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「地方分権改革」の今 大森・片山対談 備忘録

 「自治と分権」という雑誌の最新号に、大森彌・元地方分権推進委員会専門委員・現社会保障国民会議委員・東京大学名誉教授と片山善博・第29次地方制度調査会副会長・元鳥取県知事の鼎談が載っているが、「地方分権」をめぐる情勢と本来のあり方を考えるうえで、非常に興味深い。
 全体の流は、「平成の大合併」「道州制」「国と地方の役割分担論」を批判し、小規模自治体の役割、住民自治の視点での論を展開している。備忘録として次の5点で整理しておきたい。
①国と地方の役割分担論、道州制について
②住民自治の視点が欠如した分権論
③「受け皿論」の背景
④権限移譲より国の関与の軽減が大事
⑤地制協~ 議会の改革、監査の強化を重視

①国と地方の役割分担論、道州制について
 国は外交、防衛など国家戦略に特化するというが、たとえば先日書いた教育政策などもそうだが、たとえば環境立国とかにしても、実効する部隊は道州である。しかし、その道州は高度の自立性をそなえているので、コントロールが利かない。どうやって国家戦略を推進するのか。根本的に矛盾があるとの大森氏の指摘は、痛快だ。
 また、両氏とも、道州制を「国の総合出先機関になるだけ」と言っているが、特に大森氏は小規模自治体をなくす道州制を「ろくでもない」といい、中央政府と300自治体という民主党・小沢氏の構想を、まっこうから批判し、都道府県制の質をどうかえるかが大事だと指摘している。
 また、片山氏は、都道府県が国の関与が薄くなった分、市町村に対し強圧的な態度をとっており、「疎ましい」存在となっていることが、「道州制」の1つのきっかけになっていることを指摘している。

②住民自治の視点の欠如した「分権論」
 この間の「地方分権」論は、自治体の権限をどう拡大するか、という団体自治の面からのみ議論されてきた。住民にとってどうなのか、という住民自治の観点は抜け落ちていたと片山氏は指摘している。リコールのし易さとか、議会のチェック機能の向上とかが遡上にのぼらなかったのは、総務省の官僚が自治体の総務や財政の責任者となったとき、省庁や議会とかに遠慮せずに、「自由」に行動したい、という発想から生まれたものだと指摘。大森氏も「集権が強すぎる」「執行機関が圧倒的に強い」と議会の充実をのべ、「行政をつうじて政治をやりたい」というそこが「改革の本丸だ」と指摘している。分権論の本質に迫る話である。

③「受け皿論」と市町村合併
 また、総合行政の「受け皿」論として、一定規模の自治体がいると「量」の問題だけが議論された。
大森氏は、自民党から合併について相当強い要求があったとのべている。そして合併が進んだので、議論の流れから「権限移譲」をとなけば、あの合併はなんだったのか、となるので作業が進んでいる、と議論の内幕を説明している。しかし、今でも仕事がおおいのに自治体がうけとれるのか、と見通しは不明であるとしている。
 片山氏は、「分権をしなくない」各省の言い訳が「受け皿がない」ということだった。そこで、「それじゃ」と自治体側が合併に精を出した。結果、「無益、無謀な合併で身をほろぼしているところが多い。」「思いつきの無理難題にうかうかのってしまったのだ」との批判は痛烈だ
 つづけて、片山氏は「自分たちがやりたいこと。できることだけやる。これが究極の分権」「国から地方分権するから大きくなれというのはベクトルが逆向き」と現状が本来の地方自治、分権と違っていることを指摘。
 大森氏も、総合行政について、小さな自治体がダメだとは一つも言ってない。世界は「少量だけど多品種の豊かな社会をめざしているのに逆行している」「あつかいにくい町村があるから日本の地方自治は豊かである」とのべている。ところが、規模の話にすりかわっている、「意図的に変えはじめている」と危惧を語っている。
 その点を片山氏は、総務省が扱いやすい自治体に規格化する作業をすすめているのだと分析している。

④権限移譲より国の関与の軽減を
 大森氏は、すでに自治体にはこなしきれないほどの仕事があるのに自由度が乏しいことを問題にしている。移譲しても従来の法的枠組みてでは義務づけが増えるだけ。法律は原則「できる」規定にして、自由度を拡大すべきだと主張している。
 片山氏は「権限移譲はひとまずストップしろ」と提案。
「総務省のくびきをとる」ことで自治体を自立させることを主張。本来、国と地方は対等になったのに通達行政が残っている問題を指摘している。行革の「集中改革プラン」を作れという通達が「助言」として出されたが、都道府県で自己判断したのは鳥取県だけだった。だったら「官報」に「鳥取県は拒否、と書かれた。助言なのに拒否とは」と述べている。自治体の「量」の拡大でなく、「質」の充実ことが課題だと指摘している。

⑤地制協~ 議会の改革、監査の強化を重視
 そのうえで、片山氏は、「なぜ合併があんなにすいすい進んだか」という問題提起をし、自治体の執行機関が国いいなりに動くのを議会がチャックできないこと、住民がかやの外に置かれていることが大きな問題だと指摘している。
 だから現在行われて29地制協は「議会改革」と「監査の強化」が主題になってると。総務省側の、さらなる合併論を一蹴し、議論していることが紹介された。(結構、頼もしい)

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