耐震化補助が大幅拡充 前提崩れた追手前小移転統合
四川大地震をうけて、政府・自民党が「学校の耐震化工事促進、自治体への国庫補助を拡充」する方針を固めたと報道されている。改正案は、現在は原則2分の1としている耐震補強の国庫補助率を3分の2に引き上げ、地方交付税を拡充することから、「現在は約30%の自治体の負担率が約2%まで下がることが想定される。」というもの。
そこで高知市として再考がもとめられるのは追手前小学校の移転統合。市長は、跡地に複合施設をつくりたいという本音をもちながらも、表向きは、耐震化予算6億円の財源がないことを理由にしているからだ(昨年9月議会の質問参照)。
教育委員会も、全体として、特認校の教育効果を肯定しながらおきまして「早期に耐震化のための抜本的な改修を行うことが前提条件になる」と答弁している。さて、大幅に耐震費用が削減されたら、移転統合の前提が崩れることとなる。
学校をなくすことは、人の住む地域を目標としないことで、中心市街地の活性化の展望をなくす愚かな判断だ。
高知県の小中学校の耐震改修済みは54%、高校は48%と、財政状況が影響し、全国よりも遅れている。命と財産を守り、地元の雇用も経済も活性化させることになる。公共事業の優先順位なら道路よりこっちだろ。
【07年9月議会 日本共産党市議団の質問の関連部分】
6月議会で市長は,学校の設置そして統合については地方公共団体の長の権限だと答弁しました。その根拠について市側の当初の説明は,地方自治法第149条7項の公の施設の設置を示したわけですが,地方自治法のバイブルとも言える「逐条地方自治法」などの著者松本英昭氏の解説によれば,学校その他の教育施設の設置,管理,廃止は教育委員会の権限とするなど,法の特別の規制があるときは,普通地方公共団体の権限は制限を受けると解説し,また同氏の「地方自治法の概要」の公の施設の設置と廃止についてでも,公の施設の設置と廃止は,地方公共団体の長の権限である,ただし教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の設置,管理及び廃止に関することは教育委員会の権限であるとしています。
学校統合をつかさどる文部科学省教育制度改革室は,統廃合の権限問題について,地方自治法のとおり学校施設は一般財産でないため,統廃合の権限は教育委員会が優先されるとし,教育観点から十分な議論がされ,財政的問題も含めた議論の経過が大事になる。大体統廃合にかかわっては,平均10年をかけた計画が出される。児童・生徒,保護者,地域,学校関係者の意見を聞き,十分な議論と世論の合意の上で判断されるべきと答えています。行政が教育委員会の権限から離れて独自に設置や統廃合の権限を持つわけではないというのは明白です。
市長が中心部の活性化ありきで学校統廃合に突き進み,教育委員会の議論を縛るようなことは,行政権の乱用であり,許されるものではありません。学校長も知らないままに,一方的に統廃合について市長が公言する,このような手法は教育行政への乱暴な介入であり,教育をじゅうりんする行為と思いますが,教育委員長の所見を伺います。
6月議会での我が党の指摘で過ちに気づいたのか,中心市街地と切り離して,耐震化の費用がないということを統廃合の理由として持ち出しましたが,これは後づけの理由であり,到底承服できるものではありません。特認校の成果を議論した教育委員会は,効果が上がっていると言い,教育長は追手前小学校の実践を経済文教委員会の質疑の中で成功と評価しました。地方行政法の規定からいえば,長のその意見に沿って存続に全力を尽くすのが責務です。また,その努力は特認校の設置を決めた説明の中でも示しているように,市の総合計画との関連で,都心居住の観点からも小学校の存続が必要として決定されたもので,まちづくりの一貫した政策とも合致しているわけです。
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