教育費 年収200~400万世帯では5割強
日本政策金融公庫の調査で小学生以上の子どもがいる家庭の教育費は平均34.1%、200万円~400万円の世帯では55・6%を占めているとのこと。
年収の3分の1が教育費 低収入ほど家計圧迫 共同10/26
「教育費負担の実態調査(勤務者世帯)」10/15 政策金融公庫
家計簿からみる日本:転機の構図/ かさむ教育費「産めない」 毎日10/7「私立幼稚園受験 一人っ子に年250万円支出」「中学から私立なら、年収800万円以上必要」「お金のために子どもが産みにくい社会になりつつあるのは、政策が間違っているとしか言いようがない。」などの記述が並ぶ。
【年収の3分の1が教育費 低収入ほど家計圧迫 共同10/26】 小学生以上の子どもがいる家庭が2008年度に見込む教育費は平均で世帯年収の34・1%に上り、昨年度より0・5ポイント増加したことが26日、教育ローン利用者を対象にした日本政策金融公庫の調査で分かった。教育費の割合は収入が低い世帯ほど上昇し、家計を圧迫している実態が浮かんだ。 授業料や通学費、塾の月謝など教育費(受験や入学費用を除く)の割合は、「200万円以上、400万円未満」の世帯年収では55・6%を占めた。「400万円以上、600万円未満」は33・8%、「600万円以上、800万円未満」は27・3%だった。 収入に関係なく、どれだけ教育費に充てているかを割合別にみると「2割以上、3割未満」と回答した人が最も多く28・9%、「4割以上」も26・2%あった。 約6割の家庭が「教育費以外の支出を削っている」とし、節約している項目(複数回答)でトップは「旅行・レジャー費」が62・1%で、「外食以外の食費」「衣類」「外食費」「保護者のこづかい」が40%超だった。
【家計簿からみる日本:転機の構図/ かさむ教育費「産めない」 毎日10/7】 家計簿は、時代の空気から景気、物価、賃金の動向、税・社会保障の仕組みまで映す鏡。第1部の「転機の構図」は、人生の節目を迎えたときどう向き合うのか。人々の営み、この国の成り立ちを見つめ直します。 ◇年収380万円「我慢強制、ふびん」/一人っ子に年250万円支出 「妻は子どもを欲しがっている。しかし、子ども1人を育てるのにいくらかかるのか、不安。産むのをあきらめかけている」 近畿圏の山あいで農業を営む男性(35)は、家計簿を見ながら語った。5年前、脱サラして農家に。朝8時から畑に出てミズナやコマツナを作り、夜は毎日、夜10時過ぎまで塾で教える。ここ数年の手取り収入は平均で年約220万円。介護施設で働く妻(33)も約160万円を稼ぎ、手取りは計380万円になる。貯蓄は農地や機材を買ってほとんどなくなったが、出費を300万円以下に抑え年80万円以上の黒字だ。 子どもをためらい始めたのは、同年代の友人の子育てを見たから。赤ちゃんのうちからおもちゃをたくさん買い与え、塾や習い事にと、お金をかけている。一人前になるまでの費用を想像すると、気が重くなる。妻の職場は小規模で、育児休業も取れそうにない。妻の収入が見込めなくなるのも不安材料の一つ。農業の収入が不安定なのも気がかりだ。 男性は「つましくすれば育てられる、とは思う。でも、まわりが恵まれている中、自分の子だけいろいろ我慢させるというのも、どうかと思うんです」。 妻も、子どもの話を口にしなくなった。 「うちは一人っ子になりそう」と語る首都圏の女性(39)は、大手メーカーに勤める夫(41)、小学3年生の長女(9)との3人暮らし。年収は自分のパートを含めて計約940万円、住宅ローン控除を受けても税と社会保険料などの天引きは年約170万円で、手取りは約770万円だ。 結婚した時、夫とは「子どもは3人ほしいね」と話していた。長女が生まれた後も、海外旅行を楽しむなど余裕はあった。 長女が3歳になり、私立幼稚園受験の準備を始めた。受験対策の教室は月10万円。入園後の学費は月4万円。ソルフェージュ教室で音楽の基礎を養い、水泳、バイオリンも習わせた。本も月5~6冊を買う。入園後の学費と習い事、本代は月10万円を超えた。 多額だったが、ここまでの支出は織り込み済みだった。問題は、予想していなかった出費がかさんだことだ。 たとえば、自分の洋服代。長女の同級生の父親は、会社社長や医師などが多い。母親は、ブランドのスーツを着こなし、高級バッグを持って娘を迎えにくる。当たり前なのか、自慢話すら出ない。合わせるため、百貨店で買った洋服代に月5万円以上。ランチやお茶の付き合いに月3万~4万円かかった。小学校の制服代も高く、夏用で6万円、冬用で10万円。ジャケットやコート、革靴もいる。子どもはすぐ大きくなり、2年しかもたない。 「よく教育費の試算が発表される。でも、反映されていない支出が多い」と女性は言う。教育関連の費用は、幅広くとらえると年約250万円、想像の2倍以上かかったと感じる。ボーナスも含めて年間の収支はカツカツだ。 女性は「子どもにはできるだけのことをしてやりたい。私立は教育熱心でしつけもしっかりしてくれる。子どもの友人関係も将来きっと役に立つ。だから母親同士の付き合いも必要」と話す。=つづく(この連載は、望月麻紀、大迫麻記子が担当します)◇「中学から私立なら、年収800万円以上必要」
