汚染米問題 党首選より国会集中審議を
保育園や病院の給食にまで・・・汚染米の被害が広がっている。いくつか問題がはっきりしてきた。
農水省だけでなく、食品衛生を管轄する厚生労働省、医療や保育、介護施設の指導に責任を持つ自治体も含めて集中的な取り組みが必要だ。他に似た問題がないかの点検も・・・ 一政党の党首選という党内行事より、国会での集中審議を優先すべきだ。
汚染米問題―農水省に任せておけぬ 朝日
「事故米」で政府の危機管理は?与党内にも批判の声 読売9/13
汚染米拡大 農水省こそ“共犯”では 中日新聞
汚染米の大半は輸入米だ。マスコミは今でもミニマムアクセス米は「輸入義務がある」との誤報を流しているが、国会答弁でも明らかになっているように「輸入機会の提供」であって、全量輸入は課せられてない。穀物価格の上昇、食糧不足の今、輸入をやめることだ。
「点検はどうなっていたか」と騒いでいるが、規制緩和というのは、事前点検をやめて、事後チェックにする。自由な競争の結果、悪い商品、企業は淘汰されるという考えに立っている。しかし、くらし、命、健康は取り返しがつかない。耐震偽装、おやしげな投資商品、商品のリコールの増加・・・「規制緩和」路線でいいのか。橋本、小泉改革以来の規制緩和で暮らしや社会はよくなったか。
一方で、検査のための態勢は、人員削減でままならないのではないか・・・
国会で集中議論すべき点はいくつもある。
消費者をかえりみない農水大臣の姿勢・・・こういう姿勢がモラルハザードを生む。辞任は当然だ。
【汚染米問題―農水省に任せておけぬ 朝日】
農薬などで汚染された「事故米」の影響は、いったいどこまで広がっていくのか。またも信じがたい事実が明らかになった。
工業用ののりなどにしか使えないはずの汚染米が、あろうことか、赤飯やおこわになって、病院や特別養護老人ホーム、保育園の給食として出されていたというのだ。焼酎や日本酒、菓子にとどまらず、多くの人の口に直接入っていたことになる。
保育園などでは、残っていた米から基準を超える農薬成分が検出された。
不正の被害は、日ごとに拡大するばかりだ。流通先は数多く、騒動の発端となった「三笠フーズ」のほかに、新たに2社が汚染米を転用していた。仕入れた酒や菓子のメーカーは全国の店に並ぶ製品の回収に追われている。
安全な食べ物を売るという当たり前の商道徳は、なぜこれほど失われてしまったのか。「食の安全が保たれていない」などと、よその国を批判できる状況ではあるまい。
それにしては、農林水産省の対応は危機感が薄すぎる。
農水省は汚染米が流通した業者名の公表に積極的ではない。公表について同意が得られなかった業者名は、原則として発表していない。患者や職員らが米を食べてしまった病院名などについても、口をつぐんでいる。食品の安全衛生にかかわることは厚生労働省の管轄であり、農水省には権限がない、というのだ。
業者が被る影響を考えてのことかもしれないが、どこまで流通したかがわからなければ、消費者はいっそう不安になる。それは結果的に業界をさらに追いつめることを忘れてはいけない。
そもそも、汚染米の転用を招いた責任は農水省にもある。
転用された汚染米の大半は、農水省が業者に売り渡した輸入米だ。保管中にカビが生えたり農薬成分が検出されたりしたものだが、それを「工業用」として買い取ってくれる業者は農水省にとってありがたい存在だった。
農水省は汚染米を扱う業者の不正を見抜けなかった。その背景には、業者とのなれ合いがあったのではないか。そう勘ぐりたくもなる。
福田首相は太田農水相に流通経路の解明などを指示した。しかし、もはや当事者の農水省だけに任せてはおけない。政府は野田消費者行政担当相のもとに情報を集約し、厚労省や自治体などとも十分連携しながら事件の全容解明に総力を挙げるべきだ。
福田首相が政権を投げ出したからといって、政府が休業状態であっていいわけがない。まだ健康被害が報告されていないとはいえ、ことは国民の安全にかかわる。流通経路の解明と再発防止の対策づくりを急ぎ、一日も早く混乱を収めてもらいたい。
【「事故米」で政府の危機管理は?与党内にも批判の声 読売】 工業用「事故米」の食用転売問題をめぐり、政府の危機管理態勢を問題視する声が12日、与野党から相次いだ。 福田首相が太田農相に全容解明などを急ぐよう指示したのは問題発覚の6日後で、対応が後手に回っている印象は否めない。首相の退陣表明と自民党総裁選に伴う「政治空白」が影響しているとも言えそうだ。 「食用でないものが病院などで消費されていたのは大変問題だ。事態をもっと重大に受け止めなければいけない。率直に言って、農水省の対応は大変不十分だ」 町村官房長官は12日の記者会見でこう述べ、事故米の食用転売問題に関し、監督官庁である農林水産省への憤りをあらわにした。 