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障害福祉 改善したいなら消費税増税と元厚労省官僚

高知ではじまった「第53回日本身体障害者福祉大会」を地元紙が報じている。その中で、厚生省の官僚として障害者自立支援法の立案に携わった塩田幸雄・福祉医療機構理事が、シンポの中で、改善を求める声に対し「(制度改善の)最大の制約は財源だ」とし、消費税アップと障害者福祉の見直しをセットで議論すべきとの持論を展開した、と報じられている。
改善の要求を「人質」に、低所得者に負担の重い「消費税増税」をせまるとは「悪魔の選択」というべきものだろう。
塩田氏の今年二月に発表した「自立と共生の地域社会づくりと障害福祉」の中で、財源について「法人税・・・国際的調和の観点から実効税率軽減の方向」とこの間、年5兆円もの減税をしている大企業に対しては、さらに「軽減」を是としたうえで消費税増税が「現実的選択肢となりうる」となっている。
その論拠に、日本は消費税率が低いとか、国民負担率が低いとかグラフを示しているが、純負担率や生活必需品非課税のヨーロッパと率だけ比べるという手法については、先日『「高福祉高負担」論と消費税議論』で書いたが、厚労省の役員というのは、後期高齢者医療制度で、「医療費が上っていく痛みを実感していただく」制度といったり、ひどいものだ。障害児の「契約」制度についても、下記のように、ひどい発言をしている。

毎日新聞が、障害者「自立」支援法により、知的障害児が施設から退所を余儀なくされる問題を系統的に報道している。
「自立」支援法では、「知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設(以下「知的障害児施設等」という。)」の利用については原則、1割負担となる契約となり、「虐待等や利用契約になじまない場合等、児童の人権擁護のため、措置による入所等が適切であると児童相談所が判断した場合」について、都道府県の判断で措置か契約を決める制度になった。
都道府県の財政力により「格差」が出ると同紙は指摘している。高知県では、契約と措置は、半々となっているようだが、さらに詳しい調査が必要だ。

・日本知的障害者福祉協会の調査では契約と判断された235の事例のうち「親が養育を放棄」「父親は知的障害、母親は精神障害者」など、家庭環境が切迫したものばかりだったが、児童相談所の回答は大半が「国の措置要件に該当しない」「親が『契約する』と言った」など機械的対応がなされてるい実態を告発している。
・さらに契約した世帯の6割が低所得者(生活保護、住民税非課税世帯)とのこと。また、入所児の50%が、一人親世帯か祖父母・親せきが保護者で、そのうち65%が「契約」制度となっている、と報道している。

・毎日新聞が全国260カ所の知的障害児施設に実施したアンケートでは、
回答のあった施設の54%に当たる105カ所で未収金があり、総額5700万円。負担増を理由に退所した子どもも108人に上る。滞納でも子どもを出すわけにはいかず、持ち出して運営しているなどの例も示され“カネをとるか、子どもをとるか”の苦しい選択に迫られている状況を紹介している。

それに対して、厚労省は「親の経済的事情は措置の条件にはならない。滞納世帯の子は施設から契約を解除されても仕方がない」と説明している。
国保料滞納について、厚労省の役人が、テレビ番組で「保険料を払わない人は本来医療を受けることができない」「保険料は参加費である」と語ったことがあったが、血も涙もない話である。

◆障害児の「補装具」も補助がない。
下肢装具、座位保持装置、車いす、電動車いすなど障害児が成長にあわせ作り変えなくてはならない補装具も1割負担が導入された。減免制度がない。
 先日も、高知市議団に、白内障をもつ障害児の家族の方から、「年に何度もメガネをつくり変えなくてはならない」とその負担について相談があった。
例えば、自己負担は、下肢装具で1万2千円から1万6千円、靴型の装具1万4万円前後、性能の良い座居の保持装置4.5万るしかも、補装具の負担限度額は1つ1つについての設定であり、成長にあわせ、複数をつくりかえれば計で6~7万円の負担となる。
 07年2月県議会の質問で、高知県で補装具の新調などは、年約380件であり、「新たな負担増の部分を 県が補助した場合」も「400万から500万程度」と述べている。県は「児童福祉法の精神とあいいれない」調査を約束していたのでぜひ減免制度を実現したい。
 自立支援医療の負担の方は、県単の重度障害児者医療費助成制度で対応している、

障害児とその家庭に負担を強いることは、児童福祉法、こどもの権利条約に反するもので、ただちに改善が必要だ。

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