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ゆき詰まり示す 経済財政白書

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 「リスクに立ち向かう日本経済」がテーマの今年度の経済財政白書。サブプライムローン、資材や原油高、少子高齢化などのリスクにどう立ち向かうか。経済政策のゆきづまりを証明することとなった。
 目先の利益で、非正規雇用を拡大し、庶民に増税・社会保障削減、大企業に減税・・・内需が縮小し、海外依存の脆弱な体質を作り出してきたが、白書も「海外発のリスクに影響を受けやすい弱い体質になっている」とそのことを認めた。
 また、「期待されていた『企業から家計への景気回復の波及』は、実現に至っていない」と「企業が栄えればやがて家計へ波及するというシナリオの破たんを認めざるを得なくなった。

 だが白書の示す処方箋とは、成長力を高めるため、企業と家計に、リスクをおかしてより積極的な投資を求めるなど、およそ処方箋といえない内容。

「経済財政白書、リスク対応力強化が急務 企業・家計に投資促す」日経

 これについては読売が、白書が「景気は緩やかに回復していく」をしているのを「楽観的過ぎないか。根拠をもっと具体的に示し、論証すべきだ。」と批判したうえ、さらに「企業も個人も、どうやってリスクを減らそうか、頭を痛めている。ところが白書は、日本の企業や個人があまりリスクを取らず、収益のチャンスを逃していることを中期リスクと位置づけた。そのうえで成長力をアップするため、『企業、家計は積極的なリスクテイクをしていくことが必要である』と論じている。 こうした側面もあることは否定しないが、業績が悪化している企業や収入の伸びない家計に、もっとリスクを取れと迫るのは酷だろう。」と指摘し、経済政策のゆきづまりを証明することとなった。

「経済財政白書 リスクにどう立ち向かう」(7月23日付・読売社説)

 また、経済成長の厳選である人材について、「労働意欲を高める必要がある」と言っているが、毎日は、白書が「終身雇用を中心とする『日本型企業システム』が、経営上のリスクを取りづらい体質をうみ、成長率の低さにつながっている」、年功賃金や退職金制度については、「成果主義的な賃金体系に比べ、リスクテークによって得られる成果が賃金に反映されにくいため、従業員がリスクをとるインセンティブに欠ける」と批判していることをあげ、朝日は、さきの労働経済白書と全く逆な分析で「閣内不一致」と報じている。
 この間の「構造改革路線」や「労働政策」の不徹底が「労働意欲を低めている」というのは各種の報告、白書の中で、経済財政白書だけである。まさに財界の目先の利益に縛られた報告といえよう。
 
日本型経営、良いか悪いか 二つの白書「閣内不一致」朝日
「経済財政白書:消費税上げ必要 社会保障負担の財源に」 毎日

 労働経済白書については、多くの新聞が社説をたてたのとは対照的に、総じて影が薄い印象だ。

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