「退去のご案内」? 雇用促進住宅
全国14万余戸、約35万人が住んでいる雇用促進住宅を全廃して、居住者の入居契約を打ち切り、追い出すという計画が進められている。
この6月、突如「退去のご案内」という文書が送られて来ている。説明会はなし。「転居先には、自治体に公営住宅の優先入居をお願いしているので電話してください」とのこと。電話すると自治体は「そんなことはできない。」
どうなっているのか。大きな不安と混乱が広がっている。
この売却話…天下り、ムダ使いが、国民の批判を浴びている「特殊法人」の「改革」の中で、「当初の目的は達した」と突如出てきたもの。国は「役割は終わった」というが、1950年代後半からのエネルギー転換の強行による炭鉱閉山などによって、移転・離職を余儀なくされる人々の住宅確保を目的として建てられたが、その後、時代の変化をうけて、仕事と住まいを求める人たちを対象にする入居資格の要件が緩和されたもので、公営住宅の倍率が何十倍というもと、また低賃金の労働者が拡大するもとで、その必要性は増している。
07年6月の「規制改革推進のための3か年計画」と同年12月の「独立行政法人整理合理化計画」(いずれも閣議決定)で2021年度(平成33年度)までに雇用促進住宅の譲渡・廃止を完了させることになった。さらに昨年12月の閣議決定で計画の前倒し実施がきまり、約半数の住宅に契約打ち切りの上記の「案内」が届いている。
住民には「寝耳に水」、あまりにも乱暴な話。そのことで30日、党県委員会として政府と交渉。
担当者は閣議決定であり、「売却・廃止方針は撤回できない」と述べる一方で、入居者にたいする説明の不十分さを認め、今年中には説明会を順次開くことを明らかにしました。
【定期借家には差別的対応】
交渉の中で、期限の定めのない普通借家人と、2年契約の定期借家人の差別的対応の問題があきらかになりました。
普通借家は「借地借家法」で、本人同意が必要であり、引越し費用(礼金、仲介料含む)、引越し先の家賃との差額2年分などを支払う。修繕費用については本人の過失でない場合払う必要はない。説明会も年内に実施したい。
ところが定期借家は、「借地借家法」でも合意は必要としない。2年毎の契約時に「今後も継続して住める保障はない」との確認書も取っている。と説明。
交渉団は、「普通借家も定期借家も、同じ居住者であり居住権がある。そのような差別は許されない。対象になる全員にきちんと説明をし、対策をとれ」と強く要請しました。
【1人も路頭に迷わせるな】
転居先の確保について、国は「自治体への譲渡が基本」「公営住宅の優先入居を自治体にお願いしている」としてるが、その状況について担当者は「そういう自治体はなかなかない」と実態にあってないことを認めました。
交渉団は、「1人も路頭に迷わせないことが大事だ」と「借地借家法は大家と借主の信頼関係が前提。一方的な廃止で追い出すことは許せない。国土交通大臣はUR住宅で、強制執行は『できないでしょう』と答弁している。」と対策をもとめました。
担当者は、居住権について「当然です」と認めたうえ、転居先について、「原則自分で入居先を探してもらいたいが、高齢者などそれができない方も出てくることは想定している。なんらかの対応をしていきたい」と回答しました。
政府与党は、非正規雇用の拡大でネットカフェ難民などホームレスを作り出すだけではあきたらず、住宅そのものをなくそうと言うのだ。担当者もこんな理不尽な計画の推進をおしつけられて気の毒な一面がある。
いずれにしても、突如住まいを奪うというこんなひどいことが許されていいはずがない。
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