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高知の軍事化を許すな 小泉親司さんの報告

 イージス艦の立て続けの入港、NPL誘致の動き、香南市の自衛隊普通化連隊の配備・・・在日米軍再編の中で、「高知の軍事基地化」の危険が高まっている。
 6月18日高知市、19日、四万十市で、日本共産党基地対策委員会責任者の小泉親司さんが「高知の軍事化を許すな」をのテーマで日米再編問題について行った講演の大要を紹介します。長いですが参考にしてください。

    【 報告の骨子 】 
・沖縄県議選の結果と全国で高まる米軍基地増強反対の闘い
・「米軍再編」、基地強化計画の現状
・イラク戦争反対、「9条守れ」が背景に
・日米合意が、日本国民に押し付ける4つの危険
・基地を受け入れれば、暮らしはよくなるか
・イラク情勢について

「米軍再編」問題と高知県の軍事化の危険
  
 18日 高知市 /.19日 四万十市   小泉親司

 日本共産党本部で基地問題の責任者している小泉です。本当にこんな静かなところに、なぜ米軍艦が連続して入港するのか、夜間離発着訓練(NLP)誘致の運動が起きるのか、大変懸念しております。
私の知っている限りのことをお話し、反対運動のお役にたてていただきたいと思います。

《沖縄県議選の結果と全国で高まる米軍基地増強反対のたたかい》
 はじめに、大変うれしいニュースが飛び込んできました。6月8日の沖縄県議選で、15年ぶりに、野党が与党を大幅に上回りました。得票率では、野党55.9%、与党44.1%。議席では、自民党が22から16、公明が3から3。一方、野党は民主党が1から4、日本共産党が3から5とみなさんのご支援で大きく躍進しました。
 この変化をつくり出した原因は何か。
 琉球新報の社説は「選挙結果は、過重負担が続く米軍基地問題や『低所得層ほど負担増』になることが判明した後期高齢者医療制度など、県民生活に深くかかわる国の施策や県の対応に有権者が明確に『ノー』を突き付けた格好だ」と「国・県は民意を受け止めよ」と書きました。後期高齢者医療制度に沖縄のオジー、オバーが本当に怒ってる、これが変化を作り出した大きな力です。
もうひとつ基地問題ではどうか。沖縄は県土の1割が米軍基地、全国の米軍基地の75%が集中している実態があります。沖縄の基地は、戦後、住民を収容所に押し込んで、銃剣とブルドーザーで次々とつくってきた。それがこんどは、普天間基地を名護市に移設計画がすすめられている。新基地は1300mの滑走路が2本、V字に配置され、普天間になかった弾薬庫や大型の船が接岸できる阜頭がつくられるという大変な増強になります。この基地が、こんどは「銃剣とブルトーザ」ではなく、全部日本国民の税金でつくられる初めての新しい米軍基地となります。この基地問題について、琉球新報が県議選告示の前日、前々日に世論調査をしました。今の政府案でいいはわずか8.7%、知事や名護市長などが提案している沖縄移動案、海の方へ50~90m移動させるものがよいは、13.7%にすぎない。それに比べて、県外・国外への移転すべきは、59.3%。約6割近い県民が県外・国外に移設せよという主張しています。こうした県民世論が、県議選では新基地建設をすすめる自・公与党に「ノー」の審判を下した。このことに大いに確信をもって運動をすすめることが大事だと思います。
 11月には県都の那覇市長選があります。自公の与党と野党の一騎打ちの選挙になるだろうと思います。今、政策協定をどうするか、日本共産党と民主党の間で協議をしています。日本共産党はもちろん、日米安保廃棄、基地撤去を統一候補の政策として掲げるべきだと主張しています。民主党も「過重な負担を背負わせる安保体制をあらため、友好条約を結ぶ」という案を提案せざるをえなくなった。大きな変化です。(6月30日にこの原案で野党が調印)最終的にどうなるかわかりませんが、私達のたたかいがこういう大きな変化をつくりだしたのです。
しかも、市長選挙では、野党がしっかり結束したら勝利できる可能性がある。県議選の那覇市区の得票率は、与党が44%、野党が56%です。同時に、2010年には知事選があります。新基地建設には埋め立てが必要になります。その環境アセスメントが遅れに遅れているために県知事選挙では、埋め立て計画、つまり新基地建設計画が最大の争点になります。湾の埋め立ての権限は知事がもっているからです。国は関与できない。だから、どんな立場の知事がこの許可権限をもつかで情勢は大きく変わってくる。そういう大きなたたかいが待っています。那覇市長選で勝利すれば、知事選へ大きな弾みがつきます。
 安保廃棄、基地撤去の声をひろげるため、全国からのご支援をおねがいします。

