労働者の自殺は豊田市が1位 「実態白書」
学識者と弁護士、NPO法人代表らで作るプロジェクトチームが、04~06年の自殺者計9万7 032人を分析して、各警察署で起きた自殺データを、市区町村単位に再集計した初の「自殺実態白書2008」が4日発表された。
同ホームページが・・自殺は、人の命に関わる極めて「個人的な問題」である。しかし同時に、自殺は「社会的な問題」であり、「社会構造的な問題」でもある。被雇用者の自殺者数では「トヨタ自動車の町」・愛知県豊田市が一位など、そうしたことが浮き彫りになってくる。
◆第二章の中に「警察署別の被雇用者自殺者数上位50署における自殺要因と被雇用者の傾向について」がある。
被雇用者の自殺は、愛知県豊田市など大企業が立地する工業地域で多発している。
中心企業→下請け企業→孫請け企業の「ピラミッド型の構造」の中に、さまざまな雇用形態の労働者が存在している地域が多いことを指摘。自殺の要因として(1)長時間労働(2)二十四時間交代制勤務(3)人員整理(4)派遣社員の不安定な地位―などが推測されると分析している。
◆第一章の「危機経路」では、自殺の理由は一つではなく、平均で四つの「危機要因」を抱えていること。危機要因は(1)うつ病(2)家族の不和(3)負債(4)身体疾患(5)生活苦(6)職場の人 間関係(7)職場環境の変化(8)失業(9)事業不振(10)過労--の順に多く、上位10項目 で全体の約7割を占める。それぞれの要因は互いにつながっており、危機連鎖度が最も高いのが「うつ病→自殺」の経路としている。
例えば・・・
被雇用者「配置転換→過労や職場の人間関係悪化→うつ病」
経営者 「事業不振→生活苦→多重債務→うつ病」
考察では「相互に関連性を有している場合が少なくない。つまりある要因が他の要因を招くという負の連鎖がみられるのである。」「一旦、悪循環に入った場合には、その循環から脱却するには相当のエネルギーを要するため、周囲の強力な支援が必要不可欠となり、専門家による支援も必要となる。こうした専門家には、精神医療関係者のみならず、経済的問題、法的問題も含む様々な領域の専門家が必要である。」と、総合的、多段階的な手立てを求めている。
「反貧困」の湯浅誠氏のいう「すべり台」社会の改革が必要だと言える。
高知県でみると自営業者の自殺が、人口に比べ、周辺部で高いことが目につく。周辺部の経済の疲弊の強さのあらわれだろうか。
様々なデータの積み上げと文責、関係者からの聞き取りを踏まえ、中味の濃い「白書」の作成にかかわられたみなさんに敬意を表したい。
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