漁業の一斉休業 直接補てんが必要
5年間で燃料が3倍に高騰した。漁業の主要17団体が15日、漁業の危機的状況を訴え全国20万隻が一斉休漁した。食を支え、供給する体制を維持・継続するための緊急の対策が必要と思う。しかし、各紙の主張は、政府と同じく補助金には否定的で、流通面など漁業の構造改革を説いている。
県議会でも、燃料高騰での農業・漁業危機の対応をどの会派も言う。意見書も準備されているが、「直接補てん」「投機マネーの規制」・・・この2語が入るかどうかで、同じような文章であっても、まるで違う中身となる。ここが対決点である。
全国一斉休漁 漁師らの窮状を救うには(7月16日付・読売社説)
減船の努力や流通コストの削減を唱え「漁業界は、政府の対応次第では再度の一斉休漁も辞さない構えだが、魚価上昇をもたらす頻繁な休漁は、国民の理解を得られまい。」と結んでいる
一斉休漁 漁業の構造改革につなげたい 毎日社説
「助金漬けは問題を先送りするだけになりかねない。」「日本の水産業はもともと、漁民の高齢化に加え、生産性の低さなど構造的な問題を抱えている。燃料油高騰は漁業者にとってはピンチだ。しかし、この問題は、単なる燃料油対策ではなく、構造問題の解決策を探り、日本の水産業の再生を図るという視点で取り組むべきだ。漁業への助成措置をとるとしても、こうした観点を踏まえて実施すべきだ。」
漁業の構造改革こそ必要 日経社説・7/16
「ただし、漁業全体の構造改革に役立つことが条件だ。水産物の流通は多段階に分かれており、コストがかさむ。小売価格に占める生産者の受取額は24%にすぎず、農産物の平均44%よりも低い。流通面を合理化すれば、漁業者の収入はその分増える。自ら消費者に直接販売するなど自助努力も不可欠だろう。」
「政府が収入の穴埋めに補助金をばらまいても一時的な効果しかないだろう。そもそも、財源のめども立たない。危機の時こそ対症療法でなく、構造改革を促す対策が必要だ。」
地方に住む私からすると危機感がなさ過ぎる。このままでは廃業が相次ぎ水産業は壊滅的な打撃をうけるだろう。農業も昨年でさえ生産費をまかなえない米価であり今年はさらにひどくなるだろう。ハウス園芸も廃業が増えてきている。
しかも各紙の社説が、原油高をもたらしている投機マネーの規制にふれていない。これについて、エネルギー白書は、2007年度で50~60ドル、通商白書は08年5月段階で74ドルが需給関係で説明できる価格としている。食と経営を脅かす元凶への怒りが感じられないし、一旦失ったら、蓄積してきた経験、技術は霧散し、農業であれば土地が荒廃する。また、地域社会が崩壊すれば、それに対する社会的コストの増大する。
とにかく、食料不足に対する危機感がなさすぎる。日本だけでない、世界のどの地域でも同様のことがおこっている。
EUでは、07年の原油高騰の緊急対策で1経営体に3年間で約480万円以内(1隻年160万円)の補助金を出し、さらにこの6月の議論で3倍に(年480万円、3年間)にすることを明らかにしている。
食を支え、供給する体制を維持・継続するための緊急の対策が必要と思う。
赤旗に、全国集会に参加した28歳の高知の青年の声が載っていたので紹介します。
「カツオ漁をしている両親が苦しんでいるのを見ていられない」といいます。自身はサービス業で働き、船に乗るのは「手伝い程度」。しかし、燃油高騰が始まってから、両親が出船を躊躇(ちゅうちょ)している様子がうかがえるといいます。「自分たちの世代が何かしなければいけないと思って参加した。政府はすぐ燃油高騰の対策をしてほしい」と力を込めました。
それとも政府は、漁村が疲弊すれば、原発や核廃棄物処分場の建設を推進できる・・・という魂胆か?
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