《「米軍再編」、基地強化計画の現状》
 つぎに、なぜ、宿毛湾に06年と今年、米軍艦が入港するか、NLP誘致の動きがおきるのかと言えば、日米両政府による在日米軍の再編計画がすすめられており、それと関係した重要な計画が高知の周辺で起きているからだと思います。それは、いま大問題となっている岩国米軍基地への艦載機移転に伴ない、その周辺に、ひとつは、原子力空母と関連軍艦がいつでも寄港できる港がいる、また、艦載機の夜間離発着訓練場(NLP)がいるという現実的で危険な動きがあるからだと思います。
 今、全国でこの米軍再編計画に対して非常に強い反対の声が起こっているのが特徴です。在日米軍再編の最終報告は06年5月1日に出されました。それから2年たって、朝日新聞は社説で「普天間移設 霧中」、東京新聞は「2014年完了は闇の中」と書きました。なかなか日米両政府の思惑どおりに進んでいない、これが情勢の特徴です。
 なぜかと言えば、日本の民意はどこでも、米軍基地の増強について「ノー」だからです。沖縄については先にのべたような状況です。山口県の岩国基地ではどうか。空母艦載機57機が増強される。井原前市長ががんばって、たたかいをすすめてきました。2月10日の市長選では、残念ながら井原さんが1700票で惜敗しました。では民意が変わったかと言えば、市長選の出口調査でも、5月におこなわれた山口2区の衆院補選の出口調査でも、艦載機移転反対が6割と、民意は変わっていません。新市長は議会で「私は国の政策に協力する事を基本としている」と所信表明をしましたが、後から新聞記者に「それは艦載機移転を容認することか」と聞かれたら「容認ではない」と答えています。「容認する」と言って選挙で勝ったのに、「容認してない」と言わざるをえない。それだけ強い反対の声があるのです。
 神奈川県の横須賀基地。原子力空母の母港化に動きに対し、歴代の市長さんは全部反対してきました。最初に通常型空母の母港を受け入れた市長さんは「将来にわたって原子力空母を配備しない」という条件つきで認めた。今の市長さんも「原子力空母の母港化に断固反対」と言って当選した。しかし、横須賀というのは小泉純一郎元首相の選挙区。これを拒否されたら大変だと圧力をかけ「容認」に変質させた。これに市民が怒っているのです。06年に41000人、今年は1万人増えて51000人と住民投票条例の制定をもとめる署名をあつめた。合計すると10万近い人が声をあげた。民間の調査でも、母港化に7割が反対と出ています。
このように「米軍再編」にとって、沖縄、岩国、横須賀という主要なところで基地強化反対の声が高まっているのが現状なのです。

