指定管理者制度の見直し必要 総務省
総務省側が指定管理者制度の問題点を認め6月6日付通知(下記に抜粋)のポイントについて「公共サービスの質の確保という観点での選定が重要ということだ。ダンピングなどで住民サービスの質を落としていいということではない。委託料についても『人的、物的能力等に応じた適切な積算をするよう』指摘しており、住民サービスを低下させない委託料の積算が必要」と説明した―― 7月29日の自治労連の総務省交渉より。
これは「官から民」と公的サービスの縮小を進めてきた路線の行き詰まりを示すもの。
総務省は「公の施設全般について点検し、指定管理者制度を積極的に活用」するよう通知を出し、経費の節減、民間企業の参入をすすめてきたが、人権保障を担う公務と利潤を求める民間では立場が違う。
これは高知の医療PFIで顕在化している。
先日、「公立病院改革セミナー」で京都大学の長瀬氏は、「PFIが民間委託できるのは医療サービス以外の分野だから、病院全体が稼ぐかどうかはまったく関係ない」「情勢がどう変化しようが、自分たちの利益が確保できるように契約を結ぼうとする。その時点で事業リスクは共有されない」「民間業者は基本的に、自社の利益を最大化することを目的としている。事業リストを共有してないので、PFIが病院の利益を最大化するとは論理的に言えない」(高知新聞7月11日付けより引用)
高知市は、アウトソーシングを自己目的化(財政見通しとリンクしてない)しているが、立ちとどまって真剣に検討すべきである。
平成20年度地方財政の運営について 08年6月6日 各都道府県知事殿 総務事務次官第1 財政運営の基本的事項
4 地方分権改革、市町村合併及び行政改革の推進等
(8) 指定管理者制度の運用
平成15年度に導入された指定管理者制度は、導入後5年を経過し新たな指定管理者の選定に入ろうとしている団体が多いと見込まれるところであり、運用に当たっては以下の事項に留意し、その在り方について検証及び見直しを行われたい。
ア 指定管理者の選定の際の基準設定に当たっては、公共サービスの水準の確保という観点が重要であること。
イ 指定管理者の適切な評価を行うに当たっては、当該施設の態様に応じ、公共サービスについて専門的知見を有する外部有識者等の視点を導入することが重要であること。
ウ 指定管理者との協定等には、施設の種別に応じた必要な体制に関する事項、リスク分担に関する事項、損害賠償責任保険等の加入に関する事項等の具体的事項をあらかじめ盛り込むことが望ましいこと。また、委託料については、適切な積算に基づくものであること。
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