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知事の目線 認定こども園と骨太方針

 昨日、県議会が開会した。気になるのは知事の国への目線。今回、教育改革の1つの目玉として幼児期教育改革をあげ、その柱として「認定こども園」を設置推進を明らかにした。知事は「骨太の方針2008」に認定こども園への財政支援措置を充実する事が盛り込まれたと提案説明で評価している。

そもそも認定こども園は「待機児童解消」を口実に、憲法・児童福祉法にもとづいて国と自治体が責任を負う公
的保育制度の解体に道を開き、公的サービスの市場化という流れで出されてきたものだ。
骨太2008に至る議論の中で、民間委員の提出した資料は、「認定こども園は、『保育』と『幼児教育』の機能を併せ持つはず」とのべているが、県の説明はこれとそっくり。
そして、全国で229ヶ所しか整備されてなく進まないことに苛立ちながら、資料はこう記載されている。
「3.保育サービス
保育サービスを飛躍的に充実させるために、利用者の立場に立って規制改革を進めるべきである。関係大臣におかれては、経済財政諮問会議や地方分権改革推進委員会等の次の指摘をしっかりと受け止められたい。
・保保育サービスの見直し
市町村が利用者を割り当てる現行の仕組みを改め、利用者が保育サービスを自ら選択できる制度へ転換すべきである。また、保育所の調理室必置や面積等の最低基準を地域に委ねるべきである。
・認定こども園、保育ママの拡大
認定こども園等の「二重行政」を解消し、その普及を促進する。保育ママの制度化を進め、資格要件の緩和を行うべきである。」
 上記の内容でおこなえば、安あがりの施設基準となり、また、低所得者や障害者が入れないなど問題は発生するのは明らかである。ようは、社会保障費の削減と民間市場を拡大したい、ということでしかない。
 これを知事は、「幼児教育」の核にすえようと言うのだが、単に、国の方針に寄り添っているだけである。

このことは、6月23日の庁議の概要での知事の発言でよくわかる。以下、尾﨑知事の発言。
・ 「骨太の方針」に、我々が要望したことが反映されたかどうかということでは、概ね、よく反映されてよかったという感じだが、問題はこれからであり、概算要求に向けてどうしていくかである。
・今回の「骨太の方針」には、地域再生とか、産業振興のことが結構書き込んである。例えば、地域再生の関係がいろいろと出ているが、どうやって生かしていくか、いかに使うかということを政策企画部で考えた方がよい。地域再生のところを細かく見ていくこと。骨太の場合は、本当に一語一語が超重要である。必ず事業がはりついているものなので、見ていってもらいたい。
 
 暮らしと地方、一次産業を切り捨ててきたのが「構造改革」路線であり、骨太方針である。今回の方針は、これまでの流れをかえることなく、06、07年の骨太方針を引継ぎ、社会保障抑制、地方財政抑制、農業であれば規模拡大などを打ち出しているのだが、それらへの批判的視点はなく「われわれの意見がよく反映されている」と評価している。
 その国の方針のもとで、いかせるメニューに寄り添い、補助金を取ってくるという感じが強くする。

 これまでの県政は、協働の森事業、1.5車線、中山間地の所得補償など、地域の実際の要求から出発した施策で、国の施策にも影響を与えてきた。補助金をとるために職員が膨大な量の書類を作成するより、実際に現場で何がもとめられているか、どんな制度が必要が、どう制度を改善するのかを探究してきた。そのために地域企画支援員60名を配置した。
一方、現県政は、「骨太の場合は、本当に一語一語が超重要である。必ず事業がはりついている」・・・まるで目線の向きが違うではないか。

 ちなみに、幼児教育にたいする知事の見識の程度を証明している。
先日、沖縄タイムスのフィンランドの特集に触れたが、就学前教育をになう「エシコウル」の保育技師はこう語っている。「知識を覚えさせることは、この時期には重要ではない。むしろ逆効果になることもある。」「もっとも大切なことは遊ぶこと。遊びの中で友達と協力し、プランを出し合い、意見の対立を解消する方法を学ぶ。能力を身につけること以上に、みんなで協力しあうことの大切さを教えている」と。
言葉という概念でくくる実際の体験、経験の内容がどれだけ豊かに幼児期に形成できるかが大事・・・体験と結びつかない知識の詰め込みは有害である。また、人と協働する中で、自らの狭さを克服し、自分の仲に豊かに自己を形成していく。これは発達心理学がイロハのイともいうべき中味である。
こうした発達の基礎をきづくことは、高知県の保育園実践のなかで豊かに取り組まれてきた。「保育」と「幼児教育」を対立してとらえるところが、そもそもまちがっている。

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