ハコ物行政のツケを子どもに転嫁するな。給食調理の民間委託
明日の高知市の行革委員会で、学校給食調理の民間委託試行が論議される。
効率化は当然だが、学校給食は、教育の一環。子どもの成長にとってかけがえのないもの。「効率化」ありきではなく、高知市の子どもにとって、必要なことはきちんとやる。これが大人の責任であり、議論の前提だ。
そこで、官製ワーキングプア問題、若者の県外流失を防ぐ雇用の場の確保、給食の質の維持、公務の責任、委託でホントにやすくなるのか・・・ 今日、労働局にも行ってきたが、「ハコもの行政のつけを子どもに押しつける」その思いを改めて強く持った。
◆民間委託で、経費削減をしようとするのが市の説明だが・・
献立も市がつくる。食材も市が購入、どこで安くするのか。人件費を下げることでしかない。
そこで
①市長は「本市の事業でワーキングプアをだすことがあってはならない」と議会で答弁している。
その対策はどうなっているのか。そのことが明確でない提案は議会答弁を無視したもの、議会軽視だ。
②民間委託しても、委託費が上がっている例がある。
足立区で全校が民間委託。委託料が年々値上がりするので、委託料を下げようとしたら、業者が、48項目の給食内容を削減ガイドラインというのを出してきて、調理員を減らすので、それに対応するため加工品に切りかえるとか、食数を1品減らすとか、となった。委託業者の言いたいようになってしまった。
杉並区では、民間委託を続ければ、委託費は15年で12億円の経費高になるということで、区長を東京高裁に告訴した住民訴訟がある。その判決では、民間委託の方が経費が高くつくことを、裁判所も認めた。
目先のことで判断してはいけない。
③高知市から若者の流出が大きな社会問題となっている。市長もそのことは憂慮する答弁を議会でしている。きちんと安定した職につけ、若者を高知に残すことの意味は大きい。その面も判断する必要がある。
◆サービスの質は落とさないが市の方針。安心・安全な給食が民間委託でできるのか。
労働局で何度が請負業務について話を聞いてきた。請負先が指揮命令できない。単なる労務提供は違法というのが労働者派遣法の基本。
教育委員かいの説明資料にある労働局見解というところを見てもらったが首をひねっていた。
なぜか。発注書と違えば、管理できるとあるが、それは「現場責任者」に限ってのこと。
そもそも業務委託する業者は、契約、仕様書、発注書の内容を理解し、実践する専門性がうることが前提
①委託業者の専門性についてどう基準をもうけているのか。栄養士、調理師が含まれてなくては、専門性が確保できない。「現場責任者」は事業者と成り代わってやれるだけの力量が必要。どういう設定をしているのか。 この専門性の前提があって、初めて栄養士が発注書との違いを指摘できるのだから。
当然、栄養士が作業を一緒にすることは禁止。必要な指摘も現場責任者だけ。その前提として毎日、前日とか是前日に、どう調理し、アレルギー食はどうするかなど、詳しい「発注書」を作成し、事業所、現場責任者とうちあわせすることになる。それにもとづき当日は現場責任者が切り盛りをする。
②そんなことで、質の確保が本当にできるのか。当然、専門性と経験があるのが前提だから、引き継ぎ期間などないというのが労働局の見解。それだけのことが出来る専門性と経験のある業者が存在するか。
杉並区が違法でないと判例を紹介しているが、それは業務の独立性と専門性がある、そして栄養士の指示は事業者に出されていると認めたからで、同時に先にあげたように、「経費増」になっていることも認めている。
③民間委託で安くつきサービスが維持されるという判決ではない。んな例をあげるのは不適切と思わないか。
◆公務の責任の問題
子どものことが第一と言った。民間委託で食中毒、アレルギー児の食事のまちがいとかの事故が発生したら誰が責任をとるのか。先日、ふじみ野市のプール事後の判決があった、管理は民間に委託していたが、判決は、所有者に管理責任があると、当時の課長、係長は、執行猶予つきだが禁固刑が言い渡された。
結局、最後は、行政が責任をとらなくてはならない。
①それなのに、栄養士、学校長は、指揮命令できない。それで安心、安全の給食を提供できるか。職員が誇りと責任をもってはたらけるか。
・・・これらの問題をホントに、きちんとしようとしたら、直営以外ありえない。
法をまもるべき行政が、これだけ黒に近いグレーなことを実施するのは、モラルハザードを先導しているとしか言いようがない。
それでもやる動機はなにか。かるぽーと、はりまや橋ターミナル、そしてこれからの中心市街地の拠点施設・・・ 時の市長の記念碑づくりのために、子どもや、これからの若者の雇用の場が犠牲にされてはたまらない。
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