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派遣の労災急増 3年で9倍 厚労省調査

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04~07年 派遣労働者数は 227万人→321万人に対し 労災事故は 667人→5885人と急増。うち7割が製造業、経験年数1年未満のケースが6割以上、30代29%、20代26・9%と、20~30代で過半数を占める・・・「若者のモノ扱いする」という派遣労働の実態の一端が厚生労働省の全国調査で明らかになった。
 労働者派遣法改正にあたっては、99年の原則自由化した以前にもどるべきである。

派遣の労災急増5885人、3年間で8倍に…厚労省調査 読売
派遣労働者:労災が3年で9倍 危険な業務裏付け…厚労省 毎日

 「蟹工船」の一節を交え、働いても報われない現実を毎日が「08蟹工船」として特集を始めている。
働けど:’08蟹工船/1 小刻みに殺される  毎日8/19
働けど:’08蟹工船/2 求人広告、甘いワナ 毎日8/20


 03年の製造業への解禁、99年の原則自由化と派遣労働が拡大されてきたのが元凶だ。
 社民党は99年の自由化に賛成したが、若者のたたかいや社会問題として広がる中、現時点では態度をあらためている。そんななか製造業の派遣解禁にも賛成した民主党は、部分的手直しでお茶を濁そうとしている。
  「民主党:派遣法で苦慮 改正案、3野党と隔たり」毎日7/26

【派遣の労災急増5885人、3年間で8倍に…厚労省調査 読売】  派遣労働者の労働災害(労災)が急増している実態が、厚生労働省が行った全国調査で明らかになった。  2007年に労災に遭った派遣労働者は04年の約8倍の5885人で、被災した全労働者のうち派遣労働者の占める割合も年々増加している。また、7割が製造業での事故で、そのなかで経験年数1年未満のケースが6割以上を占めた。調査結果は、派遣労働者の待遇改善を目指す法改正議論にも影響を与えそうだ。  派遣元と派遣先がそれぞれ提出する労働者死傷病報告(休業4日以上の死傷者数)を基に厚労省がさらに詳細を調査、分析した。  派遣元の報告によると、被災した全労働者のうち派遣労働者の占める割合と人数は▽04年0・5%(667人=1、2月は未集計)▽05年2%(2437人)▽06年3%(3686人)▽07年4・8%(5885人)。  業種別を派遣先の報告から分析すると、07年は製造業が2703人で全体(3958人)の68・2%を占め、運輸交通業7・9%、商業7・7%が続いた。派遣を含む全労働者では、製造業の被災率は24・3%で、派遣労働者の被災率の高さが際立っている。  また、07年の製造業について経験年数をみると、1か月以上3か月未満が28・7%と最多。次いで1年以上3年未満が21・5%だった。年代では、30歳代が29・0%、20歳代が26・9%で若者の被災が目立った。
【派遣労働者:労災が3年で9倍 危険な業務裏付け…厚労省 毎日】  07年に労災で被災した派遣労働者(休業4日以上の死傷者数)は5885人(うち死者36人)に上り、製造業への派遣が解禁された04年に比べ約9倍に増加したことが20日、厚生労働省のまとめで分かった。厚労省が派遣労働者の労災件数を集計し明らかにしたのは初めて。日雇い派遣などの派遣労働者が十分な安全教育を受けないまま危険な業務に従事させられていることを裏付け、労働者派遣法改正の議論にも影響を与えそうだ。  まとめによると、被災者数は04年の667人から年々増加。労働者全体の被災者数は04年が13万2248人、07年も13万1478人で派遣労働だけ被災者が急増している。派遣労働者数は04年の227万人から07年には321万人に増えたが、労災件数の伸びはそれを大きく上回っている。  業種別では、製造業が2703人で最多。▽運輸交通316人▽商業308人▽貨物取り扱い127人--と続く。特に日雇い派遣が多いとされる貨物取り扱いや運輸交通での増加が目立つ。  年代別では、30代が29%、20代が26・9%で、20~30代で過半数を占める。経験の少ない若年者が被災する例が多いとみられる。  死亡労災では、「粉砕機の運転を停止せずに清掃して巻き込まれた」(食品製造)、「ドリルで穴あけ作業中につなぎが巻き込まれた」(機械機具製造)など安全教育の不十分さが原因とみられるケースがあった。  派遣法を巡っては、秋の通常国会へ向けて厚労省が改正案の検討を進めている。日雇い派遣は原則禁止の方向だが、経営側からは「ニーズがあり一律禁止はなじまない」との意見が出され、禁止を求める労働側と対立している。  派遣労働者が加入する労働組合「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は「日雇い派遣など派遣先が雇用に責任を持たない登録型派遣では、安全教育がどうしてもおろそかになる。組合には労災隠しの相談も数多く、この数字さえ氷山の一角と見ている。きちんとした法的規制が必要だ」と指摘している。