 《イラク戦争反対、「9条守れ」が背景に》
 こうした状況がなぜつくられたのか。私は、この2年半、基地問題の責任者として、全国の多くの方々と知り合いになりました。こういう方々は、安保反対でも、基地反対でもない。井原前岩国市長さんもそうです。井原さんは、国の言いなりになればお金がもらえるが、国・基地依存ではまちづくりがガタガタになると考えたのが出発点でした。それで住民投票をしたら、市民の87%が艦載機移転「反対」と出たので、その立場を貫いたわけです。座間市の市長さんも、私達は候補者を立てて一騎打ちした市長さんでずが、米軍基地強化に反対する市民集会で「相模原の市長さんは戦車にひかれても反対する、と言ったが私はミサイルを撃ち込まれても断固反対する」と言いました。市の公用車、ゴミ収集車に反対のステッカーを貼ってがんばっています。
 自衛隊がイラクに派兵される、軍事費が拡大する。多くの人が戦争の危機が高まっていると感じ、だからこれ以上の基地の強化は反対だ、との声が高めているんだろうと思います。
鹿児島県の鹿屋(かのや)市。普天間基地から海兵隊の空中給油機を移駐する計画に対し、人口8万人の市で8千人の反対集会を行った。農協やPTA関係者などが中心になり、自治体ぐるみで反対し、撤回させた。日米合意の最終報告で唯一計画を修正させた。その市議会副議長さんにあったら、携帯で8人の孫の写真を見せてくれ「孫子のためにもイラク戦争で血塗られた米軍を絶対受け入れることはできない」と語ってくれました。ここには自衛隊の基地があります。その前身は、特攻隊の出撃基地でした。2000人の若者が出撃したところです。そういうところで米軍基地は絶対反対だとの声があがっている。イラク戦争反対、憲法九条を守れと結びつけた世論が非常につよく起こっているのです。
 よく基地とはなにか、と聞かれます。元海兵隊員でベトナム戦争に参戦し、多くの人々を殺した、今、平和活動にとりくんでいるアレン・ネルソンさんは「基地は人殺しの訓練の場だ」と明快に言います。その基地を増強させてはならないだという声が非常に高まっていることが、この基地反対の運動がこれだけ保守層を含め広がっている最大の理由ではないかと思っています。

《日米合意が、日本国民に押し付ける4つの危険》
では日米最終合意は、日本国民に何を押し付けようとしているのか。4つの点をお話します。

1.「米軍基地国家」という日本の現状を、21世紀まで押し付けていく合意です。
 日本には135ヶ所の米軍基地があります。基地の中は日本の国の法律が通用しません。その日本の米軍基地は、世界のなかでも異常な内容を持っています。3つの異常があります。
①米本土以外で、唯一の空母の母港がある。空母と言うのはアメリカの軍事力の象徴です。イラクでもアフガンでもまっさきに空母がかけつける。だから、そんな物騒なものは置かないと他の国々は政策にしている。日本は1973年からおいている。空母は、世界でも嫌われているので、日本政府は、「むこう3年に限る」と言って横須賀におしつけ、以来35年間ずっと置き続けている。それが今度は原子力空母を配備しようとしているのです。

②唯一の海兵隊の前進基地がある。沖縄と岩国にあります。海兵隊は最も獰猛な部隊と言われています。アメリカが海外に配備している米軍基地のうち各国の比重の調査があります。日本は、空軍の35%を受け入れトップ、海軍も40%でトップ。海兵隊はなんと99.5%です。一番米軍の多いドイツには海兵隊はない。
元海兵隊員で津田塾大学教授を勤めたダグラス・ラミスさんは軍隊の訓練というのは1つは、「母親の権威、女性の権威を否定する」と書いています。「人を殺せない人間」から「人を殺せる人間」へ、つくり変えなくてはならない。そのためには女性的なものを殺すことが重要である。兵士たちがちょっとでも弱い部分を見せると、「お母さんのところへ泣いて帰るのか」と言って、徹底して女性、母親の権威を否定する。もう1つは、何時間も木の枝をつかんでいるとか、まったく無内容なことやらせる。意味があろうがなかろうが、命令されたことに従うことが絶対であると叩き込まれると語っています。だから、01年、サンフランシスコ条約締結50周年のシンポジウムで、宮沢喜一元首相は「海兵隊に綱紀粛正を叫んでも事件を繰り返す。それが、日米同盟の長年の悩みの種になるだろう」と語ったのですが、その後も、少女暴行事件など凶悪犯罪を繰り返しています。

③首都東京に広大な基地が戦後63年ずっと置かれていることです。東京ドームの56倍の広さ。こんな国は日本くらいです。

 「米軍再編」は、この異常を解決するかと言えば、解決するどころか強化する。これが日米合意の一番悲しむべき内容です。米軍基地を撤去するのは世界の流れです。日本からイラクにアメリカ軍が行くとき、東南アジアには、日米、米韓、米・フィリピン、米・タイと4つの軍事同盟があるが、フィリピンは、91年に米軍基地を全部撤去しました。タイには基地がない。インド、パキスタンにもない。戦争しているアフガンとイラクにはあるが、他にはない。韓国も米軍再編の中で3分の1が撤退する。アセアン(東南アジア諸国連合)の事務局長さんは「アセアンは域内に外国軍の基地をおかないことを原則としてきた。今後も、恒久的に設置することはない」と語っています。それなのに日本は唯々諾々と受け入れている。情けない限りです。

