『成果主義は失敗だった』と企業は明言せよ 日経コラム
NIKKEI・NETの6月30日付に「ポスト成果主義 スタンドプレーからチームプレーに 『成果主義は失敗だった』と企業は明言せよ」(高橋伸夫東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)が載っている。
高橋氏は「企業が成長を目指すのであれば、昔の年功制に戻るべきです。企業の成長を支えてきた実績もありますから。自社の将来を背負って立つ人材を長期にわたって育成しようと思ったら、年功制以外にあり得ないでしょう。成長を志向する企業のトップには『成果主義は失敗だった』と宣言して年功制を復活させてほしいですね。」と結んでいる。
ILOのレポート、「ものづくり白書」が、非正規雇用など安易にコスト削減策に警告をならし、人材育成の重要性を指摘していることと通じるものがある。
成果主義賃金の見直しの動きは確かに広がっている。
・資生堂 営業担当社員の売上ノルマを撤廃。売上高による評価をやめ、顧客満足度で評価する方式に変える。
・小林製薬 人事評価の尺度に「後輩育成」を導入。個人プレー抑え、チーム力高める。
・三井物産 個人や部門の業績を評価する際、利益など定量的要素より定性的プロセスを重視する。など。
成果主義というが、アメリカでは非管理職層には適用していないのが普通。しかも、「この仕事はいくら」というヨーロッパの協定賃金ではないが市場賃金というべきものがあり、また「仕事に賃金の値札がついている。そして、その仕事をできる人を雇う。だから、潜在能力を評価して、企業内教育を通じで、人材をつくりあげるという発想はない。それでアメリカでも人材育成など日本的なものを取り入れだしている。
ところが日本は、その人材育成という良さを捨て、全従業員対象に成果主義賃金を取り入れた。その目的は単なるコスト削減であり、結果、企業の活力がなくなったことは富士通の失敗は有名である。
ところが民間企業で失敗があきらかになっている成果主義が公務の現場に適用されている。人権保障という公務の仕事をどう査定するのか。
ふじみ野市のプール死亡事故、北九州市の生活保護の餓死事件のような悲劇。足立区の学力テストのように、学習に遅れのある児童の答案を全体集計から除外したり、誤った答えに示唆をあたえるような不正・・・ 点数や数値でははかれないものがある。しかも、予算が決まっているから、最初から「A」は何%と、かつての通信簿のよう相対評価という馬鹿げたものとなっている。
当然、能力開発としての評価制度は必要だと考えるが、成果主義賃金の流行は「ファッション」のようなもだったわけでやめた方がよい。
このあたりのことは地方自治問題研究機構の「人事評価制度・成果主義とどう向き合うか」(黒田兼一・明治大学教授)に詳しい。
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