関係者によると、首相は5日午前、「三笠フーズ」の不正転売の発表に先立ち首相官邸に報告に来た同省幹部に対し、秘書官を通じ、事実関係の早期解明のほか、流通先の公表も求めたという。 ところが、数時間後に同省で記者会見に臨んだ担当課長は、流通先について、「言えない」「答えられない」と繰り返し、事故米を使用した業者名などの公表を拒否し続けた。 首相は、問題が拡大の一途をたどる事態に危機感を強め、11日、農相を首相官邸に呼び、全容解明や再発防止策の検討を早急に行うよう直接指示した。 だが、白須敏朗農林水産次官は同じ日の記者会見で、事故米問題の責任を問われ、「私どもに責任があるとは考えていない」と発言。これを聞いた首相は「勘違いしている。とんでもない」と憤り、町村官房長官が12日に次官を呼んで発言を厳重注意する異例の展開となった。こうした事態に至ったことは、官僚に対する首相の威光の低下を物語ったともいえそうだ。 自民党からは12日、「消費者重視の時に『何をやっていたのか』という感じだ。役人の怠慢としか言いようがない」(自民党の武部勤・元幹事長)など、農水省への批判の声が上がった。 一方で、与党内には、政権の危機管理のまずさを指摘する声も出ている。公明党幹部は12日、記者団に、「首相は退陣表明して気が緩んでいたのではないか。国民感情に対する感性が鈍い」と苦言を呈した。 野党側は、事故米問題に関し、政府・与党への攻勢を強める構えだ。民主党の鳩山幹事長は12日の記者会見で、「ずさんで形ばかりの検査が行われていたのではないか。農水省の責任を追及しなければいけない」と語った。 民主、共産、社民、国民新の野党4党は同日、事故米問題について国会の閉会中審査を開くよう与党側に要求した。 だが、自民党内の関心は、総裁選に移っている。野党側からは「(政府・与党には)責任感が希薄だ。お祭り騒ぎをやっている場合ではない」(国民新党の自見庄三郎参院議員)との批判も出た。
【汚染米拡大 農水省こそ“共犯”では 中日新聞】 不正転売された汚染米の被害は、病院や福祉施設にまで広がった。業者は言語道断だ。だが背景には、安全安心の守護者であるべき農林水産省が、食品や生活者に向き合う姿勢の甘さがある。 「いったい何を信じればいいの」。消費者の叫び声である。 残留農薬などによる汚染米の流通は近畿から東海にも及び、大手酒造会社は、原料に汚染米が混入した人気銘柄の焼酎六十五万本の自主回収に乗り出した。 とりわけやり切れないのは、汚染米を使った食品が、特別養護老人ホームや病院にまで及んでいたことだ。楽しみにしていた赤飯やおはぎの中に毒物が混じっていたことを知らされたお年寄りたちの不安は、察するにあまりある。 農水省は不正競争防止法違反の疑いで三笠フーズを刑事告発し、「根本的には事業者の食に対する認識不足」として「汚染米」の売買を全面的に禁止する方針などを打ち出した。だが、認識を欠いているのは、農水省も同じである。 国際協定で輸入を強制されたミニマムアクセス(最低輸入量)米は、政府に課された重いノルマだ。しかし、「事故米」なら、国内農業に影響を与えずに、輸入義務量に計上できる。買い取ってくれる業者も、いわばありがたい存在だ。三笠フーズを筆頭にその数も限られており、“顔が見える関係”になりやすい。検査も甘くなるはずだ。そもそも食用にはできないものを、なぜ食品業者に卸すのか。安全よりもノルマを優先させた実態が、不正転売の温床だったと批判されても仕方がない。 消費者軽視は他にもある。農水省は「残留農薬は基準値以下で、ただちに健康には影響がない」「風評被害の恐れがある」と、汚染米の転売先を全面開示していない。カドミウム汚染米の時も、牛海綿状脳症(BSE)でも、調査結果を十分公表しないまま「安全」と繰り返し、消費者の疑心暗鬼を招いたことに懲りていない。 汚染米の流通実態を解明し、再発防止を徹底するために、国会の閉会中審査が必要だ。そして、消費者庁の創設を待つまでもなく、まず農水省自らが「食品」という特別な商品に対する認識を改めるべきだ。 規制緩和、自由競争の流れの中で、生命や健康の基となる食品業界が特に、「利益至上」という“毒”に汚染されている。不正競争防止法では心もとないというのが実感だ。厳罰化もやむを得まい。
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こんにちは。太田農水相、本当に失言の多い人ですね、それに消費者行政に関しては、政府は無力だということがはっきりしたと思います。しかし、そればかり嘆いていても仕方がないと思います。私は、ここで消費者行政に関して新規システムを構築すべきと考えます。その中では、行政法人などは廃止するなりして、民間のNPOが大きな役割をすることにに期待しています。詳細は是非私のブログをご覧になってください。
Posted by: yutakarlson | September 13, 2008 11:19 AM