非正規雇用34% 過去最高を更新
派遣労働者など非正規雇用者の割合が34.0%と過去最高を更新(総務省・労働力調査詳細集計、2008年1―3月期)。
非正規雇用者は11万人増、正規雇用者は22万人減。特に、15~34歳では、正規雇用が19万人減、5期連続と若者の不安定な労働実態が示されている。
非正規の拡大について、長年総合商社につとめ、昨年より日銀の審議委員なった亀崎氏が、「企業収益については、これまで数年間、既往最高益を更新してきました」と述べる一方、“家計に波及してない”“賃金が上がり難い状況が続いてる”と、その要因について、労働法制の規制緩和、非正規雇用の拡大があると、29日の「山形県での講演」で語っている。
同氏は、その要因を
「①グローバル競争の強まりや、海外も含めた連結対象企業の従業員に公平に報いる必要性などが、給与の抑制要因となっている」「②90年代後半以降の労働法制の変更の影響です。特に99年の労働者派遣の原則自由化、2004年の製造業への派遣の解禁を受けて非正規社員が急速に増え、平均賃金を押し下げ続けてきました。」
そうしたことから
「1980年以降、個人消費がGDPに占めるウエイトは、当初の約60%から50%台後半に徐々に低下し、成長への寄与度も縮小しています」と内需の弱さを指摘。
一部大企業の輸出依存を応援してきた日本経済のもろさと裏腹の関係と言える。これが、株価下落で「1人負け」と言われる状況をつくりだしている。
また、今後の方策の中では
「一人当たりの労働生産性を高めていく努力も必要であり、そのためには、良い意味で、働く人を大切に処遇することが重要です。例えば、人材教育を充実させていく余地は大きいと思います。団塊の世代が大量退職している中、製造業のモノづくりを始め、様々な職場で、技能・ノウハウの伝承が着実に行われていくことが期待されます。さらに、ワークライフ・バランスの実現、非正規社員への教育と正規社員への適切な切り替えなども、大事です。」と述べている。
この講演や総合研究開発機構のレポートなど、社会、経済の持続的発展にとっても非正規の拡大はこのましくないとの報告が出ている。
正社員化を求めるたたかいも広がっている。しかし、統計は、依然として大企業を中心に低賃金の非正規雇用に置き換える動きが続いていることを示している。労働法制の規制強化による資本の社会的規制は、いよいよ緊急の課題となっている。
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