汚染米から見える規制緩和・自由化
京都の学校給食への使用など汚染米の被害が広がっている。さらに輸入小麦でも同様の事態があるといわれている。
企業犯罪であり、汚染米とわかっていながら国内に流通させた農水省の責任もきびしく批判されるべきだが、背景に、2つの問題点が浮かび上がってきている。
1つは、ミニマムアクセス米77万トンの輸入。汚染米の8割は輸入米。
2つめは、小泉改革によるコメ販売の規制緩和。
1点目のコメ輸入には、日本共産党以外の全ての政党がかかわってきた。
「輸入米に対し強く言えるのは日本共産党だけ・・・自民党国会議員」 2点目については日刊ゲンダイが取り上げている。
「それでも自民党に投票したら庶民は殺される」
ところで、ミニマムアクセス米については、マスコミはいまだに「義務」だと報道しているが、ミニマムアクセスは、WTO(世界貿易機関)農業協定に基づく最低輸入機会のこと。本来、「輸入機会」の保証にすぎないが、日本政府は「義務」だと強弁してきましたが、その論拠が崩れると「国際公約」だからと外国産米を輸入し続けてきた。
日本はコメの消費量の7・2%という枠いっぱい輸入しているが、
アメリカの鶏肉輸入量 消費量の0・03%
EUの豚肉輸入量 消費量の0・4%、
チーズの輸入量 アメリカは消費量4・8%、EU2・6%
と枠の未消化(2000年度)が普通である。
食料高騰で、世界では飢饉が拡大している。
「増加する飢餓人口 価格高騰のため世界の飢餓人口は7500 万人増加」国連食糧農業機関9/19
07年度で9 億2300 万人となっている。レポートは「世界規模で飢餓を減らすことが貧困削減、教育、子供の死亡率、妊婦の健康と疾病削減に関連する国連ミレニアム開発目標を達成する可能性を大幅に向上させる。」「飢餓削減のための公的支出は、極めて高いリターンをもたらす投資だ。」と締めくくっている。
自給率を高め、ムダな輸入をなくすことは人類への貢献だ。
ところでWTOは、農業だけでなく投資などの規制緩和、自由化もすすめてきた。その被害は、金融自由化、サブプライムローン問題で如実になっている。アメリカなどの多国籍企業のもとめる自由貿易体制の犯罪性・・・その点で、汚染米とリーマン・ショックは関わっている。
【それでも自民党に投票したら庶民は殺される ゲンダイネット】 学校給食や保育園、病院、福祉施設でも使われていた汚染米。またもや“弱者”が直撃を受けているが、案の定、問題のルーツは小泉構造改革だった。業者や役人を血祭りにするのは簡単だが、巨悪は素知らぬ顔をして総裁選のバカ騒ぎをしている自民党だ。 ●自民党も農水省も知らなかったふりをしているが共犯だ 「一連の事故米騒動は、小泉改革の『新食糧法』が原因です。あれから、偽装や不正転売が急激にはびこったんです」 こう言うのは、大阪のある米卸業者だ。小泉政権は04年4月、国内の米作り農家の競争力を付けるという名目で、米の販売・流通を自由化する食糧法の大幅改正を行った。 背景に関税引き下げを求める外圧対策があったのは言うまでもない。小泉政権は「うまい米を安く売れ」と業者や農家に競争を促した。その結果、「政府が米の価格をコントロールしていた以前と比べ、競争は激化し、卸業者の利幅が薄くなった。売り上げの2%もありませんよ。悪事に手を染めてでも儲けようというヤカラが増えたのです」(前出の卸業者)。 この法改正では米販売業者の規制緩和も行われた。それまで登録制だったのが、届け出だけで販売可能になった。20トン未満の業者であれば届け出すら必要なくなった。これがインチキ業者を蔓延させる原因になった。問題になった三重の仲介業者「ノノガキ穀販」も規制緩和後の参入組だ。食糧法に詳しい民主党の山田正彦衆院議員が言う。 「近ごろ、町の米屋を見かけなくなったのも、この規制緩和で米販売とは無縁だった仲介業者やブローカーが続々と参入したからです。三笠フーズは事故米を転売するまでに、複数のダミー会社やペーパー会社をかませていた。販売業者が登録制ではなく自由化されたからできたことです。資金洗浄ならぬ“ライスロンダリング”で、農水省が事故米の流通ルートの実態を把握できないのもこのせいです。規制緩和で小規模農家や販売業者が壊滅的被害を受けた。その一方で、大手業者や天下り官僚が肥え太っている可能性もある。今後も部会などで厳しく追及していくつもりです」 それにしても、小泉改革の「百害あって一利なし」には、つくづく呆れる。“姥捨山”の後期高齢者医療制度、建築審査の規制緩和で起きた耐震偽装事件、景気の悪化、格差の拡大など、小泉改革で国民は痛みばかり押し付けられ、いいことなんてひとつもなかった。揚げ句の果てが、毒入り米事件なのである。 「その小泉元首相は自民党総裁選について、『立候補している5人はみんな小泉内閣の閣僚』などと自画自賛していましたが、麻生、小池、石原、石破の4人は食糧法が改悪された04年当時、第2次小泉内閣の閣僚でした。いわば、みんな毒入り米事件の“A級戦犯”です」(政界事情通) ところが、この連中は自分のことは棚に上げ、汚染米について「行政は職務怠慢きわまりない」(小池)、「民間ではあり得ない話」(石破)と他人事みたいな顔をしている。 菅直人は自民党の悪政について、小泉の「製造者責任が問われるべきだ」と言っていたが、汚染米事件はその象徴だ。 (日刊ゲンダイ2008年9月16日掲載)
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