働けど:’08蟹工船/1 小刻みに殺される  毎日8/19
 ◇11年間で11社を転々…うつ病に
 「9月いっぱいで辞めてください。正社員を入れるそうだから」。人材派遣会社のこの言葉、何度聞いただろう。契約は11月6日までのはずなのに。
 昨年8月中旬、埼玉県に住む狗又(いぬまた)ユミカさん(34)は「首を切られた」。11年間で11社目。勤務先が変わる度に傷つき、自分には能力がないと落ち込む。
 そんなとき、地元の漫画喫茶で「マンガ 蟹工船」(東銀座出版社)を手にとった。原作はプロレタリア文学作家、小林多喜二(1903~33年)の代表作。カニを取り缶詰にする船の労働者が、過酷な労働に怒り立ち上がる戦前の物語だ。
 「周旋屋に引っ張りまわされて文無しになってよ」
 「周旋屋=雇い主と求職者との仲立ちを業とする者たち」と注釈のついた漁師の一言にくぎ付けになった。周旋屋を派遣会社に置き換え、「私のことだ」と思った。
 東京都内の専門学校で生命工学技術を学んだ。「一生働きたくて」研究職を目指し、1年半の就職浪人後、大手企業にパートで採用された。研究用の虫の飼育。時給1000円で年収210万円。残業代は出ないが残って実験し、自費で京都のセミナーに行った。が、4年半で雇い止め。
 この時、ふとひらめいたのが派遣という働き方だ。研究開発の正社員は、大卒以上の募集が多い。「でも派遣なら、研究開発に携われるかも」。実際、登録先からすぐに大手検査会社を紹介された。
 ここから、派遣労働の波にのみ込まれる。「スキルの高い人が欲しかった」と契約を打ち切られたり、無理な技術を求められ辞めざるをえなかったり。八つの派遣会社に登録し10社に勤めた。「研究にこだわったが、正社員のように能力開発もできない。早く見切りをつければよかった」。今はうつ病で療養中だ。
 「今、殺されているんでねえか。小刻みによ」
 「蟹工船」の登場人物のセリフが自分に重なる。思いをしたためて昨秋、小樽商科大と白樺文学館多喜二ライブラリーの主催で行われた「『蟹工船』読書エッセーコンテスト」に応募した。受賞した作品はこう結ばれている。「私の兄弟たちが、ここにいる」
    *
 山口さなえさん(26)は兵庫県に生まれ、04年3月、関西の美術大学を卒業。翌年2月、電気製品の卸会社に正社員として入社した。手取りは13万5000円、残業代も休日手当もない。半年後、友人に「就業規則があるはず」と助言され、社長に直接尋ねた。翌日から上司のいじめが始まり、数カ月後、伝票の改ざんを指示された。拒否すると、即日解雇。涙が止まらなかった。
 翌日、ネットで調べ地域の労働組合を訪ねると、「パンドラの箱を開けた君が悪い」と門前払いされた。ハローワーク、市の相談窓口、社会保険事務所、労働基準監督署を訪ね歩き、労働局のあっせん制度で金銭的に解決した。「無能」「君が悪い」。会社や相談先で言われた言葉がこだまし、胸が苦しかった。2カ月で体重は10キロ減った。
 一段落すると、門前払いした労組の対応が許せなくなった。「批判するには労組を知らないと」と、勉強会などに参加するうちに個人加盟労組「首都圏青年ユニオン」に出合った。
 近年、非正規労働者の増加などを背景に、個人で加盟できる労組が増えている。首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「労組の組織率が下がり、職場の労組に入れない非正規雇用が増える中、個人加盟の労組は自分の身を守る手段」と話す。
 山口さんは蟹工船のエッセーコンテストで受賞した作品で、個人加盟労組を「『ポスト蟹工船』の物語」と書いた。1人で立ち上がり、仲間が支える。職場内で立ち上がる蟹工船とは違う、新しい連帯の形。解雇をめぐり1人で苦しんだ分、「仲間を見つける人が1人でも増えたら」と願う。【柴田真理子】
    *
 「蟹工船」は今年だけで約50万部(新潮文庫)という空前の売れ行きだ。過酷な労働現場を描いた小説がこれほどの共感を集める現象は、経済大国・日本の迷走ぶりを象徴しているようだ。痛みを伴わずには働けない、働いてもなかなか報われない厳しい現実を、「蟹工船」の一節を交えて伝えたい。=つづく
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 ◇資料整理、実態記録し自衛を
 3人に1人は非正規雇用という現状を生んだきっかけは、日経連(現日本経団連)が95年に発表した提言「新時代の日本的経営」といわれる。提言では、企業が従業員の増減調整をしやすくするよう、終身雇用や年功序列の見直しを求めた。
 派遣労働も規制緩和が進み対象職種が拡大する中、給与からの違法天引きなどの問題も出ている。自分の身をどう守ればいいのか。NPO派遣労働ネットワーク理事長の中野麻美弁護士は「不当解雇や賃金不払いなどに立ち向かうには、就業条件明示書、雇い入れ通知書、給料明細などの資料を整理しておき、解雇に至る過程や実際の業務時間、内容を書き留めることが大切。働くことは生きること。安定した雇用を求めることは生きる権利だと、自信を持って行動してほしい」と話す。
 労働基準法に基づく相談は労基署、労働者派遣法、パート法などその他の相談は労働局で行っている。労働局には局長が事業者に解決を促す助言・指導、弁護士らが双方の主張を聞いて解決策を示す「あっせん」があり、無料で利用できる。

