「学校行事への協力」は可能か? 給食民間委託
高知市が学校給食の民間委託について募集の内容・仕様書を発表した。「業務の独立性」が担保され、「直接指揮命令ができない」というのが「請合」の条件だ。仕様書に書かれた「学校行事等への参加・協力」が可能か?
①受託者は、学校が行う残食調査、嗜好調査、アンケートに協力し、毎日の業務に役立てること。
②受託者は、学校に設置される給食運営委員会〔仮称〕に参加し、本委託業務の円滑な運営に努めること。
③学校が栄養教諭等の教育実習等を受け入れる場合は、協力すること。
④受託者は、学校で行われる「食に関する指導」の取り組みや、遠足、運動会、給食試食会、バザー等の行事に協力すること。
問題点
① 「協力」という表現。業務としての契約なのかどうか、極めてあいまい。ボランティアを強制する内容ともとれるし、事故の責任とか、なにも明示されていない。
しかし、これらの行事に参加する労働者は、事実上、業務命令であるにちがいない。
② 年間の勤務日数もなければ、具体的な仕事の中身がない。責任分担、リスク分担もしめされてない
③ そもそも教育実習の受け入れ(教育行為)とか、遠足など室外活動は、チームプレーとしての仕事、つまり直接指揮命令をなくしては実施は不可能と思われる。
④ 調理については「偽装請負」を「さける」ために、仕様書で細かな規定をしている。だったら学校行事の参加
など「参加・協力」する「業務」についても、きちんとした仕様書が必要である。
⑤ 給食運営委員会の参加・・・ 主に下記のような内容が審議される。その内容は業者の「営利」に直接結びつくことである。例えば、入札の審査会に、建設業者が入っているようなものではないか。
PFIで示されたように「公」と「民」とは目的が違い、協働する立場にはない。
・A市 第2条 運営委員会は、次に掲げる事項について審議し、又は必要な調査研究を行う。
(1) 学校給食費に関すること。
(2) 学校給食の年間事業計画に関すること。
(3) 給食用物資納入業者の指定に関すること。
(4) 児童生徒の給食摂取状況に関すること。
(5) その他運営に必要な事項
・B町 運営委員会は、次の事項について審議する。
(1) 給食の予算、決算、実施計画に関すること。
(2) 給食費の額、徴収方法に関すること。
(3) 給食用物資、資材の確保に関すること。
(4) 業務委託等給食業務に関する重要事項
(5) その他必要な事項
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