マルクス、蟹工船ブーム 毎日、産経のコラム
日本共産党に関して毎日と産経がコラムが載っている。
毎日のコラムは、暴走する資本主義と政治のゆきづまりの現われを感じる。そうしたもと、産経は党員の急増をとりあげ、「ワーキングプアが増加、格差が拡大している。共産党が党員を増やしている背景にはそんな事情がある。これは危険な兆候だ。」との識者の声を紹介している。筆坂を出したり、いろいろ揶揄しているが、財界・支配層の危機感のあらわれだろうか。
しかし、ブームで支持や党員が増えるものではない。街頭で訴え、ビラをまき、生活相談にとりくみ、保守的な方と懇談、対話を重ね・・・国民の立場で、ぶれずに地道に取り組んできたからである。
【風知草:不破のマルクスざんまい=専門編集委員・山田孝男】 不破哲三に会ってきた。前共産党委員長にしてマルクス研究家であり、往年の国会論戦の花形だ。先週末、丹沢山麓(さんろく)(神奈川県相模原市)の私邸を訪ねると、はたして不破はマルクスの館にいた。 不破はドイツ語とラテン語の原典を含む膨大なマルクス関係の蔵書に囲まれ、ワープロ専用機に向かう。この書斎から生み出されるものは幹部党員を対象とする講義録だ。それに加筆した連載「マルクス、エンゲルス革命論研究」が、党の理論機関誌「前衛」の8月号から始まった。スターリンによる歪曲(わいきょく)をただすのだという。 今年78歳。委員長を退いて8年たつが、今も党の日常の意思決定機関である常任幹部会(18人)の委員であり、週1回の会議には必ず出る。 「山と渓谷」社から本を2冊も出した山好きだが、山行きは70歳でやめた。今はテレビの時代劇が息抜きだ。 「天璋院篤姫(NHK大河ドラマ)ですか」と聞けば、「篤姫はだいたい(見ます)」と論客、歯切れが悪い。かたわらの七加子夫人(79)が「篤姫どころの騒ぎじゃない、時代劇大好きなの、この人」。 夫人によれば、CS(通信衛星)テレビの時代劇専門チャンネルで「暴れん坊将軍」や「剣客商売」を見る。不破は子どものころ、小説家志望だった。小学2年生からSFや時代小説を書き始め、作家の吉川英治に見てもらったこともある。 ◇ 社会経済学者の佐伯啓思(京大教授)によれば、この1、2年、マルクスに関心をもつ学生が増えてきている(産経7月31日)。書店では「資本論」の解説本や新自由主義に対する批判本が売れている。 佐伯の結論は、いまさら「マルクスに回帰してどうなるものでもない」である。不破はもちろん逆だ。ただし、暴走する資本主義の矛盾から目をそむけてはならないという問題意識は共通している。 資本主義の暴走をどうコントロールするか。その点を聞くと、不破は経済史を縦横に引いて答えてくれたが、私の理解の及ぶところではなかった。 ◇ 以下、政治向きの話。 不破の見るところ、いまや20世紀には予想もつかなかった激しさで資本主義の矛盾が噴き出している。 日本では60年安保以来、民衆の街頭行動などなかったというのに、いまや漁民と農民のデモが起きている。世の中は鳴動しているが、福田政権は民意をつかめず、民主党は新しい政治を示せない。 今の日本の政治を見て一番感じることは何か。この問いに対する不破の答えはこうだ。 「無責任性ですね。政治家の回想録を読むと、キッシンジャーでもニクソンでも、政局にぶつかって自分で解決したり、失敗したりという決断がある。それが日本の政治家にはない。経済は財界任せ、外交はアメリカ任せだから永田町的回想録には国会対策しかない。それが果てしなく続いていく」 共産党は7月中旬の第6回中央委員会総会で民主党批判を強めた。自民党と同じだというのである。貧困と格差が問われる中、「蟹工船」ブームに乗る共産党の攻勢は侮れない。困った民主党の某幹部が不破を訪ね、「倒閣前夜の大事な時期。ご配慮を」と泣きついたというウワサが流れた。不破に確かめると「風説ですね」と笑い飛ばした。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
【共産党、新規党員増加 「蟹工船」「資本論」ブームで? 産経】 共産党の新規党員が急増している。同党広報によると、党員数は平成2年の50万人をピークに減少が始まり、ここ10年は40万人前後で推移していたが、昨年9月の第5回総会時から現在までに約9000人が入党したという。志位和夫委員長は幹部会報告で「『蟹工船』が若者を中心にブームとなり、マルクスに新しい関心が高まっている。テレビ局が『資本主義は限界か』という企画を立て、その答えを共産党に求めてきた。党が体験したことのない新しい状況だ」と語り、年内に2万人超の新規党員を獲得する目標を掲げた。 興味深いのは、新規党員のうち2割が30歳以下の青年で、60歳以上の高齢者も2割を占めるという点だ。同党広報はこう分析する。 「いくら働いても何の展望も持てないのは自己責任だと思い込まされていた若い人たちが、それが実は政治の責任で、政治を変えなければならないと考えるようになった。高齢者は後期高齢者医療制度をきっかけに、これまで国を支えてきたのに、その仕打ちはないだろうと、期待を寄せるようになったようだ」 一方、ワーキングプアの問題に詳しいフリーライターの赤木智弘さんはこう見る。「若い人が共産党を選ぶ積極的な理由はない。志位委員長が派遣労働問題を追及する映像が、ネットで話題にはなった。しかし、それよりも、与党にあきれ、民主党にも期待しない人たちが、消去法で支持しているのが実情だろう」 元共産党参議院議員の筆坂秀世さんは「党員の急増は貧困層の拡大を反映しているのは間違いない。与党や民主党に見捨てられたように感じている人々の受け皿になっている」と見るが、「共産党は入党のハードルを下げている。高齢者の中には、世話になった議員の後援会に入るくらいの気持ちで入党した人も多いのではないか。その証拠に『しんぶん赤旗』は伸びていない」と指摘する。 また最近出版された的場昭弘さんの著書「超訳『資本論』」(祥伝社)が5万部も売れている例をあげ「志位氏が言うように、青年層にマルクスへの関心が確かに生じているが、社会主義への関心には向かわず、拒否する者も多い。ジレンマを抱えた共産党の動きに注目したい」と話す。 この現象を保守の識者はどう見ているのか。外交評論家の田久保忠衛さんはこう警鐘を鳴らす。「衆参ねじれ国会となってから政治は機能不全に陥っており、国民は日本がどこへ向かおうとしているか分からず、より所を失っている。加えて《分配論》が論じられなくなり、ワーキングプアが増加、格差が拡大している。共産党が党員を増やしている背景にはそんな事情がある。これは危険な兆候だ。民主主義が機能しなくなったとき何が起こったか、政治家は過去の歴史に学ばなければならない」 (桑原聡)
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