マンション建設 ゆきづまり深める
まちの景観を壊し、購入者にも「負の資産」としかならないマンション建設に陰りが出てきたという報道が相次いでいる。GENDAIネットが【死の淵に立つ倒産不況】の特集で「USA、USJと飛び交うイニシャル マンション業界」と報道している。高知はどうか・・・ 2つのA社も苦戦も思うが・・・ よく考る時期と思う。
高知で猛威を振るっている穴吹工務店は、6月発表された決算で減収減益があきらかになった。「マンション事業営業利益の大幅減で減収減益/穴吹工務店08年3月期決算」
穴吹興産の決算は増益だったが、株価の低落は著しい。この二年でみれば300円前半だったものが180円台と半分に下がっている(グラフ参照)。
住民の運動に加え、消費の低迷、資材の高騰、銀行の信用縮小・・・ここでも転機があるように思う。
まちづくり専門家の「マンションは負の資産の話」より
中高層マンション問題とは。住環境を守るとは、単に家の前の環境を守るだけでない。都市空間を、細分化し、
中高層反対で住環境を守るというが、マンション問題とは、単に家の前の環境を守るだけでないことを認識してほしい。マンションは、土地でなく、都市空間を、細分化し、それを個人の所有とし、その形成を市場にゆだねてきた。都市空間に居住するというマンションが持ってる本質的問題は、環境とか景観を独占するという問題。人の空間をただ取りする。都市計画には密度がとても重要。何人、何戸あるか。狭い地域に、高密度で住むのはストレスが高い。水、電気の設備にも影響する。都市計画としてよくない。
次ぎに居住性病理学的弊害。超高層のマンションで育ってた子どもは外に出て行かない。老人も外に出て行かないという問題がある。妊婦の方にも弊害があるといわれている。この影響の実証的な研究が必要だ。ただ証明が出来た時点では遅い。予防原則が必要。一部諸外国では高層マンションを建てないと決めている。マンション反対はそこに住む人のためでもある。
そもそもいずれなくなる空間を細分化して所有する。その空間が投資の対象となっている。小口債権化して、不動産ファンドが空中を買い取っている。多くの人が証券として持っている。そこにサブプラスローン問題が起き投資が逃げていく。それでマンション業者がつぶれていく。危ないところが相当出ている。将来の都市がどうなるか、大変、大きな問題を抱えている。このファンドが投資するお金は、みなさんの預貯金。東京のマンションとかに投資している人が相当いる。自分達が被害者だけでなく加害者になっている。よく考えないといけない。
今後どうなるか。負の遺産が増えていく。空間が区分所有される。財産なので、相続できないといけない。しかし、1つのマンションに百人が共有状態になっている。名義人が多数となり、建替えなどの合意がより難しくなる。建て直すことも、壊すことも出来ない。既にリゾートマンションでは、固定資産税を徴収するために、地方から東京の所有者のところに集めにいくことが起こっている。1つの部屋の地権者がねずみ講のように増えて行く。スラム化していく可能性が強い。
実は既に起きている。高崎市の駅前でマンションの放棄がはじまっている。空き室が多くなる。管理費が集まらず、人が住んでいるのにエレベーターも動かない。壊すこともできない。まったく管理が出来ない。住宅統計調査を見ると空部屋率がべらぼうに増えている。少子高齢化の中で都市が縮小していく。つまり、放棄されるマンションが増大する。百数十メートルのマンションでこんなことが起きればどうなるか。今後、問題となる。
対策として、①醜いマンションを合法としている法の改定。都市計画法、建築基準法改定だけではすまない。たとえばバリヤフリー法の中に、基準を守った場合、容積率が緩和される規定が入っている。こういう例外規定は無数にあり、制度疲労に陥っている。区分所有法という法律自身考えないといけない。条例では限界がある。突破されている。②建築家ぬきの建築はない。いい建築家はほめる、醜いマンションを作った建築家・建築士をキチンと批判する運動が必要。 ③マンションは資産という幻想をなくす。マンションはさきほど言ったように負の遺産になっていく。建築の一生のコストの中で、実は60%が維持管理費(★)。安いマンション買っても維持管理費が相当かかってしまうことを知らずにマンションを買っていく。中高層マンションを買わないことが、自分のためであるし、人のためであるし、子孫のためになるという運動をすすめる。
こういうシンプルな発想が必要ではないか。
★建物の生涯コスト(ライフサイクルコスト、L・C・C。初期コストと解体されるまでの運営コスト)は、平均的試算では初期コストは、L・C・Cの20~25%。初期コストとほぼ同額が修繕費。そして初期コストの2~3倍が運営コスト(ランニングコスト)と考えられると言われている。
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