高知市「予算編成方針・概要」を読んで
高知市の「来年度の予算編成方針の概要」が発表されている。
きびしい財政状況であるのはまちがいないが・・・ 気になるところがある。
「概要」は「財政環境」の「国の動向」について
「・平成21 年度は歳出・歳入一体改革への取組を引き続き進め,地方財政措置については最大限の削減を行う方針」
「・国の地方財政計画の試算では,6,000 億円の地方交付税削減を予定」と書いて、「大幅削減まちがいなし」というニュアンスを出している…
その「根拠」は・・・
「骨太2008」の来年度方針で「歳出全般にわたって、これまで行ってきた歳出改革の努力を決して緩めることなく、国、地方を通じ、引き続き『基本方針2006』、『基本方針2007』に則り、最大限の削減を行う。」と書いてあることが、実は、07年も同じ表現がされながら、国民の声におされ地方財政計画も交付税も微増している。
「骨太2007」~「歳出・歳入一体改革の実現」として、
「平成20年度予算は、この歳出改革を軌道に乗せる上で極めて重要な予算であることから、歳出全般にわたって、これまで行ってきた歳出改革の努力を決して緩めることなく、国、地方を通じ、引き続き『基本方針2006』に則り、最大限の削減を行う。 」と明記。
一方「08年度の地方財政計画」は、
・地方財政計画の規模 83.4 兆円(前年度比+0.3%、特別枠除き△0.2%)
・ 地方一般歳出 65.8 兆円( 〃 +0.0%、 〃 △0.6%)
「特別枠」とは「地方再生対策費」4000億円のこと。
つまり「最大限の削減」どころか維持・微増。
また、「交付税6000億円削減の予定」とは総務省の概算要求のことだが、去年も同じく削減の概算要求だったが、結果的にわずかだが増額している。
地方切り捨てに対する国民の批判、参院選の大敗北をうけて、
骨太方針2008では、
「2.地域活性化 」の具体的手立てとして「地方団体の安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税等の一般財源の総額を確保するとともに、地域間の財政力格差に対応するため、地方再生対策の考え方に従った交付税配分の重点化を引き続き進め、地方交付税を財政の厳しい地域に重点的に配分する。」
と書かざるを得ない状況となっている。
これらの点に対し、9月県議会で、尾﨑知事は以下の主旨を答弁した。
・総務省の概算要求、地方交付税6千億円減は仮置きの計数。地方交付税額は、年末の地方財政計画に関する総務省と財務省との折衝の中で最終決定される。
・昨年の同時期に示された要求額も6千億円余の減となっていたが、最終的には前年度比2千億円増となった。
・今年度、地方再生対策費によって、財政状況の厳しい地域に地方交付税が重点的に配分された。21年度も同対策費が措置される事が検討されている。新たに地方法人特別譲与税が交付されると云う方針。
・骨太方針2008で、「地方交付税の総額確保」ととともに、「地域間の財政力格差に対応するため、地方財政対策の考えに従った交付税配分の重点化を引き続き進め、地方交付税を財政の厳しい地域に重点的に配分をする」と従来にない表現が盛り込まれた。
理不尽に減らされた5.1兆円の交付税はそのままであり、地方の反対の声におされ傷の手当てを少しした程度であり、知事の「地方重視に舵を切った」という認識は極めて甘いが、事実関係としては正しい。
要は、これからの国民のたたかいにかかってるのだが、政治情勢をみても、これまで以上にバンバン削られるかのような表現はどうかと思う。
ただ、財政対策の方式として「マイナスシーリング」では限界し、「事業の廃止の視点が不可欠」としているの、そのとおり。
市民会館の廃止など同和事業をスッパリやめること、新市まちづくり計画も抜本的に見直すこと・・・これに着手するしかない。
政策方向として、低炭素社会、少子高齢化など社会福祉対策、地産地消、食の安全確保、教育、防災・震災対策など「市民の暮らしを守る」と書いてあるのだが
「構造改革」路線による貧困の拡大、限界を超えた負担増から、市民の暮らし、特に弱者を守るという確固とした一線を示してほしかった。
さらに言えば、高知市の財政が特に厳しい主要な原因は、身の丈にあわないハコモノ建設、同和行政継続のムダづかいにあるのだから、「財政運営の失敗」もきちっと書き、この負担を市民に転嫁してはならないとも・・・
これは、首長の決意がないと書けないので無理な注文かな… ?
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