語られなかった財源論 小沢民主党
民主党の党大会の小沢代表の「所信表明」演説・・・ 結局、財源問題では、参院選では6.4兆円の地方財源切り込みや2.7兆円の庶民増税など15兆円余の「財源」をしていていたが、今回、道路特定財源の暫定税率廃止の3兆円近い新たな財源もふくめ、「一般会計と特別会計を合わせた国の支出212兆円を組み替えて22兆円をひねり出す」という極めてアバウトな話しかでなかった。その点を各紙の主張が指摘している。また、郵政民営化の見直しでの国民新党との合意では、統治機構の徹底見直しや前回総選挙の「郵貯・簡保を徹底的に縮小し『官から民』へ資金を流す」という主張との矛盾も各紙が指摘している。
小沢民主党―説得力ある行程表を示せ 朝日小沢民主党 「決意」を政策で裏付けよ 毎日
小沢民主党 まだ見えぬ政策実行の財源 読売
【主張】小沢民主党 政権担えるか吟味が必要 産経
小沢代表は説得力ある政権公約を示せ 日経
小沢代表の話は、政治をゆがめてきた財界やアメリカに顔を向けた政治のあり方、責任には1つも言及せず、すべて「官僚」に罪をおしつける。この主張は政府の「道州制ビジョン懇談会」の「中間報告」と同じ発想である。
なぜ、そうなるか昨日の大門みきし参院議員の経済問題学習会で語られた「永田町のリアリティー」について次回、報告した。
【小沢民主党―説得力ある行程表を示せ 朝日】 民主党はきのうの党大会で、小沢一郎代表の3選を正式承認した。自民党では麻生太郎氏が新総裁に選出される見通しだ。 「麻生VS.小沢」の政治決戦がいよいよ幕を開ける。 党大会の演説で、小沢氏は「変化」と「覚悟」を強調した。「いまこそ日本を変える時だ」「この一戦に、新しい国民生活をつくることに、私の政治生活のすべてをつぎ込む」 2大政党が政権選択を問う小選挙区制の選挙では、党首のイメージや発信力が勝敗を左右する。その意味で、小沢氏がこの演説を国民に向けての所信表明と位置づけて臨んだのは当然のことだろう。 膨大な税金のむだ遣いを生んできた自公政権の財政構造、統治機構を根本から転換し、そこから生み出した財源で国民の生活を守るセーフティーネットを整備していく――。 小沢氏が発信した基本的なメッセージはこれに尽きるが、注目されるのは、それを実現していくための手順を次のように整理したことである。 政府の一般会計と特別会計の支出は合計で212兆円にのぼる。その1割にあたる22兆円を段階的に組み替え、民主党の主要政策を実行する財源にあてる。具体的には(1)来年度予算で直ちに実行するもの(2)来年の通常国会で法案を通し、2年以内に実行するもの(3)衆院議員の任期である4年の間に実行するもの、の三つに分類するという。 どの政策をどこに仕分けるかについては「今月中に総選挙のマニフェストで明らかにしたい」と述べた。 農家への戸別補償制度など民主党が掲げた政策に対し、与党は15.3兆円もの支出が必要になるのに財源があいまいだと批判している。政権交代の必要性は感じつつも、この点に不安や不満を抱く有権者は少なくないはずだ。 総選挙のマニフェストで、政策を実現していく順番や財源の手当てを明らかにすれば、確かに民主党のめざす政権像は鮮明になる。要は、与党の攻撃をはね返し、有権者が納得できる行程表を示せるかどうかである。 大会で気になったのは、来賓としてあいさつした国民新党の綿貫民輔代表が、郵政民営化の見直しをめぐる民主党との合意を自画自賛したことだ。 選挙で勝つには他党との協力が大事というのは分かる。だが、合意された日本郵政株の売却凍結や4分社化の見直しは、民主党が主張する統治機構の抜本改革と矛盾はしないか。選挙目当てのご都合主義と取られないよう、丁寧な説明が必要だろう。 民主党に求められているのは、政権をとったらどんな政治を、どんな社会を実現するのか、選挙本番に向けて骨太のマニフェストをつくることだ。残された時間はあまりない。
