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高知市 下水道料20.5%値上げ案について

 9月議会に下水道料金の平均20.5%値上げが提案されようとしている。
【理 由】
・「汚水私費」が原則、市の財政危機もあり、3年間で一般財権の繰入18億円を削減する。
・繰上げ償還にかかわり保証金を上回る約11億円の「経営改善」の約束
・国の方針 汚水処理原価を150円/㎥に引き上げること
というものだが・・・
 値上げの根拠、平準化債の発行など少し考えて見たい。

【基本的考え方】
・下水道事業の負担については「雨水公費、汚水私費」という原則がある。
・しかし、06年3月の「今後の下水道財政の在り方に関する研究会」報告は、「処理区域内人口が低い事業においては、汚水処理経費の全てを使用料によって賄うとすると他の公共料金と比較しても著しく高額な使用料設定が必要となる場合が多い。」「全ての事業に一律に、汚水処理経費の全てを直ちに使用料で賄うよう使用料改定を求めることは非現実的でもある。」としている。 
高知市の整備はゼロメートル地帯が多くポンプの設置が多いことが投資規模を押し上げている(財源のうち使用料の占める割合を低くしているのでは?)。

「報告」は20㎥という平均的使用にあたって、「月3,000円の水準を目途」としている。
また、06年1月の全国財政課長会議で示された「下水道事業における使用料の適正化」では「使用料単価を150円/㎥に引き上げること」としている。

・汚水処理費への公費負担について
「雨水公費、汚水私費」としながらも、負担の問題だけでなく、「汚水処理経費に対する公費負担の必要性については、2次財研(S41年)においては良好な都市環境の維持、水質汚濁防止の必要性、都市形成に先立つ地域開発のためのインフラ整備の一貫としての役割から汚水処理経費の公的負担分の増加が提言」され、5次財研(s60年では)「下水道の公共的役割に鑑み、汚水に係る費用の一部(水質規制費用、高度処理費用の一部、高料金対策に要する経費等)を公費負担とすることが適当である。」されてきている。

【高知市の状況はどうか。】
・07年度の高知市の「使用料単価」(使用料/有収水量)
 2.866.507千円/20.499.753㎥ = 139.8円となっている。

・改定案ではどうか?
「改定使用料総額」は10.561.842千円。
単年度では3.520.614千円。これを19年度の有収水量で割ると171.7円
と、国が目途としている150円を14.5%上回る。
(09-11年の「下水道財政計画」案より)
 
・料金改定案をみると、使用料20㎥では
使用量1~10 11~20㎥
     基本料  1㎥あたり料金          
現在  770円    8円     112円    
     770+( 8×10)+(112×10)=1970円
改定  900円   10円     136円    
     900+(10×10)+(136×10)=2360円
となっている。
 20㎥使用の人に限って計算すれば、「3000円」目安よりは「安い」が、「使用料の適正化」で通知されているのは、全体の平均である「使用料単価150円/㎥」であり、「改定」でこれは大きく突破する。

 県民所得の低さを考えれば、2割の負担増はぎひしいものがある。

【資本費平準化債の発行について】 
・04年、国は三位一体改革で地方財源を切り込んだ代替として、資本費平準化債というものを導入した。理由は、普通20年償還となっている借金であるが、施設の耐用年数は44年であり、世代間の負担を公平にするために、借金を借り替えて「平準化」させるというもの。つまり20年ローンを44年ローンに組みかえるという感じである。
 たとえば高知市の案は3年間計画で平準化債32年億円を発行する。これで3年間で一般財源の投入が32億円減って、一息つけるという考えだ(さらに18億円を使用料負担増にするので、計50億円となる)。
・ところが平準化債を借りると、地方交付税はその1/2減らされる。これは、一般会計からの下水道会計への繰り入れが減るため、地方交付税の計算式から除外されるからである。
先の高知市の例なら16億円の交付税収入が減る。
・その減った16億円はどう手当てされるか。高知市の平準化債は、5年据え置き(利子は翌年度から発生)15年償還…この20年間の元利償還の期間を通じて、その全額が交付税算入される、と国は説明している。
(参照 平成17年度の地方財政計画の改正点 )

つまり
・財政危機の地方は少しでも目先の一般財源投入を削減できる。
・国も目先の交付税総額を抑制できる。

しかし
・借金は後に残る  ⇒ 「交付税措置されるから」…これは90年代のハコモノ行政推進の時の「合言葉」ではなかったか。しかし、交付税の総額が削減され、今日の財政危機の要因となっている。
・国が面倒を見る利子負担分が増えても奨励をするのは、交付税の総額抑制により事実上「反故」にすると見るのが妥当だと思うが… 
 「借金のための借金」=「赤字地方債」という批判もある。

 ・・・ハコモノ、同和などのムダの削減が先ではないか。 きちんとした検証がいる。

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