社会保障制度 不満76% 内閣府調査
3日、内閣府が発表した「社会保障制度に関する特別世論調査」によれば、
社会保障制度に対する満足度は「不満」が75.7%と「満足」の20.3%を大きく上回った。
満足していない分野(複数回答)は、年金制度 69.7% 医療制度 56.4% 介護制度 53.3% 少子化関連(出産・育児支援)制度 42.4% 雇用支援策 41.3%。
その中で、「社会保障の給付と負担のバランスについて」についての回答がある。もっとも高いのは「社会保障の給付水準を保つために,ある程度の負担の増加はやむを得ない 42.7%」。次は「社会保障の給付水準をある程度下げても,従来どおりの負担とすべき 20.0%」を大きく引き離している。
国民は負担増を容認か? ・・・ところが設問を見ると「ここで言う『負担』とは,保険料負担と公費負担のことを言います」となっている。何だ国の社会保障支出を増やせということが入っている数字ではないか。
国民は「構造改革」で12.7兆円の社会保障と税の負担増、地方財源で5.1兆円の負担増と十分「負担増」をしてきた。その間、国は社会保障費は毎年2200億円ずつ抑制していることを考えれば、公費負担を増やせとよむべきだろう。
昨日の朝日が、近畿弁護士会連合会が、多重債務を抱えて自己破産した労働者の記録を分析し、全体の3分の2がパートや派遣など非正規雇用、うち4割は生活保護基準に満たない低賃金だったことという結果を報道している
「近畿で自己破産の労働者、3分の2が非正規 生活苦で」 朝日9/4
調査結果を分析した弁護士の話として「不安定な雇用におかれた労働者は低賃金のために生活が成り立たず、多重債務に陥りがちになるという構造がはっきりした。最低賃金の底上げや有期雇用の見直しを急ぎ、働く人が借金に頼らずに暮らせる社会にするべきだ」と紹介している。
雇用の破壊と生活を支える社会保障の破壊・・・自民・公明政治の根本的転換が必要である。
【「社会保障制度に関する特別世論調査」の要旨】
平成2 0 年9 月 内閣府政府広報室
調査時期:平成20 年7月24 日から平成20 年8月3日
調査対象:全国20 歳以上の者3,000 人
回収結果:1,822 人(60.7%)
★社会保障制度に対する満足度
・満足(小計) 20.3%
満足している 1.9%
まあ満足している 18.4%
・不満(小計) 75.7%
やや不満だ 35.6%
不満だ 40.1%
・どちらともいえない 3.0%
・わからない 1.0%
★ 社会保障制度の中で満足している分野(複数回答)
・医療制度 18.1%
・年金制度 9.1%
・少子化関連(出産・育児支援)制度 7.8%
・介護制度 6.0%
・雇用支援策 5.2%
・特にない
★社会保障制度の中で満足していない分野(複数回答)
・年金制度 69.7%
・医療制度 56.4%
・介護制度 53.3%
・少子化関連(出産・育児支援)制度 42.4%
・雇用支援策 41.3%
★社会保障の給付と負担のバランスについて
・給付水準を大幅に引き下げて,負担を減らすことを優先すべき 17.2%
・給付水準をある程度下げても,従来どおりの負担とすべき 20.0%
・給付水準を保つために,ある程度の負担の増加はやむを得ない 42.7%
・給付水準を引き上げるために,大幅な負担の増加もやむを得ない 4.2%
・わからない 15.9%
この質問の設問文
「少子高齢化の進行により,今後,高齢者の数が増加する一方で,高齢者を支える
現役世代の数が減少し,現役世代の社会保障の負担が重くなることが懸念されています。
なお,ここで言う「負担」とは,保険料負担と公費負担のことを言います。」
【近畿で自己破産の労働者、3分の2が非正規 生活苦で 朝日9/4】 多重債務を抱えて自己破産した労働者110人の破産記録を分析したところ、全体の3分の2がパートや派遣など非正規雇用の人だったことが、近畿弁護士会連合会の調べでわかった。うち4割は生活保護基準に満たない低賃金だった。不安定な雇用で働いているワーキングプア(働く貧困層)が、生活苦から借金に頼らざるをえなくなっている実態が裏付けられた格好だ。 関西6府県の弁護士会がつくる同連合会は、13日に「非正規労働」をテーマに開くシンポジウムで分析結果を発表する。シンポを企画した弁護士15人が最近1年間に扱った自己破産のうち、無職や自営業者を除いた労働者の記録を一人10件程度持ち寄った。 110人のうち正社員は35%で、残り65%はアルバイト、契約社員、派遣など非正規雇用が占めた。男性は正社員と非正規雇用の割合がほぼ半々だったが、女性は8割が非正規雇用だった。 賞与や手当などを含む平均月収は20万円以下が72%、10万円以下も34%。非正規雇用に限ると10万円以下は54%を占めており、賃金の低さが際立った。 平均月収と生活保護基準との関連も調べた。全体の32%は生活保護基準以下の月収しかなく、要保護状態にあった。ただし、生活保護を受給している人はいなかった。 これを雇用形態別にみると、要保護状態の割合は正社員で15%だったが、非正規雇用だと41%にのぼった。同連合会は、時給の低さや手当の不備、勤務の不安定さなどが影響しているとみている。 大阪府内の男性(40)は99年、正社員として勤めた会社が経営悪化したため退職。しばらくは退職金やアルバイトでしのいだが、この数年は月収7万~10万円の日雇い派遣しか働き先がなくなった。男性の場合、家賃分を含む生活保護基準は月12万6千円程度で、当時の月収はこれを下回った。信販会社などから生活費をたびたび借り入れ、滞納家賃を含む借金は約600万円に膨らんだ。昨年、尿管結石でひどい痛みに襲われたが保険証がないため病院にも行けず、自己破産した。 調査結果を分析した辰巳裕規弁護士は「不安定な雇用におかれた労働者は低賃金のために生活が成り立たず、多重債務に陥りがちになるという構造がはっきりした。最低賃金の底上げや有期雇用の見直しを急ぎ、働く人が借金に頼らずに暮らせる社会にするべきだ」と話している。 ◇ 〈生活保護基準〉 国が毎年、改定している。世帯の人数や年齢、居住地、障害の有無などによって異なる。家賃や医療費を除いた生活保護基準は、大阪市など都市部の場合、33歳・29歳・4歳の親子3人世帯で月16万7千円、68歳の単身者で8万1千円程度が目安となる。年金や仕送りがあればこの額から差し引かれた額が支給されるが、働いて得た収入であれば一定額が控除される。
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