日本の医療費は低い 社会保障国民会議
社会保障国民会議は、「消費税引き上げのための世論づくり」という大きな狙いがあるが、内容を見てみると、結構面白い。
第2回(3月21日開催)の議事要旨で「サービス保障分科会」の議論について、座長の大森・東大教授が「大きな4点目であるが、医療については所得とのかかわりがあり、公的財源で見るべきではないか。日本の医療費は多くないのではないか。日本の医療費の対GDP比は先進国の中では低い。国民医療費のむだを調整しながら伸びてもおかしくないのではないか」と中心点にかかわって報告している。
日本の医療の効率のよさと社会保障抑制路線の限界・矛盾が語られている。
この分科会の第一回会議(2月26日)の議事論を見ると、
・社会保障国民会議座長の吉川氏が(2月26日)では、「先進各国で国民医療費が伸びているのは技術進歩によるものであり、無駄は是正しながらも、医療費は健やかに伸びるべき」「国民医療費の抑制は必ずしもいいことではない」「日本の国民医療費の対GDP比は国際的には高くなく、先進国の中では低い」と述べている。
他に委員の発言も
・今田高峻、東京工業大学大学院社会理工学研究科教授
「政府に言っておきたいことは、日本は国民所得に占める社会保障費は先進国の中でほぼ最低である。やはり、社会保障としてきちっとやるべきところはやって、そのプラスアルファのところに関して、国民の手でボトムアップ式なサービス提供というのももうちょっと組み込んでいいのではないかと思っている。」
・澤芳樹・ 大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学主任教授
「市場原理というのが物すごくアメリカで使われているけれども、それがでは果たしていいかというと、その矛盾も大変大きくて、日本の国民皆保険制度というのは非常に優れた制度ではあるけれども、いろいろな資料を見てみると、日本は一番効率よく医療を行えている。すなわち総医療費の支出というものはかなり抑えながら、医療の効率を上げている」
・中田清・社団法人全国老人福祉施設協議会副会長
「今、日本の医療介護等を見たときに、私はもう制度崩壊寸前にあるんではないかという実感がしている 社会保障費全般で毎年毎年2,200億ずつ自然増を抑制する政策が、私は影響しているんではないかなというふうに思う。」
・権丈善一・慶應義塾大学商学部教授
「私は医療、介護というような生活の基盤を支えるサービスは、なるべく所得とか病歴とは関係なく受けることができるようなサービスにしておきましょうという考えが根っこの部分にあって、これを市場にのせてしまうと、所得とのかかわりの中でいろいろ格差が生まれてきたり、病弱な人が排除されるようになるので、なるべくこれは公的、つまり財源としては租税もしくは社会保険料でやっていきましょうということをずっと考えている。ようするに、医療や介護は支払能力ではなく必要原則に基づいて利用できるようにしておきましょうと考えている」
などの発現があいついでいる。
一方、欧州の先進諸国より、税と社会保険の負担率の低い日本であるにもかかわらず、年5兆円もの減税を実施してもらっている財界代表の日経連・斉藤委員は「財源にはおのずから限りがある」「制度全般の効率化、給付の重点化、適正化について、真剣に取り組む必要がある」「自助自立といった観点をぜひ早く国民の皆さんに知らせていただくことが大切」と合いもかわらず、財界にとっての短期的メリットの視点でしか発現してない。
若者の未来を奪い、日本社会の担い手を失わせていく非正規雇用の拡大、カネを出せは食料が買えると見誤った農産物の輸入自由化、自助自立にもとづく医療費抑制・社会保障削減路線… 財界の唱えた「構造改革論」が、福田内閣の低支持率の根底にある。
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