民主党政策 説得力欠くと各紙主張
無投票で3選した民主党の小沢代表が発表した政策に各紙が一斉に注文をつけている。「財源がはっきりしない」「説得力欠く」というのは全紙共通。産経と朝日は「白紙委任せよ、に等しい」という主旨の批判までしている。また、インド洋給油反対と日米基軸、アフガンの国際治安支援部隊への参加の整合性のなさを産経、読売、日経が指摘している。
小沢氏3選 政権担うには説得力欠く 9/9 産経
小沢民主党―政策づくりで結束を示せ 朝日
小沢代表3選 政権公約に説得力を持たせよ 9/9 読売
小沢代表3選 マニフェストで覚悟を示せ 毎日
小沢氏も政策論争に参戦を 9/9 日経
小沢民主党 その生の言葉をもっと 中日新聞(東京新聞)
大企業のさらなる減税、日米同盟基軸で軍事費を聖域化では、自民党と同じ立場なのに、「生活第一」の政策をだそうとするので財政論があやしくなる。日米基軸なのに、イラク戦争反対や9条守れの声に応えるふりをし、連合の支援や社民党との選挙協力も利用しようとするので矛盾が出てくるのである。
【小沢氏3選 政権担うには説得力欠く 9/9 産経】 民主党代表に無投票で3選された小沢一郎代表が発表した政権構想の骨格は、説得力があるとは言い難い。具体的政策は政権奪取後に練り上げるという趣旨の説明では疑問点は解明されない。 本来ならこうした疑問は代表選を通じた政策論争を深める中で解決の道筋が示されていくが、代表選が実施されなかったことでその機会が失われた。きわめて残念だ。民主党が政権を担える政党であるかどうかが引き続き問われる。小沢氏は21日の臨時党大会で骨格を肉付けした政権構想を示すが、日本をどうするかをもっと具体的に説明してほしい。 「新しい政権の基本政策案」は、国民の生活第一の原則に基づいて政治・行政の仕組みを作り替え、格差がなく公正で共に生きる社会を築く-としている。 与党議員100人以上を副大臣などに起用し政府に送り込む構想は、官僚主導の政策立案を見直す政治改革の意味合いがある。 問題は、農業、漁業者への所得補償制度創設や子供1人当たり月額2万6000円の手当支給などの財源である。小沢氏は「税金の無駄遣い根絶」を挙げ、「無用の予算がある。財源がないという議論は官僚の言い分を認めているだけだ」などと主張した。「行革ですべては賄えない」などは党内からも指摘されている。民主党政権にすべてを一任せよというだけでは国民は理解できまい。 外交・安全保障では「強固で対等な日米関係」「国連の平和活動に積極的参加」を打ち出した。焦点は、インド洋での海上自衛隊による給油支援など、テロとの戦いに日本がどう関与するかだ。 小沢氏は昨秋、給油支援は「憲法違反」と断じる一方、アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)参加を実現したいと月刊誌に寄稿した。だが、民主党が国会に提出したアフガン支援法案は停戦合意か治安の安定を前提としており、現実的ではない。小沢氏の主張は民主党内でどう整理されたのか、はっきりみえない。 民主党は基本政策をめぐる論争を封じているのではないか。党内合意作りが難しいからだろう。 先の国会での対決一辺倒の政局至上主義は国政の停滞と混乱を招き、党内からも異論が唱えられた。小沢代表の任期は2年間だ。政権交代を自己目的化するのではなく、国益や国民の利益をどう実現するかを明確に語るべきだ。