2.原子力空母の配備を押しつける合意。
 原発を2つ持っているものが入ってくると考えください。原子力空母は通常型空母と違って、まったく給油しなくても25年間動く。85機の艦載機を積んで世界のどこにでも行ける。非常に危険です。政府は、人口密集地には原発は置かない方針だが、母港化すれば、一年の3分の2は横須賀にいる。原発が常駐するのと同じで、事故を起こせば重大なこととなる。アメリカは盛んに安全だというが、そもそも事故などをこれまで一度も発表してない。こんどの南米沖での火災事故も、どんな影響があったか発表してない。
 この空母の配備が様々なところで問題を起こしている。1つは岩国基地への艦載機の移転。宿毛で誘致が問題となっている空母艦載機の夜間離発着訓練(NLP)の場所の確定。そして民間港湾に空母、米軍艦をつぎつきと寄港させる。これが2つめの危険な合意の中味です。
 NLP訓練の誘致について、16日の宿毛市議会での質問に答えて市長さんが「市民の強い要請があれば調査するのも一考だ」と前向きの答弁をしている。NLPの中味について市長さんは全然わかってない。徹底して調査したら、こんなひどいものはない、となるはずです。
 今、厚木基地ではNLPはやっていない。徹底して闘ったから、硫黄島に行ってやっている。しかし、硫黄島でやるのは言語道断。硫黄島で戦死された方の遺骨は多くが収集されていない。埋もれたままになってる。そこに滑走路をつくった。一般の人は行けない。いるのは海上自衛隊だけ。国会議員も行くときには、自衛隊の飛行機でいくしかない。そこに米軍がやってきてNLPをやるのは許せないと思っています。
 訓練は、夜8時頃から10時頃まで、遅いときには11時ごろまでやる。騒音は100デシベル、ガード下で居て列車が通過したときの音といわれるが、音だけではない。ジェット機が超低空でやってくる。胃と腸がむしりとられるような衝撃音が襲うのです。接待ゴルフで逮捕された守屋が今年1月の「月刊現代」に、岩国にNLPを移転させたのは私だと自慢話を書いています。以前、厚木のNLPに対し、若い母親から「私の赤ちゃんが殺される」と電話があった。「今日はお父さんの葬式なので訓練はやめて」との電話があった。このことが記憶にあったので、「米軍再編の中で、厚木のNLPを移転させた」と。だったら「岩国の赤ちゃんは殺されていいのか」と怒りたくなる話ですが、この発言は、NLPのひどい実態を如実に語っていると思います。ぜひNLPを調査し、見て欲しいと思います。やれば大問題になるから。しかし、訓練は昼間もやる。空母の甲板は、長さ300m、幅40mもある。飛行機が下りるときは、甲板の真ん中にワイヤーが張ってあり、それに飛行機のお尻のフックを引っ掛けてとまる。でないと落ちてしまう。そのとき空母は、飛行機と同じ方向に全速力で走っている。少しでも甲板の距離をのばすためにです。夜になると真っ暗で空母の明かりだけで着艦する。いきなりそんな訓練をすると大事故が起こるので、新兵は、昼間からすざましい回数の訓練をおこなっています。NLPはテスト。ちゃんとした教官がつく。そして離発着を採点し、合格したものだけ、空母に乗れる。NLPというのは、それに向けた一連の訓練も含めてとらえる必要があります。

