荒廃化 マンションは「負の資産」
「景観と住環境を考える全国ネットワーク」の結成を前後して、15日の朝日に「増える 荒廃マンション」と題し“無関心で管理破綻、エレベータ動かず、周囲はゴミの山”の様子を報じている。20日の読売一面に「マンション管理費 滞納深刻」と題し同様の記事を出している。「資産」「安心」を求めて買ったマンションが負債と不安の元となっている。
販売も落ち込み、資材高騰などから、今後、倒産が相次ぐのではないかと言われている。
高知ではマンション建設ラッシュだが、購入者もよくよく考えたほうがよい。
(写真は、京都の新景観政策の契機となったマンション。空を独占している)
・上期首都圏マンション販売23・8%減、4年連続マイナス(7/15) 産経
・近畿マンション発売戸数 10年ぶり低水準 上半期発売21%減 読売 7/16
京都での「景観と住環境を考える全国ネットワーク」の会で、「マンションをどうとらえるか」とコンパクトな報告があった。
それは、「資産」「安心」を求めて買ったマンションが負債と不安の元となっているもの。
中高層マンション問題とは。住環境を守るとは、単に家の前の環境を守るだけでない。都市空間を、細分化し、
中高層反対で住環境を守るというが、マンション問題とは、単に家の前の環境を守るだけでないことを認識してほしい。マンションは、土地でなく、都市空間を、細分化し、それを個人の所有とし、その形成を市場にゆだねてきた。都市空間に居住するというマンションが持ってる本質的問題は、環境とか景観を独占するという問題。人の空間をただ取りする。都市計画には密度がとても重要。何人、何戸あるか。狭い地域に、高密度で住むのはストレスが高い。水、電気の設備にも影響する。都市計画としてよくない。
次ぎに居住性病理学的弊害。超高層のマンションで育ってた子どもは外に出て行かない。老人も外に出て行かないという問題がある。妊婦の方にも弊害があるといわれている。この影響の実証的な研究が必要だ。ただ証明が出来た時点では遅い。予防原則が必要。一部諸外国では高層マンションを建てないと決めている。マンション反対はそこに住む人のためでもある。
そもそもいずれなくなる空間を細分化して所有する。その空間が投資の対象となっている。小口債権化して、不動産ファンドが空中を買い取っている。多くの人が証券として持っている。そこにサブプラスローン問題が起き投資が逃げていく。それでマンション業者がつぶれていく。危ないところが相当出ている。将来の都市がどうなるか、大変、大きな問題を抱えている。このファンドが投資するお金は、みなさんの預貯金。東京のマンションとかに投資している人が相当いる。自分達が被害者だけでなく加害者になっている。よく考えないといけない。
今後どうなるか。負の遺産が増えていく。空間が区分所有される。財産なので、相続できないといけない。しかし、1つのマンションに百人が共有状態になっている。名義人が多数となり、建替えなどの合意がより難しくなる。建て直すことも、壊すことも出来ない。既にリゾートマンションでは、固定資産税を徴収するために、地方から東京の所有者のところに集めにいくことが起こっている。1つの部屋の地権者がねずみ講のように増えて行く。スラム化していく可能性が強い。
実は既に起きている。高崎市の駅前でマンションの放棄がはじまっている。空き室が多くなる。管理費が集まらず、人が住んでいるのにエレベーターも動かない。壊すこともできない。まったく管理が出来ない。住宅統計調査を見ると空部屋率がべらぼうに増えている。少子高齢化の中で都市が縮小していく。つまり、放棄されるマンションが増大する。百数十メートルのマンションでこんなことが起きればどうなるか。今後、問題となる。
対策として、①醜いマンションを合法としている法の改定。都市計画法、建築基準法改定だけではすまない。たとえばバリヤフリー法の中に、基準を守った場合、容積率が緩和される規定が入っている。こういう例外規定は無数にあり、制度疲労に陥っている。区分所有法という法律自身考えないといけない。条例では限界がある。突破されている。②建築家ぬきの建築はない。いい建築家はほめる、醜いマンションを作った建築家・建築士をキチンと批判する運動が必要。 ③マンションは資産という幻想をなくす。マンションはさきほど言ったように負の遺産になっていく。建築の一生のコストの中で、実は60%が維持管理費(★)。安いマンション買っても維持管理費が相当かかってしまうことを知らずにマンションを買っていく。中高層マンションを買わないことが、自分のためであるし、人のためであるし、子孫のためになるという運動をすすめる。
こういうシンプルな発想が必要ではないか。
★建物の生涯コスト(ライフサイクルコスト、L・C・C。初期コストと解体されるまでの運営コスト)は、平均的試算では初期コストは、L・C・Cの20~25%。初期コストとほぼ同額が修繕費。そして初期コストの2~3倍が運営コスト(ランニングコスト)と考えられると言われている。
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