働けど:’08蟹工船/2 求人広告、甘いワナ 毎日8/20 ◇「高給」「休み融通」信じ、故郷を出たが  彼等(かれら)は少しでも金を作って、故里(ふるさと)の村に帰ろう、そう思って、津軽海峡を渡って、雪の深い北海道へやってきたのだった。  =「蟹工船」から  「月収31万円以上可」「賞与30万円以上」「カップル大歓迎」--。有効求人倍率が全国最低の沖縄県。無料情報誌に躍る甘い誘い文句は、職を求める若者たちを闇夜に浮かぶ常夜灯のように強烈に引きつけた。  那覇市に住む祖慶麻乃(そけいあさの)さん(21)が自宅近くのドラッグストアで情報誌を手にしたのは07年1月。夫清勝さん(23)は鉄筋工で、手取りの少ない月は8万円。麻乃さんも飲食店でパートをしたが月4万円ほど。親や消費者金融から金を借り、家計は火の車だった。「県外で働いて借金を返し、貯金もしよう」と決めた。 翌月。夫婦で愛知県内の人材派遣会社の求人に応募し、住み込みの派遣労働者として採用された。一人娘の美優ちゃん(4)を連れて故郷を後にした。派遣先は、有効求人倍率が全国最高の愛知県内にある自動車部品メーカーの工場。立ちっぱなしでブレーキ関連部品を作った。  働き始めて2カ月たった07年4月。派遣会社の担当者から電話で「麻乃さんは来週から工場に来なくていい」といきなり解雇を告げられた。理由を聞くと、「休みすぎじゃない?」と言われた。  当時2歳の美優ちゃんの看病で2月と3月に各5日間、4月に半日ずつ2日間休んだ。3月に休んだ時には、美優ちゃんが通う保育園でインフルエンザが流行し、美優ちゃんも40度近い高熱とけいれんなどの症状が出た。麻乃さんだけでなく、幼子を預ける母親が軒並み仕事を休んだ。  すると、沖縄駐在の社員が「子どもを病院に入院させ、工場に出るように」と説得に来た。「子どもの病気でも融通がきくと言ったのに」と拒み、自分で看病した。会社の担当者は、麻乃さんが既に看病で5日間休んだことを挙げ、「こんなに休むとクビになるよ」と口にした。  しかし、麻乃さんが採用前の面接で「小さい子どもがいても大丈夫ですか」と聞くと、沖縄駐在の社員に「今、愛知にいる人も子連れが多い。子供が病気で休んでも融通がきくから大丈夫」と言われたため安心していた。  解雇を告げられた時、労働基準監督署に相談した。「解雇証明書」を会社からもらうようにアドバイスされた。予告のない解雇ならば、一定の手当をもらえるからだ。解雇証明書を求めると、担当者は社宅に現れ、別の書面に署名しないと証明書は渡せないと言った。書面に日本語は数行だけで、大半は外国語。せかされて中身をよく見ないまま署名し、書類を渡された。  