【小沢民主党―政策づくりで結束を示せ 朝日】 にぎやかな自民党総裁選をよそに、民主党代表選は無投票で小沢代表の3選が決まった。 本来なら、複数の候補者が政見を競い、民主党政権の姿をアピールする格好の舞台になるはずだった。だが、衆院の解散・総選挙が目の前に迫る以上、小沢氏のもとで結束して事にあたるべしということなのだろう。 小沢氏が自民党を飛び出してから15年。いまの民主党が旗揚げして10年。挫折と再起を繰り返しつつ、小沢氏と民主党は本格的な政権交代をめざしてきた。その目標がかなうかどうか、正念場がやってくる。 小沢民主党の歩みを三段跳びにたとえれば、「ホップ」にあたるのは2年前、偽メール騒動で地に落ちた党の信頼を立て直した小沢氏の手腕だった。 「ステップ」は参院選での圧勝だ。小沢氏は全国を行脚して政権交代へのうねりを作りだした。 その後、民主党の主役は与野党の逆転状況をフル活用して政府与党を追いつめた長妻昭氏ら政策通の議員たちに移る。消えた年金、道路特定財源の無軌道な使途、居酒屋タクシー……。野党第1党の存在感を発揮した。 肝心の小沢氏はといえば、福田首相と語らって大連立に走ろうとして失敗し、いったんは辞意を表明するところまで追い込まれた。国会論戦にも熱心でなく、影の薄さは否めなかった。 さて、最後の「ジャンプ」である。小沢氏は記者会見で本格的な選挙態勢入りを宣言したが、そのカギを握るのはなんといっても政策だ。 自民党政権への不満はあっても、では民主党でいいのか。民主党政権で大丈夫なのか。国民の不安に応えられる現実的で説得力のある政策と、それを実現させる覚悟を示せるかどうかだ。 その意味で、小沢氏が発表した政策案は期待はずれだった。農業者や漁業者への所得補償など多額の財政支出を伴う政策を並べたのに、相変わらずその財源の輪郭さえはっきりしない。 政治と行政の仕組みそのものをつくり替えれば、財源は十分あると小沢氏はいう。だが、それでは有権者に白紙委任を求めるのに等しい。きちんと全体像を描き、政権についたあと2~3年間に何をどう実現していくのか、工程表くらいは示すべきだ。 本番は総選挙のマニフェストづくりであり、たたき台に過ぎないということかもしれない。ここは再び政策通の議員たちの出番だ。小沢氏ひとりに任せず、党の総力をあげてマニフェストを練り上げる必要がある。 代表選への立候補を断念した野田佳彦氏をはじめ、小沢氏の政策を批判してきた前原誠司前代表らはこの作業に積極的に加わるべきだ。無投票で形だけの結束を演出しても、有権者の信頼は得られまい。
【小沢代表3選 政権公約に説得力を持たせよ 9/9 読売】 小沢民主党に今、求められているのは、説得力のある次期衆院選の政権公約(マニフェスト)づくりである。 そのためには、代表選では“封印”された本格的な党内論議を再び避けてはなるまい。 民主党の小沢代表が無投票で3選された。複数の候補による政策論争がなかったのは残念だ。 投票できなかった26万人超の党員・サポーターだけでなく、国民も、開かれた代表選を通じて、民主党の「首相候補」の政見や基本政策を聞きたかっただろう。 民主党も、代表選の論争を通じて、政権公約の質を高めるとともに、国民の関心を集めることができたはずだ。 党内では、世間の注目が自民党総裁選に集中し、自らの存在が埋没しかねない、との危機感が出ている。衆院選を前に党内に亀裂が残るとして、代表選を回避したことのツケとも言えよう。 小沢代表が発表した政権構想は、税方式による最低保障年金制度、子ども手当、農家の戸別所得補償などが柱だ。昨夏の参院選公約とほとんど変わらない。 小沢代表は「変わったらおかしい」と言うが、党内でも「政権をとった際、確実に実現できるよう、公約をしっかりさせることが必要だ」との意見が少なくない。 参院選での民主党の大勝は、民主党の公約への積極的な支持よりも、年金記録漏れなど自民党の失策によるところが大きい、との見方が一般的だ。 公約への信頼性を高めるには、財源の裏打ちが不可欠である。 小沢代表の政権構想では、15・3兆円分の参院選公約に、2・6兆円を要するガソリン税の暫定税率廃止などが加わっている。 「官僚が作った予算には、特別会計、道路財源など、目的外や不要なものがいっぱいある」という小沢代表の抽象的な説明だけでは、国民は十分納得すまい。財源の具体的な内訳を示すべきだ。 政権構想は外交面で、「強固で対等な日米関係を築く」と強調した。インド洋にもイラクにも自衛隊を派遣しない党の方針と、果たしてどう両立させるのか。 小沢代表は、インド洋での給油活動を「憲法違反」と決めつけるが、民主党内でも、その論理に賛成できない議員の方が多い。 そうした党内の矛盾に加え、早期の衆院解散を視野に入れ、今後も党内論議を避ける力学が働く可能性は否定できない。だが、その問題を克服してこそ、国民に政権担当能力を示すことになる。
