学校給食民間委託⑥ 食材購入・検品問題
続いて食材購入問題・・・前日書いたように「請負」であるためには、機械、資材等が相手方から借り入れ又は購入されたものについては、別個の双務契約による正当なものであることが必要である・・・つまり、市が学校給食会などから一括購入して業者に調理させる場合、有償で請負業者に引き渡す契約が必要だ。
しかし、ここに「学校保健法」と「「独禁法」の関係が出てくる。
まず、有償で食材を提供する契約が必要なことについては、神奈川県労働局が「無償の提供を偽装請負」「有償なら偽装請負にあたらない」との「本省の見解」を神奈川県の自治労連に示している。15日の自治労連と厚労省との交渉でも確認されている。
そこで、6月に成立した「学校保健法の一部改正」では附帯決議で「『学校給食衛生管理基準』の作成に当たっては、食中毒事例等の十分な検証と再発防止策を徹底し、その完全実施を図るとともに、食品の安全性の確保が喫緊の課題となっていることをかんがみ、学校給食食材の安全性の確保に万全を期すること」とされている。
では食材の安全性の確保、検品をどう担保するか・・・ 直営なら栄養士と調理員がチームワークで検品できる。でも委託となると、共同の作業はできない。たがら①栄養士が1人で検品をして、委託業者に渡す ②委託業者が検品したものを再度、栄養士がチェックする ③委託業者の「責任」としてまかせ、文書報告で済ます、しかない。
とくかく責任を持とうとしたら「栄養士」が1人でチェックすることがもとめられる。それが可能か?
次に、請負業務は、結果として仕様書で示された「献立」を作り上げればよい。その材料をどこから仕入れるかは「業務の独立性」にかかわる問題であり、自治体が強制できるのかという法的問題がある。
たとえば、業者が、「同質の安い食材があるの」と自治体からの購入を拒否することも想定される。それが可能なのだ。先の自治労連と厚労省との交渉の席で、特定の材料を使えという契約は「優先的地位にもとづく不公正取引として独禁法違反だと公取委が判断した場合はどうか」の問いに、厚労省側は「その契約が他の法令に違反して行われたものであれば、明らかに『取扱要領』(旧労働省告示37号)にいう『正当なもの』であるとは言えない」と回答している。
地産地消、食育の観点を「契約書」に書き込むというが、極めて曖昧、不確かなものである。
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