【小沢民主党 まだ見えぬ政策実行の財源 読売】 小沢民主党に今、求められているのは、日本の政治の選択肢を、明確で実行可能な政策の形で国民に示すことである。 政策は、財源とセットで考えることで、その是非が判断できる。財源の根拠が不明確な公約では、選択肢にならない。 民主党大会で小沢代表の3選が正式に承認された。 小沢代表は演説で、次期衆院選を「最後の戦い」と位置づけ、自らの政治生命をかけて政権交代を目指す決意を強調した。鳩山幹事長ら全役員を留任させた。早期の総選挙に対応するためだろう。 小沢代表は、自らの政権構想の個別政策の実施時期を「来年度予算で」「2年以内」「4年以内」に3分類すると表明した。財源は、一般会計や特別会計の予算などを「総組み替え」して捻出する。総額で22兆円になるという。 具体的な内容は、月内に発表する次期衆院選の政権公約(マニフェスト)で示す予定だ。 「国民の生活が第一」を掲げる小沢代表の政権構想には、最低保障年金、農家の戸別所得補償、高速道路の無料化など、多額の予算が必要な政策が並ぶ。そのための財源はあいまいで、強く批判されてきた。 小沢代表が政策の実施時期や財源を明示しようとするのは、その批判を踏まえたものだろう。 だが、来年度予算では、何を削り、何を実施するのか。その後、「総組み替え」をどう進めるのか、まだ不透明なままだ。マニフェストでは、より具体的で明快な説明が求められる。 民主党は、年金記録漏れ、道路特定財源の無駄遣いなど、官僚の不祥事を追及してきた。「野党」として、一定の役割を果たしてきたとは言えよう。 しかし、より重要なのは、「与党」になった場合の政策だ。 安全保障面で民主党は、インド洋での海上自衛隊の給油活動に反対している。日本は今後、「テロとの戦い」にどう関与していくのか。現実的な対案について、党内論議さえ封印している現状は、あまりに無責任ではないか。 民主党は国民新党との合併協議で、郵政民営化の抜本的見直しで合意した。合併構想は白紙に戻ったが、政府保有株の売却凍結、郵政3事業の一体的サービスの提供など、民営化見直しはマニフェストに明記する方針だ。 特殊法人、特別会計の原則廃止を唱える民主党の行政改革路線に逆行するのではないか。この点も、詳しい説明が必要だろう。
【主張/小沢民主党 政権担えるか吟味が必要 産経】 小沢一郎代表の無投票3選が民主党の臨時党大会で承認され、小沢氏はマニフェスト(政権公約)の骨格となる政権構想を表明した。 次期衆院選での政権交代に強い意欲は示されたが、日本をこうするという国家像はあいまいなままだ。欠落している国の在り方こそ具体的かつ明快に国民に語るべきことである。政権を担う政党かどうか、大きな判断材料となる。 民主党は農業・漁業者への所得補償制度創設や子供1人当たり月額2万6000円の手当支給などを掲げたが、自民党から財源などが不透明と指摘された。政権構想では一般会計と特別会計を合わせた国の支出212兆円の約1割、22兆円を財源とした。 段取りについても、(1)来年度予算に盛り込む(2)次期通常国会で関連法案を成立させ、2年以内に実行する(3)4年後までに段階的に実行する-ことを表明した。疑問に答えたとはいえよう。 だが、政治・行政の仕組みそのものを変え、予算を総組み替えするという方針は、統治制度の破壊というリスクが伴うだけにさらなる説明責任を果たすべきだ。小沢氏が現在の官僚システムを前提とした質問は意味がない-などと語っていたのは残念だ。 首をかしげるのは、民主党が国民新党との間で郵政事業の抜本的な見直しに関する合意書をとりまとめたことだ。日本郵政株の売却凍結や郵政事業の4分社化を見直すとしている。 この問題は3年前、小泉純一郎元首相が郵政民営化を掲げ、総選挙で圧倒的な支持を得て決着済みだ。民主党も当時、「郵貯・簡保を徹底的に縮小し『官から民』へ資金を流す」などと約束した。 今回の国民新党との合意は、「官営郵政」復活を目指しているともいえ、「官から民へ」の改革を逆行させよう。 民主党は政権構想で「特別会計廃止」を打ち出した。だが、膨大な郵貯・簡保資金が特別会計を肥大化させ、政官業の癒着構造を支えてきたのではなかったか。 旧特定郵便局を中心とした郵政票取り込みのために官営に戻そうというような姿勢では、行政改革への本気度は信頼されまい。 早期の衆院解散・総選挙が叫ばれる中、民主党に政権を一度任せたいという声が出ている。政権を本当に任せられるかどうか、徹底した吟味が必要だろう。
【小沢代表は説得力ある政権公約を示せ 日経】 民主党の臨時党大会で小沢一郎代表の3選が正式に承認された。小沢氏は所信表明演説を行い、政治生命を懸けて政権交代を実現する決意を強調するとともに、月内に次期衆院選のマニフェスト(政権公約)を取りまとめる考えを示した。 小沢氏はすでに年金制度の一元化などを盛り込んだ基本政策案を発表している。これに基づいて政権公約を肉付けするが、民主党の政権担当能力を示すには、説得力のある財源を盛ることなどが不可欠だ。 小沢氏は、政権公約では(1)来年度予算で直ちに実施する(2)来年の通常国会で関連法案を成立させた後、2年以内に実施する(3)次の衆院議員の任期内の4年後までに実施する――という3段階に分けて、重点政策の実現時期を明確にすると説明した。 