ふじみ野プール事故判決 民間委託への警告
埼玉県ふじみ野市の市営プールでおきた死亡事故で、さいたま地裁は27日、市職員2人に、執行猶予付きとはいえ、禁固刑を命じたきびしい判決を下した。地方公務員法の規定から現職の市職員は失職となる。しかし、亡くなった命はかえってこない。
プールの管理責任が所有者にあることを明確にした判決は、市役所業務を民間委託、アウトソーシングしても、結局は、最後の責任は行政側にあることを示し、民間委託に警鐘をならした判決だ。
ふじみ野市は事故後、業務委託業者との契約内容の確認▽履行状況の監視するポストを新設とのことだが、数ある業務委託などの執行実況を、毎日、きちんと実施できているか点検するとしたら膨大な業務量となり、直営でやったほうがよほど効率がよい。なにより、市民の命、くらし、人権を守る点で、安易に民間にまかせてよいか、が問われる。
また、業務委託は、請負契約であり、行政側は、請負の労働者に直接指揮命令できない。請負業者に改善を指示し、そしてその指示が実行されたか、再度点検することとなる。
民間委託の最大の狙いは人件費の削減だ。どこも身分の不安定な非正規の職員(ふじみ野のプール事故では、再委託され、高校生アルバイトが監視にあたっていた)である。年収が200万前後というワーキングプア、自らの権利も守られてない状況で、市民の「命、くらし、人権を守るために、がんばれ」というのは無理がないだろうか。
高知市が給食調理の民間委託を試行する。調理部門を請負業者が行う。栄養士は、直接指揮命令できない。「偽装請負」となる。しかし、教育の一環としての学校給食の遂行に、栄養士、校長は責任を持つこととなる。
給食の内容に、責任を持とうとすれば、直接管理し、指揮命令が必要となる。しかし、それは労働者派遣法違反となる・・・・高知市は契約内容とかでなんかとかなると言っているが、黒に近いグレー、実態は違法であり、書面上の体裁を整えた脱法的行為である。人権を守る行政として手を染めるべきではない。
しかも市長は、「市の事業でワーキングプアを出さない」との議会答弁をしている。安いだけの委託はしない、という発言が矛盾する。
若者の働く場がなくなり、県外流出が高知県の大きな問題となっている。安心できる給食を提供するため、若者の安定した雇用の機会をつくるためにも直営を続けるべきである。目先の経費削減のために、ハコモノ、同和事業による財政危機のつけを、子どもや若者に押し付けるべきではないだろう。
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