 NLPを誘致し、民間空港をつくったら、民間も使えるのではないか、という話がありますが、米軍が来ることを前提に空港をつくったら、全部米軍にのっとられます。厚木基地は、マッカーサーが降り立ったので有名ですが、厚木基地の周囲15キロにわたって爆音区域となっています。厚木基地は米軍基地ですが、滑走路も管制塔も自衛隊の所有です。NLPを行うと滑走路が一番痛む。米軍の持ち物なら自分で直さなければならない。しかし、自衛隊所有ならカネがいらない。日本の国民の税金で直させるのです。民間空港の米軍の共同使用についての合意は、「米軍の乗り入れについては、軍の要請が100%満たされないとダメ」となっています。だから、東京都の石原都知事が、横田基地の軍民共有を一生懸命主張していますが、都が開いたシンポジウムで都の用意したシンポジス3氏がみんな「そんなことはできない」と言ってるくらいなのです。民間で使えるといっても、そんなことは米軍が許さない、緊急事態の時には米軍優先になるからと。日本で唯一米軍と民間の軍民共用が三沢空港にありますが、民間は1日3便だけ。増便は米軍機の都合でだめとされています。
 米軍艦が、宿毛湾などに「休養、親善、友好」などの名目でどんどん乗り入れてきていますが、米軍が一番考えているのは、米軍基地も自衛隊基地も、民間の空港も港湾も、いつでもどこでも米軍基地に転用できるようにしたい。これが日米合意の危険なねらいです。東アジアで有事が発生したら、成田空港も関空も米軍基地として使いたい。米軍基地は、安保条約6条と地位協定2条にもとづいている。それは「全土基地方式」という他国にないもの。米軍がもとめれば、どこにでもずーっと米軍基地がおける規定があるので、こういうことが起こっています。
 宿毛湾を見てきましたが、帝国海軍の基地があった広い湾。原子力空母などが寄港してくる危険も出てくる。空母というのは、狭いところに入るのが嫌い。瀬戸内海に入らない。かつては日本海にも入らなかった。85機の艦載機を積んでおり、外洋に入れば力を発揮できる。下手に近づいて攻撃されたら大変なことになる。空母というのは、それ自体には攻撃できる兵器・軍事態勢がないのです。比較的脆弱なのです。ですから〃外から攻撃〃というのが空母の習性です。だから、外洋に面した広い湾が利用される危険があるのです。
 全国でも米軍の低空飛行訓練がはげしくなっています。本山町の低空飛行訓練が増えているといの記事が出ていましたが、岩国に艦載機が移転したら、もっと拡大する危険があります。高知の空が危険な空になる。
 米軍の空域、岩国エリア。どこまでかというと、愛媛の松山空港を管制しているのは岩国基地。米軍機を優先している。そういうエリアがたくさんあります。米軍再編で、そういうエリアがいっそう拡大することとなる。土佐沖には、潜水艦の演習場のリマ海域がありますが、空の訓練空域問題も出てくる可能性もあると思います。

3.日米一体化と自衛隊増強の合意。
 香南市の自衛隊基地を見てきました。すごい。私の想像を越えていた。四国一の演習場をもつことなる。夜間訓練も、ヘリボーン訓練もやるとなっています。自衛隊は、みなさんの税金をつかって変貌しようとしている。自衛隊が出来てから54年。米軍はその都度、脱皮させ成長させてきたが、今回の変貌は、海外へ米軍と一緒に出て行って、一緒に戦争・戦闘することをめざしています。
街に躍り出る自衛隊。愛知で、街中でライフルに引金に手をかけて行軍訓練をしています。対テロ訓練だとすぐに対応できる訓練です。自衛隊に顔を真っ黒の布でおおった特殊作戦部隊がいる。中央即応集団。その部隊のロゴマークの説明に「3つの桜のもと、日の丸を背負って、世界的規模で活動する姿を表している」とある。「歌を忘れたカナリヤ」ではないが、自衛隊は「日本防衛を忘れた軍隊」に変わってきています。
 今、自衛隊の中心な訓練は市街地戦闘訓練。東富士はじめ各地の演習場にホテル、ファミレス、住宅、庁舎、放送局などを模したビルを建て、制圧訓練をしている。イラクでもアフガンでも、また想定されるイランの戦争でも、ビルディングの谷間での戦争が主体。それで米軍といっしょに本格的な訓練に乗り出しています。
日本共産党の国会議員が演習場の視察に行きました。センサーのついたヘルメット、服を装着し、本物そっくりのビームライフルをつかい、コンピュータ室とつなぎ、頭に当れば死亡、腹に当れば重症と判定される。そうした、殺すか殺されるかの訓練を本格的にはじめています。司令官は、党の国会議員に「いままでの訓練は、400~500mの訓練だった。今は15~20mの近接戦闘訓練。400~500mでは緊迫感がない」と説明してます。アメリカ軍から教えてもらったアメリカ仕込みの訓練です。特殊作戦部隊はまた、山の中で、食料をもたず、何日間も蛇やカエルなどを食べて行動する、米海兵隊と同じ訓練もはじめている。本当に危険な道をすすんでいると思います。