この後の記者会見では、高速道路の無料化は来年度から実現し、月額2万6000円の子ども手当も来年度からの段階的な実施を検討する方針を示した。農業の戸別所得補償制度は2段階目の時期から着手するなど、構想の一端を明らかにした。 財源に関しては「一般会計と特別会計を合わせた国の純支出212兆円の約1割の22兆円を主要政策の実行財源にする」とし、その具体策を提示する考えも示した。 民主党は昨年の参院選の政権公約に、新規施策に必要な15兆3000億円の大半を、補助金の一括交付金化による無駄の排除などで捻出(ねんしゅつ)する方針を盛り込んでいた。私たちはかねて参院選の政権公約は財源の裏づけが不明確だと指摘してきた。民主党内からも財源の帳尻が合わないとの批判が出ている。 小沢氏は早ければ10月26日にも次期衆院選の投票が行われるとの見通しを示した。選挙後に民主党を中心とする政権ができれば、来年度の予算編成は待ったなしである。財源をあいまいにしたままでは、新政権はたちまち混乱に陥るだろう。 小沢氏が演説で、外交・安全保障政策に言及しなかったのは残念である。政権を担っても、インド洋上での給油活動に反対を続けるつもりなのだろうか。日米関係への影響が懸念されるが、反対を貫くなら、それに代わる国際貢献の対案をきちんと示してもらわなければ困る。 菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長ら党執行部は続投させる一方で、「次の内閣」の主要メンバーについては実際に政権をとった時の顔触れを近く発表する意向も表明した。話題づくりの側面もあろうが、その人選は重要だ。適材適所の布陣となることを期待したい。
小沢民主党 「決意」を政策で裏付けよ 毎日 民意の審判を控えての決起大会である。民主党の臨時党大会が開かれ、小沢一郎代表の3選が承認された。小沢氏は演説で、迫る次期衆院選を政治生命を懸けた「最後の戦い」と位置付け、昨夏の参院選と同様に生活重視路線を掲げ、政権交代の実現を目指す決意を示した。 米金融危機、年金不信、食の安全など国民の生活不安が増す中で「生活」「脱官僚」を争点としたい小沢氏の考えははっきりと示された。ただ、国民新党との合併構想の頓挫など、党運営のふらつきも一方では目立つ。やはり正攻法は政策だ。「民主党政権」で何がどう、変わるのか。月内に発表するマニフェストで、より具体的に説明しなければならない。 自民党総裁選を翌日に控え、小沢氏は演説を「所信表明」と名づけ、対抗意識をみせた。「国政を担う覚悟がなければ政治家をやっている意味はない」と述べ、政権交代の際は自ら首相の座につく意向を表明した。「決着の時を迎えた」「日本を変えるラストチャンス」など、やや気負い気味の言葉が並んだ。次の衆院選を政治家としての決算の場と位置づける覚悟はそれなりににじみ出ていた。 党内には自民党総裁選で存在感が埋没することへの危機感がある。汚染米への農水省のずさんな対応や、社会保険庁の年金記録改ざん問題などへの世論の批判が強まる中だ。小沢氏も生活課題や官僚主導の是正が自公政権への対立軸にふさわしいと踏んだのだろう。 一方で、最近の小沢氏には解せない動きもある。国民新党との合併をトップダウンで進めたが暗礁に乗り上げ、断念したのもその例だ。国民新党と合併すれば旧特定郵便局などの郵政票が取り込め、候補調整も一気に進められる、との狙いがあったのだろう。組織票重視の小沢氏らしい発想だが、いかにも唐突だった。政権奪取へ手段を選ばぬ印象を残したのではないか。 どの選挙区から小沢氏が出馬するかの問題もそうだ。地元・岩手からの「国替え」を検討し、東京都内など複数選挙区が取りざたされている。確かに実現すれば与党と対決姿勢を示す意味がある。ただ、政治的揺さぶりが主眼の陽動作戦ならば、いただけない。 農業者への所得補償や「子ども手当」など基本政策の実現に向け、小沢氏は約22兆円の財源を確保し、3段階に分けて実現へのスケジュールをマニフェストで打ち出すと説明した。私たちが明示を求めている財源の捻出(ねんしゅつ)方法はもとより、「脱官僚」の国家像をどこまで具体的に示せるかが問われる。生活重視も参院選の焼き直しでは不十分だ。 政権を取ったらまず何をすぐに実行するか。国民の目に見える形で示すことが肝心だ。決意表明に迫力と説得力をもたらすのは、政策の中身である。news/20080922k0000m070128000c.html
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