教育費はいくらかかり、私立受験の実態はどうなっているのだろうか。文部科学省の調査(06年度)によると、教育にかかる費用は、幼稚園から高校まで公立の場合571万円。すべて私立なら1678万円。私立小は公立小に比べ授業料や入学金など学校教育費が13・8倍、塾や習い事など学校外活動費は2・4倍かかる。それでも、私立受験熱は年々高まり、大手学習塾の四谷大塚によると、東京・千葉・神奈川・埼玉の1都3県の小学6年生のうち昨年度、中学を受験した割合(国立校を含む)は17・7%と最高を記録した。◇ファイナンシャルプランナー、藤川太さんの話
年収400万円以下でも心配なく子供は育てられる。ただ、30~40代の夫婦で「質の高い教育を受けさせたい」という人は急増している。塾や習い事まで考えるなら、相当な節約が必要だ。特に私立校に通わせると、関連費用を含めすべての支出が多くなりがち。中学からでも年収800万円は必要だ。それでも、毎月の家計が赤字というケースは珍しくないので、周りを気にせず支出に優先順位をつけて絞ることが大切。公教育が充実していれば、教育費を理由に出産をためらう夫婦は減るはずだ。お金のために子どもが産みにくい社会になりつつあるのは、政策が間違っているとしか言いようがない。◆近畿圏で農業を営む夫(35)と団体職員の妻(33)宅
◇1年間の収支
夫の収入(農業) 1,200,000
(塾講師) 1,000,000
妻の給与 1,600,000
手取り収入合計 3,800,000
◇支出(一部事業経費分を含む)
夫の税・社会保険料(国民年金等) 346,920
生命保険 80,000
自動車保険 60,000
自動車税 40,000
家賃 480,000
食費 360,000
ガソリン 180,000
光熱水費 151,200
電話 112,800
理美容・化粧品 120,000
衣料品 60,000
日用品 60,000
医療費 60,000
交際費 60,000
図書 60,000
新聞 36,000
冠婚葬祭 150,000
妻の車両維持費 100,000
その他 429,000
合計 2,945,920
◇収支(貯蓄) 854,080
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◆首都圏で長女(9)を私立小学校に通わせる会社員の夫(41)、パートの妻(39)宅
◇1カ月の収支
夫の収入 532,800
所得税 15,830
住民税 39,300
厚生年金 39,739
健康保険 12,296
雇用保険 3,184
介護保険 2,385
財形貯蓄 7,000
手取り収入 413,066
妻のパート収入 83,000
手取り収入合計 496,066
◇支出
住宅ローン 130,000
食費 110,000
光熱水費 25,500
電話 26,000
駐車場 11,500
ガソリン代 8,000
医療費 15,000
理美容 6,000
衣料品 40,000
交際費 35,000
趣味 30,000
図書 7,000
長女学費 40,000
長女教材費 4,000
長女習い事 21,500
民間学童保育 40,000
その他 32,500
合計 582,000
◇収支 ▼85,934
◇ボーナスで賄った支出
ローン2回 260,000
生命保険 120,000
損害保険 50,000
自動車税 40,000
車検 50,000
冠婚葬祭 50,000
その他 200,000
合計 770,000
◇1年間の収支
夫の収入 8,395,000
妻の収入 1,000,000
合計 9,395,000
手取り 7,730,000
支出の合計 7,754,000
収支 ▼24,000
注)単位は円、▼はマイナス。毎月の支出の内訳は変動が激しいので標準的な金額。また、1年間の支出の合計は、毎月の累計とボーナス分の総計
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