【小沢代表3選 マニフェストで覚悟を示せ 毎日】 衆院選の足音が迫る中の3選である。民主党代表選が8日告示され、小沢一郎氏の無投票による続投が決まった。乱立模様を呈する自民党総裁選と対照的に民主党は党内融和を優先した。対立候補は出ず、小沢氏を党の顔として政権交代を懸けた決戦にのぞむことが確定した。 与党では新政権発足後速やかに衆院を解散し、11月に衆院選を行う動きが有力となっている。無投票となったため政策論争の機会は失われたが、小沢氏は衆院選で国民に掲げるマニフェスト(政権公約)で政策をより深化させ、自公政権との違いを具体的に説明する必要がある。組織重視の内向きな戦術で、民意の強い共感は得られぬ。小沢氏の「発信力」が問われる。 3選決定を受け記者会見した小沢氏は「我々に課せられた使命、責任は重い」と政権奪取への決意を強調した。対立候補が結局名乗りを上げなかったのは、党内にしこりを残すことは得策でない、との意見が大勢となったためだ。結束を維持し衆院解散に持ち込めば政権への道は開ける--。そんな思いが小沢氏の求心力を強めたのだろう。 しかし、福田康夫首相の退陣表明後、自民党の総裁選びが注目を浴びるにつれ、民主党の存在感が埋もれたまま選挙に突入しかねない、との危機感が党内には広がっている。自民総裁選には確かにメディアの関心集めの演出的においがつきまとうが、それでも国民に見える形で支持を得ようとする発想は前向きだ。政権担当能力をアピールする好機を自ら失った点で、内向きな無投票選出となったことは残念である。 では、どう「小沢・民主」を国民に訴えるか。政権構想を地道に、明確に示すほか、やはり道はあるまい。21日の党大会で小沢氏はなぜ政権交代が必要か、率直に語りかける必要がある。民主党政権樹立の際は自らが首相となる決意も、改めて公式に宣言すべきだ。 そのうえで重要なのはマニフェストだ。小沢氏は年金、医療制度の一元化など生活重視を掲げた基本政策を発表、記者会見では自公政権との違いとして官僚主導の打破を強調した。各種政策の財源について消費税を増税しなくても政府の無駄一掃で捻出(ねんしゅつ)は可能と改めて説明した。ならば、どんな政治主導の統治機構をイメージしているのか。必要な財源規模と積算根拠をどう見積もっているのか。より具体的で説得力のある説明を欠いたままでは、政権担当能力の証明には不十分だ。 通常国会の際に民主党の支持率が自民党を上回ったのは、国会の論戦を通じ政府の無駄遣いを暴くなど、国民の目に見える活動が評価された結果でもある。小沢氏自身の政治生命も懸ける次期衆院選の帰すうを決めるのは、結局は政党の国民への発信力の強さ、そして政策の中身である。
【小沢氏も政策論争に参戦を 日経】 民主党の小沢一郎代表の無投票3選が決まった。21日の臨時党大会で正式に選出される。小沢氏は記者会見で「新しい政権づくりに向けて一丸となり、全力で突き進む」と決意表明した。次期衆院選のマニフェスト(政権公約)の骨格となる基本政策案も発表した。 一方、自民党総裁選は10日に告示され、麻生太郎幹事長ら5人以上の候補者が政策論争をする見通しだ。小沢氏は民主党の政権公約づくりを急ぐ一方で、自民党にも積極的に論争を挑み、衆院選の争点を明確にする責任を負っている。 小沢氏は臨時党大会で、基本政策案を肉付けする形で所信と政権構想を明らかにする。 すべての年金制度の一元化や月額2万6000円の子ども手当の支給などを盛り込んだ基本政策案は、昨年7月の参院選の政権公約を基本的に踏襲したものだ。