書類を労基署に見せたところ、解雇理由が書いていないため、書類は解雇証明書の要件を満たさないと告げられた。署名した書面は「退職届」で、一身上の都合で退職を願い出る内容。外国語はポルトガル語で、工場で働いていた日系ブラジル人用と想像できた。労基署の担当者は「サインしており、手遅れだ」と言った。  給料も沖縄での説明と違った。面接の際に「家賃などを差し引いても手取りは男性が約20万円、女性約15万円」と聞いた。しかし、夫は多い時でも手取りは13万円。そこから保育園料の5万3000円を払う。ボーナスは夫の約2万円だけだった。結局、夫の実家からさらに借金を重ねた。夫は8月に退職し、家族で沖縄に戻った。  今年2月、元同僚と計7人で派遣会社や派遣先のメーカーを相手取り、虚偽の求人広告や不当解雇への慰謝料などを求めて名古屋地裁に提訴した。派遣会社側は「給料は沖縄で説明して納得してもらった。休みも融通したが配慮にも限界がある」と主張している。      *  沖縄に戻り、夫は再び鉄筋工となった。手取りは15万円ほどだ。麻乃さんはパン屋のパートなどをしたが、2人目を授かり、5月にやめた。生活は楽ではない。「私たちはゴミ扱いでした。こんなことは自分たちで最後にしてほしい」  沖縄労働局によると、06年度に就職した県民は2万4075人。3割が県外に出て、そのうち63%の4954人が愛知県だ。求人格差に背中を押され、多くの労働者が海を渡っている。  ◇契約前に労働条件確認して  全国の6月の有効求人倍率(季節調整値)は0・91倍で、前月を0・01ポイント下回った。景気は後退局面に入ったとみられ、有効求人倍率は低下傾向が続くと予想される。職探しが厳しくなりそうな中で、雇用後にトラブルにあわないためにどんな注意が必要か。  東京都労働相談情報センターの山本純子係長は「求人広告の賃金などの労働条件は、会社の最も良い条件を載せ、募集職種の条件と一致しないことがある」と注意を促す。  トラブルの予防には、雇用契約を結ぶ前に労働条件を確認することだ。チャンスは、面接と、その後の契約時がある。契約時には、労働基準法が「企業は労働条件を文書で明示する義務がある」と定めている。にもかかわらず、文書で明示しない会社もある。せめて求人広告を示し、内容を確認する。  「解雇を通告され、何らかの文書に署名を求められたら、その場では署名せず持ち帰ってよく読むように」と山本係長。解雇ではなく、自主退職や合意の上で契約を終了する内容にすり替わっていることもあるからだ。

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