4、米軍再編のために湯水のように国民の税金を使う合意。
 グアム移転をふくめ3兆円を負担する。日本の税金を使う。今、「後期高齢者医療制度」に国民の怒りが沸騰していますが、これは社会保障を毎年2200億円削る政策の具体化です。米軍への「思いやり予算」は2000億円。これが日本の政治の実態です。
 思いやり予算以前に、米軍にはあきれるほどの特権がある。基地の「地代」も税金もただ。水光熱費もただ。遊びに行くための高速道路の料金もただ。刑務所に入ってもステーキやデザートが出る別扱い。全部、日本国民の税金です。
 思いやり予算がはじまった78年は62億円。それが今2000億円。30年間で32倍。ドイツ、韓国も出していますがその3~11倍もの規模。米軍駐留経費の75%を日本の税金で負担している。米兵の給与以外全部負担してる言ってよい。
 グアムの移転、7100億円。私も調査に行って来ました。年間100万人の日本人が観光に訪れている。グアムは淡路島くらいの大きさ。北部にアンダーソン空軍基地、南は海軍基地、東はジャングル。ホテル群はアプラ湾に接する1キロ四方の中に林立している。このエリアは日本語が通じる。
ぜひグァムのことを知ってほしい。1つは、戦前、日本が占領した唯一の米領土であること。大宮島と日本名があり、小学校、中学校もあった。そういう土地であること。
2つめはグァムの3分の1は米軍基地。グァムはアメリカの準州で大統領の投票権も議会の議決権もない。そこに海兵隊と陸軍がやってきて、アメリカの4軍がそろい軍事要塞化することに日本の税金が使われる。1万人分の住宅から上下水道、電力施設、ゴミ処理施設まで作ってあげる。
 住宅は3500戸つくるが、一戸あたり7200万円。TBSの鳥越俊太郎さんが取材に行った。グァムで7000万円の家というとどんな家かと調べたら、1軒だけあったそうで、小高い丘にある二階建てのスペイン風の大邸宅。だから本当に豪華な米軍住宅をつくることになる。こうした増強をするために上下水道、電力などのインフラの整備が必要です。インフラのうち、水や電気は、米軍が所有している。施設は老朽化し脆弱です。費用をまかなうため、先住民のチャモロ族のいる地域で、海軍が水道代を2倍にあげた。そういう現地の住民を苦しめる施設を日本の税金で造っていくということです。
ゲーツ国防長官は、アジア安全保障会議で「ガァムの米軍基地は、同盟国の重要な支援を得て、軍事力を増強し、新たな緊急事態に対応できる能力を整える」と語っています。新たな戦争に備える能力ということです。グァムの実態を知らせ、軍事要塞化に反対するたたかいを進めていく責任があります。

《基地を受け入れれば、暮らしはよくなるか》
 「基地を受け入れたらお金がくるのでは・・・」という声をよく聞きます。札束で頬をたたくやり方ですが、とにかくお金はまちがいなく来ます。しかし、基地強化を受け入れ、お金をもらっても、逆の結果にしかならない。新基地建設のため沖縄北部振興で10年間、毎年100億円がつぎ込まれた。それで名護市民や沖縄県民の暮らしが良くなったか。県民所得は全国最低。失業率も8%と全国の2倍です。暮らしは少しもよくなってない。しかし一方、北谷町ではハンビー飛行場という米軍基地跡に「ハンビータウン」という商店街がつくられ、繁盛している。一億円の利益をあげ、税収も上がって沖縄経済に大きな影響を与えています。基地を撤去して、こうした施設ができれば逆に県民のくらしを潤わせることができる。
 96年、沖縄の基地負担を減らすことを目的に、北海道の矢臼別に大砲部隊が訓練移転しました。演習場のある別海町には、お金が来たが2~3年で急減。地元新聞は「響く砲声 細る見返り」と報道しました。残ったのは、基地強化であり、「砲声」だけです。それが国のやり方。
 岩国の井原前市長も、国のそうしたやり方に義憤として立ち上がった。基地を受け入れるとお金がくるが、すぐに減って行くので、次々と基地を受け入れなくてはならなくなる。空中給油機を受け入れた、国際大学に墜落したあのヘリコプターも受け入れた。そして爆音対策だと、沖合に3千mの滑走路を移動したら、こんど米軍は、二本とも使うと言い、艦載機57機を受け入れてください、となった。その結果が、全体で130機、嘉手納基地より大きい、極東最大の基地となろうとしているのです。
 自衛隊基地が出来ても、給食などはすべて中央直轄。地元のものが使われるわけではありません。確かに人が増え、税金は増えるかも知れませんが、サービスの提供も増えるので、特に潤うわけではありません。