ガソリンと軽油にかかる暫定税率の廃止や、漁業者向けの所得補償制度の検討などの新たな施策も打ち出した。 小沢氏は記者会見で「不要、無用の予算はいっぱいある」と述べ、財源の確保に自信をのぞかせたが、政策論争を深めるためにも、具体的な数字の裏づけのある財源を早急に示してもらいたい。昨年の参院選では子ども手当などの新規施策の実現に必要な財源を15兆3000億円と見積もっていたが、この額がさらに膨らむのは確実である。 次期臨時国会での衆院解散の可能性が高まり、衆院選後に民主党を中心とする政権が誕生すれば、直ちに来年度の予算編成に臨まねばならない。説得力のある財源を示せるかどうかは、民主党の政権担当能力を占う試金石である。 外交政策では「強固で対等な日米関係を築く」との表現を盛り込んだ。民主党はインド洋上での給油活動を延長する法案に反対する方針だが、日米関係への影響をどう考えているのだろうか。給油活動に代わる国際貢献策などについても小沢氏の対案を聞きたい。 自民党総裁選では経済政策が大きな争点になる見通しだが、小沢氏の基本政策案では税制改革のビジョンなどが欠けている。今後の政権公約づくりの大きな課題である。
【小沢民主党 その生の言葉をもっと 中日新聞(東京新聞)】 小沢民主党代表の無投票三選が決まり「脱・官僚主導」の政権構想を公表した。総裁選候補が乱立気味の自民との対立軸は鮮明だ。生の言葉で分かりやすく語ることだ。新体制の顔触れも大切になる。 民主党代表選で当選した小沢一郎氏は普段と変わらぬ仏頂面で会見に臨んだ。だが、いつになく雄弁だった。 自公政権は官僚の言うがままの政治、行政を行っている、選挙で選ばれた政治家が自ら判断し政策決定に責任を持つ国民主導の政治に変える-。自民離党以来の議員生活を振り返りながら、次期総選挙を最後の戦いとする決意も語った。 自民党は福田康夫首相の退陣表明を受け、十日告示の総裁選へ多数の候補が出馬表明している。無投票となった民主党内には「埋没」への危機感も漂う。「メディア対策チーム」を設置したことからも、その動揺ぶりが伝わる。 小沢氏には、総裁選の政策論争に先手を打って政権構想をアピールすることで、民主への目を引き寄せる狙いがあったようだ。 主張は明快だ。国民が主役の新しい政治システムの構築へ百人以上の与党議員を副大臣、政務官などとして政府に入れ、政策の立案・作成・決定を主導する。 昨年の参院選公約と同様に農家への戸別所得補償制度の創設や子ども手当支給を盛り込んだ。特殊法人、独立行政法人の原則廃止も打ち出した。自民総裁選の政策論争にも影響を与えよう。 ただ国民を納得させるにはもう一つ具体論がほしい。課題は財源についての丁寧な説明だ。 小沢氏は政府の特別会計などに不要、無駄な予算が多くあり、民主の政権になれば財源はいくらでもあると力説した。党内にも無責任の声が聞こえるようでは有権者も戸惑う。小沢氏は「具体的数字も含め国民にきちんと示したい」と語った。言葉通り、政策を煮詰めて提示してもらいたい。 二十一日予定の新たな党役員人事も注目点だ。新役員は総選挙公約づくり、そして全国の街頭演説での主力要員となる。 剛腕でも独りでは政権交代は果たせない。親小沢、反小沢にこだわらず、政策立案にたけ、いかに分かりやすく説明できるかの能力優先の人事が肝要だろう。 小沢氏は会見で総選挙について悲願の政権交代へ「厳しい状況だ」との認識を述べた。その通りである。やはりここは愚直に国民と対話するしかあるまい。
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共産党のポスターをみかけました。
憲法9条の文字が印象的です。
たしかに憲法9条は素晴らしいかもしれない。
でも、多くの人に切実なのはむしろ憲法25条。
この9条の文字を25条に変えればもっと支持があつまるのではないでしょうか。
Posted by: 七詩 | September 09, 2008 11:23 PM