、ほとんど発言できなかったり、農業問題では「母親として食は大切に思っている。農業が大事」というだけで政策はなにもなかったりと・・・
介護の職場に勤めていたことを強調していたが、06年、軽度の介護サービスの切り捨て、施設の食事・室料の自己負担など「介護崩壊」の原因となった改悪法に、民主党が賛成したことに、矛盾を感じないのか、それでもそう言わざるを得ないのか・・・気の毒になった。
春名氏の主張。私も一緒に考えたので評価はみなさんの判断におかませしたい。
ただ、この点は、他の3人はよう触れないだろう、と思ったことはその通りになった。
大もうけしている大企業に応分の負担を、軍事費の削減を、若者を使い捨てにする派遣労働の禁止を、農産物輸入の規制と価格保障を、企業献金の禁止を、政党助成金の廃止し障害者福祉の財源に、消費税増税は必要ないし反対・なくす方向で・・・
「朝まで生テレビ」じゃないが、候補者同士の討論も含めて徹底してやれば、もっとおもしろいのに・・・ そういうのを期待したい。
たとえば、福井氏は、消費税に関わって「低負担低福祉」「高負担高福祉」という俗論を展開していた。日本は5%、ヨーロッパは20%・・・ だから麻生首相は「中負担中福祉でいく」「10%、食料品は5%維持」とか言っていたが、ヨーロッパは生活必需品非課税なので、税率は一見高いが、国税収入にしめる割合は日本と同じ2割強。
こんなことももっと突っ込んで議論できる場が出来れば、有権者の選択にもっといい情報を提供できることになり、国民主権の内実を豊かにすることになるだろうな、と感じた。
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