 こうしたことも知らせて、反対運動を広げて欲しい。
 この静かで美しい四万十市、幡多の地域を軍事基地にしないため反対運動をすすめてほしい。保守的な方々とも、安保容認、基地容認の人とも、基地増強反対の一点での共闘することが全国の教訓です。

《イラク情勢について》
 最近イラク情勢の報道がなくなってきた。自衛隊のいるクウェートの基地でなにが行われているかまったくの秘密。マスコミが一切入れない。しかし、戦争が泥沼化していることは明白。米兵が4000人死亡した、民間人については、15万人とか100万人とかいう調査もある。それだけでなく、オーストラリアでイラク戦争反対の首相が誕生し、撤退の準備がすすんでいる。アメリカの盟友イギリスも今年中に3分の1を撤退させる。BBC放送は、今年中に政府か完全撤退を表明すると報道しています。
そういう状況が生まれる大変重要な事態に直面しています。今年の末、アメリカ、多国籍軍、自衛隊がイラクで活動している根拠となっている国連決議が失効します。軍隊が他国に駐留するために地位協定を結ぶ必要があるが、イラクと地位協定を結んでいる国は一国もない。だからアメリカは必死で地位協定を結ぼうとしているが、これが大問題となっています。
 1つはイラク国内。米軍が恒久的に基地を置ける協定に反対の声が強い。イギリスのチャンネル4の調査では72%がアメリカは撤退すべきと答えている。イラクの人は、今起こっている問題はアメリカが居るからだと考えている。アメリカも以前から地位協定を結ぶ努力をしてきたが、地位協定には免責条項がある。米兵が、イラクの女性や子どもを傷つけても罪に問われないというもの。日本でも「公務中」と言えば、一切責任は問われない。それがイスラム社会の教えと相容れないと強い反対があります。
 もう1つはアメリカ国内。民主党の大統領候補は撤退をかかげている。もう勝つ気で、ブッシュがつぎの政権の手を縛るような協定を結ぶべきでないと反対しています。
 そうした情勢は、日本にもきわめて深刻な問題を持ち込んでいます。
 日本がイラクで活動するためには地位協定を結ぶ必要がある。クウェートとは結んでいる。地位協定というが軍事協定です。アメリカとイラクの地位協定がどうなるかにかかっていますが、この問題がある。もうひとつは、来年7月にイラク特措法が切れる。この法律の根拠となってきた国連決議が年末で切れるわけですから、「イラク特措法」を改定しなければならない。それで自民党は、「海外派兵恒久法」をつくり、国連決議なしでも自衛隊を出せるようにとねらっているのです。
 この半年、イラクの自衛隊派遣をめぐり、この2つの大きな争点が大問題になる。今の情勢で、民主党が恒久法づくりに簡単に協力できるのか。「テロ特措法」延長の時にあれだけ抵抗して見せたわけですから。だから私たちのたたかい如何によって新しい政治の展開が生まれます。

 4月17日には、名古屋高裁で、イラクへの自衛隊派兵は憲法違反との判決がでました。画期的な判決です。これに従って、福田内閣は、自衛隊を撤退させるべきです。自衛隊のイラク派兵を継続させるための「海外派兵恒久法」づくりはやめるべきです。イラクの泥沼化や「特措法」をめぐる問題点を訴えて、イラクから自衛隊を撤退させよ、の世論を起こしましよう。あわせて、「米軍基地再編」の問題、軍事費の問題を訴えていけば、この半年間のたいへん重要なたたかいをすすめることができると思います。新しい政治の方向に切り替えることも可能になると思います。ごいっしょにがんばりましょう。

                                                    以上

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