サミット 温暖化対策は前進したか?
サミットについて、NHK、一般紙(下記に主要紙・主張)などが、温暖化問題で「合意」「共有」などを語っているが、中期目標の具体的数値を明確にできず、50%削減も基準年があいまい(サミット後の記者会見で福田首相は明確に基準は現時点と語っている)、「合意」の意味はない。
この結果に、気候ネットワーク「何も言わなかったに等しい」世界自然保護基金(WWF)「洞爺湖における交渉で、カナダ、日本、米国は国際交渉を前へ進める気がないことが鮮明に示された」と緊急声明を出している。
・気候ネットワーク「昨年のサミットから進展なし 福田首相、気候変動問題でのリーダーシップ発揮に失敗」
・WWF「G8諸国は、先進国としての責任から逃れ、温暖化交渉を率いることに失敗した」
投機マネーによる石油と食料の高騰にもなにも対策を打ち出せなかった。アメリカとそれに追随する日本の責任は重大である。
【主要紙の主張・・・「合意」についての評価を軸に】
「サミット閉幕 一歩前進だが不満も残す」産経主張
「最大の議題となった地球温暖化対策では、CO2などの排出を2050年までに世界全体で半減させるという長期目標でG8が初めて合意した。」「そのうえで、すべての国にこの長期目標の共有を求めることで一致、そのためにG8がまず『野心的な国別中期目標』を実施することでも合意した。」「米国も『成果だった』と評したように、重要な一歩前進となった。」
「サミット閉幕 危機克服へ対話を続けよ」(7月10日付・読売社説)
「G8首脳は、温室効果ガスの排出量を2050年までに半減するという世界共通の長期目標を掲げることで合意した。」「中期目標についても、国別の排出総量目標を設定することで一致した。」「13年以降のポスト京都議定書の枠組み作りに向け、京都議定書を離脱した米国を含め、G8の足並みがそろった意義は大きい。」
「社説:危機感の共有から行動へ 温暖化回避『全員参加』で」 毎日
「2050年までに世界の温室効果ガスを半減させる」という、必要最小限の長期目標さえ合意できずに終わった。中期目標ではG8の合意を受け、先進国の国別目標の設定では一致したが、新興国の具体的な目標は盛り込まれなかった。」「米国に配慮したG8の煮え切らない合意には、温暖化問題でMEMの合意を前進させる力はなかった。経済問題でも、米国に遠慮した結果、当たり障りのない言及が並ぶ結果になった。」
「サミット閉幕―数字は一夜で消えたが」朝日
「枠を新興国に広げてみると『50年までに半減』という数字は消えてしまった。新興国側は、経済成長が制約されかねないという懸念をぬぐえなかったのだろう。先進国側が率先して大幅削減を引き受ける姿勢を示せなかったのが大きい。」「期待がもてる変化は見えてきた。 一つは、先進国が『野心的な中期の国別総量目標』を掲げると明言したことだ。もう一つは、新興国の側も野放図に排出量をふやさないようにブレーキを踏む責任を、条件付きながら引き受けたことだ。」
日経社説 「G8は洞爺湖で問題解決力を示せたか(7/10) 」
「こうした結果にもかかわらず、欧州各国首脳は、成果を評価した。温暖化防止に消極的なブッシュ米大統領の任期切れを念頭に、新たな合意よりこれまでの流れにブレーキをかけないことを最大の眼目にしていたからとされる。」「次期米大統領の登場を待つ欧州にとって今回のサミットは、いわば中継ぎだった。次期枠組みをどうつくるかの難題は先送りされたわけであり、したがって今回の首脳間の合意は、これからの交渉が円滑に進むと約束するものではない。」
・・・・産経、読売は「評価が高い」、毎日が比較的冷静に評価している。日経は、ある意味、的を射ている。
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